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到着、そして異変 

遅くなりました。

投稿頻度をこれくらいにします。








フォレスト=ホーンと戦い終わった俺は、街に向かうことにした。 

理由? そんなのないけど? 

そう、俺は魔王、魔王なのだ! ……いや、魔王は城でどっしり構えてるか。

てか、やっぱ俺って魔王って枠、大分外れてるんじゃね?

まぁいいか。俺は俺だし。哲学みたいだな、これ。


さて、どうやって行こうかな。

地図もないしなぁ……あっ、ナントカカントカ男爵からサイン貰ってたわ。貰った時はよく見てなかったけど、裏になんか書いてあるな。


~謎のアオイへ~


アルトナイン・ヴァン・ベルゼナート男爵じゃ。

このサインの裏を読んでいるということは、恐らくヒトの国へ行こうとしたが、場所が分からなくて困ってるって感じじゃろ?

あってたら、食料をくれ。こっちの事情じゃが……

地図を同封しておく。これでも見ながら国に行くといい。


                   

          ~愛しのアルトナイン・ヴァン・ベルゼナート男爵より~



……予見眼すげぇな。さすが男爵といったところか……コイツもイカれてやがったのか。

愛しのってなんだよ。会ったの1回だけだろ。

地図は普通に助かるけどさ。

……はぁ、細かいこといちいち気にしてたらいつか病む気がする。

もう気にしない、気にしないんだ。


どうやって行こう...

地図見る限り、大分遠いんだよなぁ。

シェラに乗っていくのも、飛んで行くのもな~。

いいや、飛んで行こ。バレない様にしないとだけど……何とかなるか。

「シェラ、行くぞ~」

「分かった。たしか、ローレンス? だったか?」

「そうそう、なんでも領都らしい。そういえば、シェラは人化解いたほうが移動速度って速い?」

「いや、変わらんな」

「俺は飛ぶか――」

「アオイも走るぞ」

「マジ?」

「うむ」





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ハァ、ハァ、ハァ」

「体力をもっとつけろ。そんなのでは中心部にいつまで経っても行けんぞ」

「ハァ、ハァ、分かってるよ。......とりあえず着いたな。街に」

「して、どうやって入る? 我はフェンリルだぞ」

「人化してるから大丈夫だって。前より人化の練度、上がってるだろ?」

「そうだが……」

「よし、じゃあ徒歩で街に入るか」





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「おぉ、きれいだ...」

目の前に広がっていたのは、水上都市だった。語彙力がなくなるぐらい綺麗な場所だな。

街の中央にでかい館と塔があるから、シンボルみたいになってる。

よし、入るか。


門番「待て」

「ん?」

門番「身分証明書は?」

「ないけど」

門番「なら、通すわけにはいかないな。さぁ、さっさと去れ……いや、嬢ちゃんなら、身体で払ってもらってもいいぜ」

門番はニチャアっと気色悪い笑みを浮かべる。

気持ち悪い。街が綺麗でも、人の心は汚れ切ってるな。

「ないけど、これならあるぞ」

俺は門番に、イカレ男爵のサインを見せる。すると、みるみるうちに顔が青ざめていき……

門番「す、すみませんでした。ちょっとしたジョークってやつですよ。ハハハ」

汗だらだらじゃねぇか。

「フン、じゃあ、通るぞ。 最後に言っておくけど俺、男だから。変態クソ野郎」

そう俺は吐き捨てて門をくぐった。

「やっぱ、人間は信用ならねぇ...ボソッ」

「……」

中に入ると、案外活気がなかった。

「どういうことだ? この規模ならもっと賑わっていてもおかしくないのに」

街中にポスターが貼ってあるし。


~戦える者よ、男爵命令により中央屋敷へ集え~


外にいるのは、冒険者っぽい姿のやつだけ。

情報収集するか。


「なぁ、男爵って誰のことだ?」

「なんだ、知らねぇのか、アルトナイン男爵様だよ。巷じゃ()()()()()ってよく言われてるな」

「へぇ~、助かった。ありがとよ」

「おう!」

冒険者はいいな、根が良いやつが多い。

俺も、行ってみるとするか。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





中央屋敷に俺たちは向かった。

「……!……、……」

なんか演説してるぞ。誰がやってるんだ?

