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173. リーゼ村の奇病 ④

「だがアレク殿、この男は熊族の者にしか見えないのですが」


マドラス隊長は気持ち悪そうにこの男を見て言った。


「ええ、恐らくこの男は闇ギルドの者の血を飲んだんでしょう」

「闇ギルド!?」

「ああ、言ってませんでしたね。聖ピウス皇国の闇ギルドの者は大半がヴァンパイアの者達です。この男は何らかの出来事で彼らと接点を持ち、血を与えられたと考えます。瀕死の状態でヴァンパイアの血を飲んだ場合、そのものはヴァンパイアとして生まれ変わるのです」


「何と・・・」隊長は絶句した。


「しかし、ヴァンパイアにはどうやって対処すればいいのか。斬っても死なないとなると」


「どなたか聖魔法を使える方はいらっしゃいますか?」

「一人心当りが・・」

「聖魔法で斬るか、又はこれは試してませんが銀の短剣で心の臓を貫くかすれば彼らは灰になります」

「そうですか。ところでこの者はどうしますか」

「村長を呼びましょう」


近くの近衛騎士が村長を呼びに行った。暫くして村長が居間に現れた。

「お呼びと伺いましたが」


「ああ、村長、この者だが聞いての通り、十字屋の女将の殺害を企んでいたようだ。更に、この最近の奇妙な病の原因ともなっている。こいつは既に熊族ではなく血を啜る化け物になっているようだ。この者を消してしまっても構わぬだろうか」

「化け物?こいつは隣の宿屋の下男でして、そういうことなら何ら問題はありません。隣には私から話しておきます」

「だそうだが、アレク殿、こいつをどうやって始末するのですか」

「言っていなかったね。アレクは魔法使いなんだ。それも聖魔法の」とセイガが言うと、

「ひいいい。嫌だ、嫌だ、折角生き返ったのに又死ぬなんて」とロブが喚きだした。


「それでは、先程言ったように聖魔法で成敗いたします」

アレクは剣に聖魔法を纏わせた。そして、ジタバタもがくロブめがけ剣で一閃した。すると、斬ったところから灰になって崩れ落ちた。

「見ての通りです」


「アレク殿、感謝する。しかし、闇ギルドの者がこの国に侵入しているとすればこいつの他にも被害者がいるかもしれない。これはすぐにでも女王陛下にお知らせしなければ」


呆然としている村長にマドラス隊長は「これで、病で亡くなる者はいないだろう。またもし同じようなことが起こった場合、即座に役所に届け出るように」と告げた。


「は、はい。病がこいつのせいだったなんて。この灰ですが、触っても問題ありませんか?」

「大丈夫だ。ただの灰。無害だ」


マドラス隊長は近衛騎士に向き直って「誰か、今から早馬を飛ばし女王陛下にこのことを知らせてくれ。奴らがベアレスに入っていたら問題が大きくなる」

「私が」と一人の騎士が申し出た。

「頼むぞ」「はっ」


騎士は急遽、馬に乗りベアレスに向かって駆けていった。

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