131, 国境検問所
アレク達は獅子国国境の検問所まできていた。ジル達の提案通り、猫族に扮して国境を越えようか迷ったが、最終的には当初の予定通り神狼セイガのお付きと言うことにした。ジル達に迷惑をかけたくないということとやはり猫族だといずれボロが出てしまうのを考慮した結果だ。
馬車を止め、検問所の兵士と向かい合う。
「どこの国の者だ」
「私達は北のオオカミ族です。神狼セイガ様へと代替わりしたので見聞のため諸国を廻っています」
「神狼だと?」
「嘘じゃありません。私が保証します」とジルが顔を出して兵士に言った。
「お前はジルじゃねえか。どうしてこいつらといるんだ」
「実は、帰り道で野盗にあって、例の薬をかがされたんですよ。身ぐるみ剥がされて途方に暮れていたところを助けて下さったんです」
「何、また野盗が出たのか。連れ去られなくてよかったな」
「全くですよ。まあ、私らには魔力は無いですからね」
「事情はわかった。だが、神狼様は何処にいらっしゃるんだ?」
「僕なら、ここにいるよ」
「はあ、お前がか?」
「失礼しちゃうな。ほら」といきなり大型のオオカミへと変身した。
「大きいと何かに不便でしょ。だから小さくなってるんだ」
兵士は口を開けて固まっていたが奥から隊長らしき人物が現れた。
「神狼様、大変失礼いたしました。貴方方が我が国民を助けて頂いたということですね。我が国としてはお礼の申しようもありません」
「じゃあ、ジル達を送って行きたいから通ってもいいかな」
「勿論でございます。王都には連絡を入れておきますので是非王宮へお立ち寄りください」
「考えておく」と言ってセイガはまた元のサイズに戻った。
「じゃあ、行こうか」とアレクは言い、クロックに合図を出した。
隊長達が頭を下げる中、馬車は軽快に走り出した。
「どう、アレク、僕ってすごいでしょ?」
「ああ、いつも腹すかしている奴とは思えんほど貫禄があった」
「何だよ、それ」
二人の様子にホッとしている3人組を横目で見ながらアレクは続けた。
「だが、王都に入ったら面倒くさいことになりそうだな」
「ああそれ僕も思ったけど、王様に直接会って実情を聞いた方が早いかなと思ったんだ。側近にも闇ギルドと繋がりがある奴がいそうだし」
「そうだな、直に会った方がいいかもな」
「ところでジル、王都まではどれぐらいだ」
「え、えーとこの調子なら4日くらいかな。でもまさかこのまま王宮に連れて行かれるんじゃないだろうね」
「それは向こう次第だな」
馬車は軽快に走っている。王都レグルスまで4日の道のりである。
アレクも迷ったようですが私も迷いました。でも、オオカミ族の方がアレクにはあっているかも。間が空いてすみません。