第三章 緋熊
攻撃力は中々、
防御力はまぁまぁ、
攻撃速度はそこそこ。
群青の虎……もとい大海の虎。
こいつは強いとは言っても、やはり人数には勝てない様だ。
しかし、先輩曰く
「いつもより少し強い。ステータスが上がっている。何が起こるか分からない」との事。
だがそんな事にもお構いなしに、大海の虎にはスキルスキルの雨あられ。
そのどしゃ降りの様なスキル乱舞をもってしても、やはりボス。
このボスのHPを1目盛り分減らす事すら、俺達には相当難儀な事だった。
それに比べ、群青虎の一撃を五発程食らえば、壁役である緋熊のHPはギリギリになってしまう。
クリティカルでも発生したら……
ジ・エンドだ。
しかし、それを承知でギリギリまでHPを追い込む事は、緋熊にとっても大切らしい。
こいつ程、仲間思いな奴はいないだろう。
回復役である、カッツェとファーを思えばこそ。
緋熊は、回復と補助で減りやすい聖職者のMPを気にして、極力魔法を避けるようにしていたのだ。
ふとそう気づいた俺は、内心緋熊の事を見直した。
普段はあんなに弾けた奴だが、意外な所で意外な一面を出す。
そんな奴に好かれた昭楽は、とんだ幸せ者だよ。
実際の所、二人が付き合っているのかだとかは全く知らないが。
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【PT】FAR:先輩、いつもならこいつ何分でいける?
【PT】Riou:んー、30分位かな?大体ね
【PT】BEAR:マジ?じゃあコイツ強化されてるからもっとかよ!
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う~む……。
こればかりはベアと同感だな。
それより、たった一匹のボスで30分も時間が掛かるのか。