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148. トラップの調査 ③

驚きが去るとサンギは目をキラキラさせてアレクを見つめた。


「アレクさんは人間だったんですね。それも魔法使い。いやあ、面白い」

「お前、変な奴だな」

「皆にそう言われます。でも、職業柄それも仕方ないのかも」

「仕事柄?」

「ああ、言ってませんでしたね。僕は考古学者であり、魔法研究家でもあるんです」

「君が考古学者?魔法研究家っていうことは君も魔法を扱えるのかい?」

「いや、魔法を使うというよりもどんな魔法があるのか研究するのが目的かな」

「なるほどな。だからトラップの謎を解明したい訳か」

「ご明察。あなたに付いて来て良かった」


二人は朝食を終え、再び馬上の人となった。

「普通、人間は魔法を使えないとこちら側では言われていますが、結界の向こう側では人間は魔法を使えるのですか」

「いや、俺以外みたことはないな。エルも正確に言えば人間ではないし」

「エルさん、違うのですか?」

「ああ、最近分かったことだがな」

「じゃあ、最近急に大人になったって話は」

「まあ、そういうことだ」


牧草地帯を過ぎ、ニキの街に着いた。

「今日は,ここで泊まろう」

「あ、僕、良い宿知ってますのでご案内します」


サンギが案内した宿はこじんまりした宿だった。中からヒョウ族の女の子が出てきてサンギに飛びついた。「サンギお兄ちゃん、お久しぶり」

「これこれ、お客様の前ではしたないぞ、レイア。アレクさん、妹のレイアです。ついこの間、所帯をもって、ここで宿を開いたんです。これが、旦那のチタン、虎族です」

「宜しく、アレクだ」

「お兄ちゃんがお世話になってます。レイアです。今日はチタンが腕によりをかけてご馳走つくりますね」

「頼んだよ、レイア、チタン」


「部屋は一緒でいいですよね」

「ああ、構わない」


通された部屋は2階の角部屋だった。窓を開けると牧草地が見える。階下からお茶と菓子を持ってきたサンギにアレクは声をかけた。


「サンギ、話したいことがあるんだが」

「何ですか?まだ他にあるんですか?」とサンギはワクワクした顔を向けた。


「実はな、エルの事なんだ。彼女は今は亡きユークリッド王国の聖女だ」

「何ですって!ユークリッド王国の聖女と言えば攫われて行方不明と聞いていますが」

「さすがに良く知っているな。彼女は赤ん坊の時に狙われ、教会の司祭によって結界の向こう側に逃れてきたんだ」

「聖ピウス教になる前の教会ですね」

「だから彼女を連れて来るわけには行かなかったんだ。もし、トラップであいつらの所に転移したら」


「はあ、事情はわかりました。何故、彼女は結界の向こう側から戻って来たんですか?結界の向こう側の方が安全なのに」

「そうとも言い切れない。結界が春分点と秋分点に開くことは知っているだろう?向こうにも闇ギルドの手の者が入り込んで来ているからな。それに、彼女はユークリッド王国が亡くなったって知らなかったんだ。ユークリッド王国を一目みたいと思っていたんだな」


「そういうことだったのですね」サンギは悲しそうに頷いた。











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