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194. 聖剣製作 ⑤

魔の森はヨルド川に沿って南北に広がる広大な森林である。魔の森の南側は、数多くの魔獣がいることで知られ人が入った形跡すらない。そこは昼でも薄暗く鬱蒼として不気味な様相を示していた。


そんな薄暗い森の中を彼女は歩いていた。この薄暗さが彼女には心地よい。あの忌々しい結界が出来てから、人々の往来が途絶え獣と魔獣が取り残された。その獣も魔獣に食い尽くされ魔獣同士で食い合いが始まった。蠱毒のように弱い者は淘汰され強い者が残った。彼女は勝者だった。誰も彼女に逆らう者はいない。

歩きながら巣の手入れをする。子グモ達が彼女の元へせっせと獲物の魔石を運んでくる。

ーーもう少し、もう少し。

彼女はニタリと笑う。彼女は機嫌良く巣の手入れを続けた。





アレクとシリウスは魔の森の北辺に飛んだ。聖剣での試し斬りをするためだ。この辺りはホーンラビットなどの小物の魔物が多い。試し斬りにはもってこいだ。20羽ほどで聖剣の効力は殆どなくなった。


「この位の魔石だと20羽程か」

「まあまあだね。じゃあこれらをこの袋に詰めて帰ろう」


シリウスは取りだした袋にホーンラビットを詰め込む。ホーンラビットは小型の魔獣とはいえ中型犬ほどの大きさだ。それが20羽ともなるとかなりの量になる。けれどもその袋は詰めても詰めても一向に一杯にならない。アレクは驚きながらもその様子を見ていた。


「ああ、これ?」アレクの視線を感じてシリウスは袋を挙げる。

「これはいくらでも入る魔法の袋さ。空間魔法の応用だよ」


ーーーーそういえば以前読んだ異世界物の小説で同じようなものがあったな

「私にも習得できるでしょうか」

「大丈夫。転移魔法より簡単だし」


20羽全部袋に詰め、シリウスは立ち上がった。

「さあ帰ろう」

杖を挙げ魔方陣を出し、転移魔法を行う。


目の前には先程のドワーフの作業場があった。ララとラビが駆け寄ってくる。


「アレク、どうだった?」

「この魔石だと、ホーンラビット20羽くらいかな」

「さようでございますか」

「もう少し大きめの魔石をつけてみようか」


「あ、そうそうお土産があるんだ」と言ってシリウスは袋からホーンラビットを出す。


ラビは目を丸くして驚いていたが、満面の笑みを見せ仲間を呼んだ。

「今日はこれで宴を開くぞ。早速、厨房に持って行って解体しろ」


ゾロゾロ出てきたドワーフ達は大量のホーンラビットに歓声をあげ、次々に厨房に運び込んでいった。








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