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137.  正教会の罠 ⑤

獅子国王達が集まって来ると、早速、獣人達による断罪が始まった。


「私は幼い頃から魔力熱で何度も死にかけたんです。両親も心配してあちこちのお医者様に見せたんですけど彼らは首を振るばかり。そんな時神父様が来て、レグルスの正教会にいけば適切な治療を受けられるとおっしゃったのです。両親と私はすぐにレグルス行きを決めました。正教会に着くと私だけ別室に連れていかれ、両親と離されたんです。不安だった私はその部屋を抜け出し両親を捜しました。地下へ続く階段があったので降りていくと、そこで私は恐ろしいものを見たのです。大勢の獣人が捕えられ牢に入れられていたのです。しかも、そのうちの何人かが引き出され血を啜られているのを」彼女は慟哭した。


「その聖騎士達は化け物です。血を啜られ、干からびていく同胞の姿は目に焼き付いて離れません」


「俺もそうだ。騙された」と熊獣人の若者が立ち上がった。

「俺は身体強化の魔法が得意で村で木こりと大工を兼業してた。ある時、神父が村に来て正教会の建設を手伝ってくれっていうから引き受けてレグルスへきた。けど、建設はもう終わっていたんだ。変に思って神父に問いただそうとしたらそこの聖騎士が俺を地下牢に閉じ込めやがった。で、来る日も来る日も魔石を握らされて。魔石を握ると体の中の力が吸い取られていくようで日に日に弱ってくんだ。弱って動かなくなった奴はどこかに連れて行かれて二度と帰って来なかった。あと、聖騎士達が血を啜っているのを俺は何度もみたぜ」


地下牢に入れられていた獣人が口々に叫びだした。

「俺も騙された」「俺もだ」と収集がつかなくなってきた。


「静粛に」獅子国王が吠えると騒ぎは一旦落ち着いた。


「その方らは、皆、騙されてここへ連れて来られたのだな?」

皆、コクコクと頷いた。

「ルカ司教、これは一体どういうことだ。弱った者達はどうなった」


「・・・・」ルカ司教は一旦黙っていたが、突然笑い出した。

「ふあはははは」

「何を偉そうに、汚らわしい獣人ふぜいが。どうなったか見せてやろう」とおもむろに顔を上げ叫んだ。

「悍ましいその姿を晒す時がきた。いでよ。私の最高傑作!」


地下で何かの爆発音がした。と教会の床がばらばらと壊れ始めた。


「キュイ」ロンは慌てて皆を崩壊から守る結界を張る。


「グウォオオ」という叫びと共に地下から『それ』が姿を現した。


あまりの悍ましさに失神する者までいた。







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