第三章 掲示板
起動していたパソコンで検索エンジンを開き、直ぐさまキーワードを入力する。
「獣化伝 獣化」っと。
次いでエンターキーを中指で押すと、かしゃりと軽快な音を発てて検索結果が素早くディスプレイに表示された。一番最初に飛び込んで来たのは、件の獣化伝ホームページ。次に、獣化伝のWIKI。
そして、どこの掲示板だろうか。
「獣化伝の獣化現象について」と銘打たれたサイトに目が移る。
その文字を目にした途端、どこからともなく湧き上がる好奇心に駆られ、俺はそのURLをクリックしていた。
灰色の味気無い背景と、妙にマッチする黒いゴシック体の文字。
下にスクロールすると、つい最近立ち上げられたと思われる掲示板なのに、書き込み件数が930件……。画面右側のスクロールバーに目をやると、その書き込み件数の多さにも頷けた。
ゲームはひとまず置いておき、この掲示板を調べてみよう。
☆ ☆ ☆ ☆
――ゲームやった翌日、何か鏡見たら自分の作ったキャラと同じ奴が映った
なんで?
最初の方から見る限り、初めは些細な疑問からだった様だ。
しかし、日を重ねるごとにそれは深刻化して行き……遂にはこの掲示板、誰もが目にする様な掲示板になってしまったらしい。 つい最近、今日の朝5時に投稿された書き込みに、まとめがあった。
――やり始め当日から変化のまとめ
俺はオープン初日からの参加者
変化は皆同じカ所からの模様
初日:変化無
一日:自分の影が獣人になる
二日:感覚が鋭くなる、耳、尻尾
三日:右腕
四日:左足
五日※必見!!:顔、身体(右足左腕除く)六日:左腕
分かっているのはここまでだ
俺は今、顔も身体も半分以上獣人になり、仕事には行けなくなってしまった
このゲームをしたが最後、本来の生活には戻れないだろうな……
そこでこの書き込みは終わっていた。
この書き込みが事実を述べているのだとしたら、俺達は明日、確実に人間では無くなるだろう。
やはりネット社会、その情報伝達能力は侮る事は出来ない。
取り敢えず獣化の課程は知る事が出来た。
しかし、一から全て書き込みに目を通していたおかげで、7時を軽く越している。
きっと皆もうログインしているだろう。
俺は獣化伝ホームページを素早く開き、ログインをした。
昨日の雑談兼レベル上げの成果により、TIGERのレベルは38に。
まぁダンジョンにも遊びに行かずにひたすら敵を狩っていれば、すぐに上がるよな。
昨日は固定PT結成などもあり、色々とワクワクしたものだ。
ついでに、ギルドも作っておいた。名前は、CERBERUS
ご存知、地獄の番犬ケルベロスから名前を拝借したものだ。
意味は、このゲームからプレイヤーの未来を守る為の番犬……らしい。
因みに名付け親は遥霞。どうやって未来を守るのかは定かでは無い。