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111, エルの覚醒 ④

「誰だ!」


黒いローブの女性は俯きながら答えた。

「アレク、私です」

「私って。エルなのか?」

「はい」 消え入りそうな声でエルが答える。

「その姿は・・・」

「えっと、多分これが私の本来の姿と言いますか・・」

「本来の姿って・・・」と言ってアレクはまじまじと見つめた。


「お前ら、何かしってるか?」とロンとセイガに聞いた。


「キュイ」と言ってロンは目をそらす。セイガも「びっくりしちゃうよね」と尻尾を揺らしながらアレクを見上げた。


「あの、ドラゴンヴァンパイアを消滅させたことで私の中で変化がおき、この姿になりました。と同時に様々な事、自分の一族の記憶とか感情とかが私の中に流れ込んできて、気付いたらこの姿になっていました」


「一族とは?」


「ヴァンパイアです。でも、アレクはヴァンパイアはおぞましいものと言っていたでしょう?だから、私はもう皆と旅ができないと思って・・・」エルは言っているうちに涙がでてきた。


「エル、悪かった、謝るよ。実際、俺がしっているヴァンパイアは前世で得た、それも小説などで得た架空の知識にすぎん。実際のヴァンパイアとはどういうものなんだ?そこに座って、落ち着いて話してくれないか?セイガ、何か飲み物を持ってきてくれ」


セイガは「うん、わかった」といって人間に変身し、階下へおりていった。


「私はシン・サクライの娘で間違いないようです。ヴァンパイアとは異世界とも違う、なんていうか異星人とでもいうのでしょうか。別の星に生きていた一族なのです。ある時、星同士が衝突し私達の星は消滅しました。一族はばらばらになりそれぞれが別の星にたどりつきました。彼らはある種の特殊能力をもっていたためそのようなことが出来たのでしょう。一人では生きていくのは困難なため、仲間を増やしたのです。それがあなたがおぞましいと言っていた血を吸う行為なのです。けれど、自分達と同等の能力のあるものは生まれず、いわば召使いというか部下みたいなものでした。それに血を吸って出来た仲間というのは主に絶対逆らえず、逆らった場合はこの前のように灰になってしまうのです」


セイガがお茶を入れて持ってきた。アレクはエルにそれを勧めて次を待った。エルはお茶を飲んで一息つくと再び話始めた。


「シン・サクライは星の消滅から逃れた一人だったのです。真祖と呼ばれていました。永遠の命を持つ彼はいわば神に近いのかもしれません。そんな彼が過ちを犯しました。彼が私の為に残した部下達が、彼がいなくなった長い年月の間になにを血迷ったのか自分達が一番『彼・真祖』に近いものとしてこの世界を乗っ取ろうとしているのです。私が目を覚まさなかったからかもしれません」


彼女は俯いて言った。












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