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130, 獅子国入国前夜 ②

「気持ちは分かるがちょっと待て」

アレクが話を遮ると、不思議そうな顔をしてサンガがアレクを見る。


「セイガはエルの事を『聖女』と言ったが、彼女が覚醒したのはほんの数日前だ。その前は11歳の少女だった」

「ええっ、もう立派な大人だと思っていたわ。外見からみても・・・」


「俺達もびっくりしたが、ほんの数日前に突然大人の女性になったんだ。彼女は魔の森の結界の向こう側で裕福な商人の子として育てられた。流行病で両親を亡くしたが、その時自分が結界の向こう側の世界で生まれたことを知ったんだ。彼女を連れてきた司祭は紅玉のペンダントを商人に託し果てたそうだ。だから彼女は己の出自確かめるべくこっち側に来た。そうしたら聖ピウス皇国の奴らと遭遇し、しかも奴らによってユークリッド王国が亡くなって居ることを知ったんだ。それで彼女は覚醒した」


「なんてまあ」

「だから彼女も混乱してる最中なんだ」


「でもアレク、私、これだけは言えるわ。聖ピウス皇国をこのままにしておけない。アヘンのことや獣人国の皆さんにも変な薬を使って侵略を企てているなんて」


「聖女様のお気持ちは分かりました。そういうことなら全面的に私達は貴方方に協力いたします。聞くところによると獅子国のみならず他の獣人国でも行方不明者が後を絶たない様子。しかも魔力があれば子供まで攫っているようです。なんとかしてくださるのであれば力を尽くします」

サンバは深く頭をさげた。


「一つ、問題があります。奴らによってもたらされた薬によって、王の側近にまで頭のおかしくなった奴がいるということです。薬欲しさに奴らの闇商人と結託しているともっぱらの噂です。門番にはうまいことを言って通してもらったとしても、危険なことには変わりありません。もし可能であれば獅子国の住人らしく振る舞うことはかのうですか?」


「やってみよう」とアレクは言い、おもむろに認識阻害で猫獣人に化けた。


「こんなものでどうか?」


「おお、素晴らしい。他の方はどうですか?」


「エルはなんとか。セイガ、お前はどうだ?」

「無理。絶対、いや」

「しょうがねえな。お前は子犬のまま。ロンはかばんから絶対、顔をだすな」

「キュイ」


そんな打ち合わせも終わり、夜は静かに更けていった。


明日はいよいよ獅子国に入る。













長いので2つに分けました。次は獅子国編です。

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