「今こそ、今こそ立ち上がる時! 忌々しいグリタブル領の領主を打ち取るのじゃ!」

怒声に近い歓声が、屋敷を震わせる。

演説は終了したっぽい。あとでイカレ男爵に会ってみるか。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ふぅ、疲れた……」

妾、いや私はベル。転生して、今は男爵の地位にいる。この世界、私がやってたゲームと状況は一緒なのよね。未来視持ちとか言われてるけど、全部その知識のおかげ。

ホントはこんな面倒臭い仕事、さっさと辞めて自由にのんびり暮らしたいのに……

書類を片付けても片付けても……頭が痛くなってきた。

こんな時は、あれを飲むといいんだ。

「ふぅ...」

ハーブティー美味しい……なんだか眠たくなってき――「ひっ!」


誰かがノックしてる。鍵穴からそっと覗いてみようかな......怖いの苦手なんだよ......

女の人が2人いる。1人はなんか見たことあるような……


「反応なし、強引に開けるか」

ふぇっ?待って待って。止めてっ。

「この扉高いんだからーーーっ!!」

し、しまった。屋敷中に響いたかも。

い、いや、防音だから大丈夫な。聞こえてないはず。

「やっぱいるな。普通に開けるか」

いや、開けな――八ッ。

「待って、ちょっと待って。開けたら殺す」

ヤバい。最近熱いから、ランジェリーしか着てなかった。

何でもいいから何か着ないと。

私はすぐそばに畳んでおいてあったネグリジェを着た。


「は、入るのじゃ」

この喋り方嫌いなんだけどな。

「お、お邪魔しま――フッ」

馬鹿にしたよね、この人。てかこの人、私の声バッチリ聞いたわ。

「あっ!」

「ひ、久しぶり」

そこにいたのは、以前助けてもらった彼女、アオイだった。

「き、聞いたのじゃな……」

「うん、バッチシ」

慈しみの笑みをこちらに向けてくる。やめて、本当に恥ずかしくなるから。

「貴女、聞いてたのね……」

「うん」

か、隠し通せてたのに……ここまでか。

「こ、このことは内密に……」

「イカレ男爵がまさかこんな奴だったとはなw」

「だ、誰がイカレ男爵ですって!」

「だって、手紙に愛しのって付いてるんだぜ。ヤバいだろ」

「……たしかに、というか性別がホントに分かんないんだけど。姿は女性、喋り口調は男性って、どっかの高校生探偵のパクリなの⁉」

「俺は男だが……それより、なんでそのネタをお前が知ってるんだ?」

「え?」

このネタ伝わる人、初めて見た……

そ、そんなことより、なんで?

「「おあなたもしかして異世界人?」」

そうだったのね。これは、思ったよりいい展開かもしれないわね。

「あの、唐突なんだけど、依頼出してもいい?」

「内容によるな」

「同じ異世界人のよしみでどうか。おねがいっ」

「ん~。どうする? シェラ」

「いいのではないか? アオイと同郷なのだろう? しかも騙されてたとしても我が蹴散らせばいいではないか」

「それもそうか……よし。依頼、受けさせて貰おう」

「失礼かもしれないけど、この方は?」

「我は、偉大なるフェンリル。シエルだ」





私はとんでもない人に依頼したのかもしれない…… 

あぁ、本当に速く仕事辞めたいな。












シェラ「この我をみても無反応だと⁉ この女、やはり只者じゃないな。凄みを感じるっ」

なぜかシェラからの評価が上がるベル


ベル「(あんまり関わりたくないな。なんか怖いし)」

シェラのことを怖がっているベル



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