そうだ、街にいこう。
新章スタートです!
そうだ、街にいこう。
何言ってるかわからないと思うが、俺も何言ってんのかわからん。
じゃあ何故こんなことを急に言ったかわかるか?
そう、某CMでやっていた”そうだ、京都に行こう”を思い出したからだ。
思い出すと湧き上がるこの気持ち。フハハハ、もう誰にも俺を止められないっ!
「狩りをしに行くぞ、アオイ」
「ア、ハイ」
……いや、意外に簡単に止められたな。無念…この想い、いつか晴らす。
まぁ、狩りも楽しいんだよね。格上のやつを倒すと、達成感もあるし。
「で? 今日狩る魔物は?」
「いや、今日狩るのは、魔物じゃない」
「じゃあなんだ?」
「〔魔獣〕だ」
「〔魔獣〕……。魔物と魔獣の違いってなんだ?」
「ん? 言ってなかったか? 魔物は魔素の濃い所で自然沸く生物。対して魔獣は、元となる生物がいる」
「元となる生物?」
「砕いて言うと、魔物は魔物として最初から生まれるが、魔獣は猪や鹿などが、魔素の影響を受け、変異した姿だということだ」
「なるほど……理解できた。ありがとう」
「うむ」
「シェラって博識だな。尊敬するよ」
「う、うむ」
あっ、照れてる。シェラさんや、隠してるようだけど、バレバレですよ。尻尾が揺れてるし。
言わないけどねっ! いやぁ~、眼福眼福。
「なっ、なんだ。ニヤニヤして」
「さっ、狩りにいくか。で魔獣のなにを狩るんだ?」
「<フォレスト・ホーン>だ」
森、角……鹿の魔獣か?
「鹿の魔獣か?」
「そうだが……よく分かったな」
「生息域は?」
「東の森にある洞窟だ」
「よし、そんじゃ行きますか」
俺は翼を出し……ん? 翼が増えてる……おーいっ! なんで実体がないんだよ!光じゃねえかこれ。
なんでだ? 俺、なんもしてないぞ?
そう考えながら、ステータス画面を開くと……「あっ、これのせいか?」
≪自由の翼≫
自由を愛し、何にも縛られない者に贈られる称号。翼を出し入れすることが出来るようになる。
[光翼召喚]で、光で構成された翼を召喚できる。その翼は、閃光のような速さをだすことができる。
そして、[閃光展開]を発動すると、翼の光が他の翼を覆い、自身のステータスを全て2倍にする。
これ、ぶっ壊れ性能だろ。召喚するだけで移動速度を上昇させるとか、ステータス全2倍とか、終わってんだろ。まぁ、使ってみないと分からんけどな。あっ、そうそう。天使の翼は[天翼召喚]で出て、全ての翼が[全翼召喚]で出るらしい。
よしっ、性能確認だ。「[全翼召喚][閃光展開]」
完璧だ。よし、行くか。
そうして俺は目的地へ向かった……この後起こる災難も知らずに……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ばんばんば⁉ ぼべ⁉」
そう、風圧だ。とにかく風がえぐい。そう、強すぎるのだ。
そうだな……ジェットコースターの100倍は風があると思ってくれていい。
これじゃあ、まともに会話も出来ない。
……今度シェラに教えて貰お。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「こ、こいつが、フォレスト・ホーン......」
そこに居たのは、禍々しくも、荘厳な空気を纏った巨大な鹿だった......




