第三章 もぬけの殻
時刻は午前三時。
良い子ちゃんならとっくに深い眠りについているであろう、そんな深夜。
俺達は五層の各地域に散らばり、ここのボスを探していた。
先輩曰く、普通は決まった場所にポップ(出現)するが、ボス自体がその場から移動することにより、探さなければならない時もあるらしい。
そして、今はそんな時。
先輩の通い慣れたボスの定位置は、もぬけの殻だったのだ。
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【PT】Riou:あちゃ、いないか。人も見なかったからどっか行ってるな
【PT】TIGER:手分けして探す?
【PT】AIR:そうだね、何かあったら逃げるけど(笑
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作戦はこうだ。
まずボスを探し出し、今いるボスの定位置までおびき寄せる。
見つけたらチャットで見つけた事を簡単に伝え、攻撃を受けないように連れてくる。
そしたら、一斉攻撃!
しかし、俺の邪獣王の魂があるため、なるべく用心するように、との事だった。
皆バラバラに散り、捜索開始。
俺は南の方を任された為、ボスの定位置であるマップ中心部から南下中。
俺は戦士で防御力があるからまだいいものの、魔法系職業の奴らはどうするつもりなんだ……。
出会い頭の一撃で昇天したら元も子もないと言うのに。
まぁあいつらはあいつらでそれなりに逃げる術を知っているか。
今はボスを探そう。
ここのボスの名前は、
〈大海の虎〉、レベルは50。
たいかいのとら、と読めばいいのだろう。
やはりこの辺りに海のエリアが実装されそうだと思うんだよな。
姿はまだ見た事がないため、その大海の虎に会う事も少し楽しみにしている。
大海……虎……
どんなグラフィックなんだろうか。
その時、チャット欄に新しい発言が追加された。