128. 三人組みとの出会い ②
鬱蒼とした森を抜けしばらく行くと例の三叉路に出た。
「なあ、ジル、お前この道の先がどうなっているのか分かるか?」
と言って、アレクは黄金の道の行く先を尋ねた。
「地図では行き止まりになっているんだが」
「ああこの道ね。この先がどうなっているのか誰も知らないのよ」
「ん?」
「獣人国でも商人や冒険者なんかがこの道を進んで行ったけど、誰一人として帰って来る者がいなかったって話よ。それで王様が一個中隊の軍隊を出したんだけどやはり誰も戻らなかったんだって」
「いや、一個中隊ってまさか」
「本当よ。それ以来、この道を通るものがいなくなったのよ。ああでも、年2回この道が黄金色に輝く時があるそうで興味を示した馬鹿がこの道を行ったようだけど陽が暮れたら道がなくなってほうほうの体で逃げ帰って来たって話なら聞いたことはあるわ」
「ジル、その逃げ帰った者達のことを知っているか?」
「アレク、あんたまさかこの道に行くって言うんじゃないでしょうね」
「今は獣人国に行くのが先決だ。だが、将来的には行きたいと思っている」
「馬鹿な考えは止しといた方がいいよ。でもそうねえ、向こうについたら会わせてあげる」
「お前、知り合いなのか?」
「私の旦那の弟なのよ。ヒョウ族って変わり者が多いからね」
「おい、言われて居るぞ。サンガ」
「実際そうだからな」とサンガは気にも止めていない様子である。
「でなきゃ、ジルとは結婚しなかったさ」とテツが笑いながら言った。
「こっちの左の道に行ったら獣人国だ。少し行くと馬車を止めるくらいの広場がある。なあ、飯にしないか。俺達三日も食ってねえんだよ」
「ああ、そうしよう。そろそろ昼時だし」
馬車は左の道に入り、少し進むと彼らの言った通り結構広い広場に出た。
「言ったろう?軍隊がここに駐屯していたんだ」
彼らは馬車を降り、早速食事の準備に取りかかった。
アレクは鍋にチーズを放りこみ何やら作りだしたが、3人の獣人は文句も言わずそれを見ていた。
「ほら、出来だぞ」
「わあ、チーズフォンデュだ。これ、最高に美味しいから食べてみて」とセイガが尻尾を振りながら歓声をあげた。
「確かに美味そうな匂いはするけど、本当に美味いのか?」
「チーズを煮込んだだけだろ?」
「こうして食べるんだ」とセイガが得意気に説明する。
半信半疑だった」彼らも真似て一口食べて見ると、次からは鬼のように食べ出した。
「うめえ、こんな美味いものを食べたの初めてだ」とテツが口一杯頬張りながら言うと「確かに」とジルとサンガが相槌を打つ。
「ついでにワインもあるぞ」とアレクが言うと
「アレクが神様に見えるよ」といってワインをグビグビ飲んでいた。
チーズフォンデュを堪能した彼らは姿勢を正し
「本当にアレクには世話になったよ。獣人国に入ったら私らに任せておきな」と言って胸を叩いた。
いつも読んで頂きありがとうございます。面白い三人組と出会いましたね。次はいよいよ獅子の国へ入っていきます。面白いと思った方は評価ボタンをお願いします。