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157. ”ウィル”と名乗る少年 ①

アレクは切り通しに向かっていたが、ふと足を止め草むらに身を潜めた。前方にある洞穴の入り口から黒装束を纏った数人が出てきたからだ。彼らには見覚えがあった。闇ギルドの者達だ。彼らは辺りを窺うと切り通しの方へ向かう。アレクは光の拘束魔法を彼らに向けて放った。


「何だ、これは」四人の闇ギルドの者達が拘束される。


それに構わずアレクは洞窟を見つめた。

「ヴィルヘルム、お前が出てきたのはここか?」

「そうです。ここです。この中には恐ろしいものが沢山ありました」

「取り敢えず奴らが出てこないよう封鎖しておくか」


土魔法を駆使して洞窟を封鎖する。


「さて、こいつらをどうするか」

「我らにこのようなことをするとは貴様何者だ」

「俺はアレク。獣人国を旅する魔法使いさ」

「我らに仇なすとは。どうなっても知らんぞ」

「俺のことより自分達のことを心配した方がいいのではないか?立派な密入国だ」

「何を言う。獅子国の王は我らの味方のはず」

「知らないのか?王は熊族に替わったぞ」


それを聞いて彼らは光の拘束から何とか抜けようとしたが出来るわけもない。アレクは後ろに背負っているヴィルヘルムに「こいつらはお前の追手か?」と尋ねるとヴィルヘルムは即座に頷いた。


「お前達は熊族の役人に引き渡すことにしよう」と光の網をかぶせ太い幹にぐるぐる巻きにした。


「さて、切り通しまで走るぞ。少し我慢しろ」と言ってアレクが走り出す。後ろでヴィルヘルムが悲鳴を上げるが構わず走り続け、切り通しの上まで来た。下を覗くと丁度セイガが走ってくるのが見えた。


「セイガ!」


セイガが上を見上げると、アレクが手を振っているのが見えた。後ろに幼児を負ぶっている。

「アレク、後ろの子はどうしたの」

「ああ、昨日、道の途中で見つけたんだ」

そこで、セイガが背中に乗っているウィルに尋ねた。

「あの子がお前の捜している子か?」

「そう、そうだよ。無事だったんだな」


「セイガ、ここまで登ってこれるか?」

「うん、大丈夫。二人共しっかり捕まって」といい、セイガは崖の上まで駆け上がってきた。


「兄様」と言ってヴェルヘルムが泣き出すと、ウィルは「お前、よく無事で」と言って頭をなでた。


「セイガ、この子は?」

「昨日、この先の野営地に一人で山から下りて来たんだ。幼児を連れていたが途中でいなくなったというから見に来たんだ。どうやら追われているらしい」


「助けてくれてありがとう。僕はウィル。聖ピウス皇国から来ました」

「俺はアレクだ。さっき闇ギルドの者達を捕縛した。セイガ、そいつらを連れて来てくれないか」

「わかった」と言ってセイガが駆けだした。


「連れてくるって・・・。闇ギルドの者達は手練れが揃っているはずじゃ」

「兄様、アレクさんはすごい魔法使いなんです」


ふと、ウィルの表情が翳り何かを考え込む様子をアレクは見逃さなかった。


























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