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124,  それぞれの旅立ち

「では、サイラス様我々はこれにて失礼いたします」


伯爵家一家の見送りを受け、アレク達は伯爵邸を後にした。次期伯爵サイラスはゾルアが落ち着いた後、その地位を長男クリスに譲り、竜王の谷へ向かうこととなる。また、現在センドーサ領にいるヒースはクリスと共にザカリア領の復興のために力を尽くすこととなった。


領都ゾルアの端にあるジョンの元へ一行は帰っていった。


「タンガ様、皆様」

女将のシエラとジョンが一行を出迎えた。


「女将さん、起きていて大丈夫ですか」エルが心配そうに聞いた。


「はい、あの悍ましい正教会が無くなったと聞きました。これで枕を高くして寝られます。皆様のお陰です。本当にありがとうございました」


「貴女達はこれからどうします?」アレクが聞くと

「私は主人が残してくれたこの宿で、ジョンと共に一緒に生きていきたいと思います。ゾルアもこれからは落ち着いて以前のように活気に溢れた街になってくれるでしょう」

「そうですか。あと、今夜一晩、宿をお願いしたい。勿論、食事は俺達もちで」

「アレクさん達なら、一晩でも二晩でも好きなだけいてくれていいよ」

「そういう訳にもいかんがな。今日の夕飯は、俺が料理を振る舞ってやる」

「ヤッター!」


取り敢えず部屋に落ち着いた後、アレクは厩に行った。足音だけでアレクだと気付いたのかクロックは嬉しそうに嘶いた。

「ごめん、クロック待たせたな。そしてクロムも」と言いながら、持ってきたニンジンを食べさせてやる。クロックは目を細めながら美味そうにそれを食べる。

「明日から、また長い旅が始まる。宜しく頼むよ」

任せておけというようにクロックは首を前後に振った。



夕食の支度が終わる頃、やはり真っ先に降りてきたのはセイガだった。

「んー、良い匂い。今日は何をつくったの?」

「あまり食材もないからな、鳥の唐揚げと野菜のスープだ。途中で食材を調達しなければならんな」


一同が食堂に集まって食事が始まった。山のように積まれた鳥の唐揚げは瞬く間に全員の胃袋に収まった。女将さんとジョンの分は取り分けて部屋で食べてもらっている。


「タンガ、俺達は黄金の道に戻り聖ピウス皇国を目指そうと思っている。ゾルアからはどうやって行ったらいい?」

「それならこの道をセンドーサ領都シギルに戻って、東のレバント侯爵領から南へ向かうのが一番良い」

「なるほどな。では、タンガはセンドーサ領まで共に行くか?」

「いや、俺は先にシギルに行き兄上に報告しなければならん。その後は王都に向かう」

「じゃあ、ここでお別れだね。さみしくなるなあ」

「キュイ」

「とっときのワインがあるから開けようか。でも、エルもセイガ、ロンはぶどうジュースで」

「ちぇっ、ジュースかあ」


そうしてワイワイ飲みながら夜は更けていった。


翌朝、アレクは厩に行き馬車を引き出した。クロックもクロムも張り切っている。


「じゃあ、タンガ、いろいろありがとう。センドーサ伯爵や国王にも宜しく伝えてくれ」

「こちらこそありがとうございました。皆様、お元気で。良い旅を」


タンガは竜に変身すると大空へ舞い上がった。


「さあ、俺達も行くか」

馬車が動き始める。見送りの女将さんとジョンが大きく手を振る。


「ありがとう、僕、母さんと頑張って生きてくね。皆、元気でねー」












これで竜人国編を終わります。今まで読んで頂いた方、ありがとうございました。次回は獣人国へ向かいます。気に入って頂けたら評価ボタンをお願いいたします。

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