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123. 次期伯爵の苦悩 ②

次期伯爵サイラスは直ぐに人払いを命じた。


「ありがとうございます。次期伯爵様。実は貴方自身のことでお話がございます」

「わかっております。私がドラゴンヴァンパイアになったということでしょう」


「はい。エミリオ司教は私が滅しましたので今のところは心配無いかと思います。ただ、ドラゴンヴァンパイアには気になる特性があるようなのです」

「どういう事でしょう?」

「彼らは魔力をもっている者の血を好むというものです。私が知っているドラゴンヴァンパイアの被害者の家族が彼らは人を攫っては血を啜っていたという話を聞いておりましたので」


「なんと!くそっエミリオ司教め。そんな化け物に私を変えるとは。ああ、エル様、私も彼らと同じように塵に変えてください。そんな化け物になって生き永らえたくはありません。どうか、どうか、私を滅してください」


「早まらないで下さい。それを解決する方法がないわけではないのです」


「それはどんな方法でしょう?その為であればどんなことでもします」


「ロン、竜王様と遠話できる?」

「キュイ」

「ではこれを飲んでください。これは私の血です。エミリオ司教に毒された貴方の血を私の血に置き換え血を欲しなくなるようにします。ただし、あなたは老いることも死ぬこともできなくなります。これは長い目でみれば苦痛を伴います。家族や友人が皆いなくなっても貴方は1人で生きてゆかなければなりません。それでもよければこれをお飲み下さい」といって小さな小瓶を手渡した。


「ありがたい」と言って次期伯爵は一気に小瓶の中の液体を飲む。すると彼の体が硬直し赤い光で覆われた。暫くすると落ち着いたのかホウっと溜息をついた。


「なんだか救われたような気がします。今までのイライラというか焦燥感というものがなくなって。実を言うと血を欲していたのかもしれません。喉が渇いて仕方がなかったのです。でも、不思議と今はそういう感じがしません。ありがとうございました」


次期伯爵は深々と頭を下げた。


「もう一つ。貴方は永遠の命が与えられました。けれど周りの者達は貴方に奇異な目を向けるでしょう。ですので、伯爵位はクリス様に譲り、竜王様の元に行って頂きたいのです。竜王様は永遠の命という訳ではないのですが長い時間あなたを見守ってくださるでしょう」


「承知いたしました。竜王様をお守り申しあげるということですね。これほどの栄誉はございません。誠心誠意お勤めいたします」


「ロン、竜王様に伝わった?」

「キュイ」

すると何もない天井から声が響いた。


「話は聞いたよ。サイラス、私と共にこの竜王の谷を守っておくれ」


サイラスは跪き、「おおせのままに」と言った。


その顔は新しい使命で晴れ晴れとしていた。











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