10. ペンダントの記憶 ②
シンは謎の人物です
「私はユイ。人と話したのはずいぶん前だからしゃべり方がおかしいかもしれない」
「よろしく、ユイ。全然おかしくないよ。ところでユイ。君はなんでこんなところに一人でいるんだい?見た所20歳にはなっていないよね。家族や友達はどうしたの?」
一瞬、ユイは本当のことを話そうかと迷ったが、彼がこの世界の人間ではないという話を思い出した。
「ずっと前に近所に仲のいい子がいてその子が魔獣に襲われかけたんだ。私、もう、なんとかしなきゃと思って両手をつきだしてダメ!と叫んだんだ。そしたらその魔獣が吹っ飛んでぐしゃぐしゃになって、周りにも何頭かいたんだけどそれにもダメって無我夢中で両手を突き出したらそいつらも吹っ飛んでいってみんなぐしゃぐしゃになってた。呆然としてたらその子の親が出てきて、怖い顔して、『これはお前が殺ったのか』っていうから、うんて頷いたら、『うちの子を助けてくれてありがとう。でもうちの子とはもう関わらないで』って。そしたら村の人達が変な目で私をみるようになったの。両親やお兄ちゃんも『お前のような子はいらない。出て行けって』それで村を出てあちこち行ったの。でも私が魔法を使えると分かると『エルフや獣人ならともかく人間に魔法が使えるわけがない。きっと悪霊が取り憑いてんだろう』っていって私を殺そうとするんだ。だから、エルフや獣人の国にも行ったけど、『人間が入ってくるな』って入れてもらえなかったんだ。だからここを(洞窟)見つけて一人で住んでいるんだ」
とユイは一気にしゃべった。こんなに話すのはいつぶりだろう。話しながら涙が溢れて止まらない。
シンはおもむろに立ち上がるとユイの頭を抱き寄せた。そしてユイの頭を撫でながら
「泣かないで。ユイは全然悪くないんだから。でも、、そっかー、魔法がない世界なんだな。いや、ちょっと待て、エルフや獣人は使えるんだよな。ってことは人間が魔法をどうやって発動させるのか分かってないってことか。ん~、ちょっと調べてみるか。もしかしたら帰れることができるかもしれないし」
そういうとシンは、手を上げ何かを探っているような仕草をした。
「うん、十分魔素がある。これなら魔法が使えるな」