第二章 ビースト
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【PT】BEAR:ありがたいが、本当に良いのか?そっちだってレベ上げはしなきゃだろうに
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珍しくまともな事を言ってのけるベアだが、内心では手伝ってもらいたいに違いない。
誰でもレベルは早く上げたいと思うものだし、俺だって強くはなりたい。
それに更に言うとLv30になれば、特殊スキルの「ビースト」を覚える事が可能になり、ますます楽しくなるはず。
「ビースト」とは、獣人型からそれぞれの種族の四つ脚獣型にモードチェンジをするスキル。
狼の獣人ならば、狼に変化……と言った感じになる。
「ビースト」の特徴としては、
HP・MPの回復速度の加速
移動速度上昇
攻撃力上昇
防御力の低下
魔法防御力の低下
……などが挙げられる。
しかし、グラフィックではより獣に近くなる為に可愛さが倍増するのがまた魅力だ。
あ、ついつい話がそれてしまった。……本題に戻ろう。
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【PT】Katze:私達は一向に構いませんよ、貴方方はどうでしょうか?
【PT】FAR:そこまで言ってもらえるなら、お言葉に甘えても良いんじゃないかな
【PT】TIGER:まぁ、そうだな。じゃあ手伝ってくれるか?
【PT】緋熊:もっちろん!どこで狩ろう?
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ファーに流され、仕方無く二人に手伝ってもらう事に。
しかし、大人数で狩りをすると経験値の上がり方が早い事早い事。
みるみる内に上昇を続け、気が付けばレベルアップの効果音を何度も聞いていた。
そして、遂に28Lv。
手が届かなかった緋熊のレベルに追い付き、更には超してしまったのだ。
……当の緋熊はもう30になっていたのだが。
おまけにカッツェも30になったのだから、実際には追いついてはいない。
更に狩り続ける事一時間――
〈おめでとう!!30Lvになりました!!スキル「ビースト」を会得!!〉
〈ビーストモード専用スキルを会得!!〉
ようやく目的の30レベルになった。
俺を祝うシステム告知が画面中央に表示されるが、構わずにスキル一覧を見る。
勿論、新スキルを拝むべく、だ。
見つけたそのスキルを迷わずダブルクリックすると――
俺のキャラの足下に小さな白い魔方陣が現れて、一瞬の内に黒い虎へと変化したのだった。
黒い毛皮に白い縞の映える、可愛いようで格好良い……そんな絶妙なグラフィック。
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【PT】緋熊:みんなおめでとう、30まで意外と早かったね(笑
【PT】Katze:おめでとうございます、みんな可愛いですよ(*´ω`*)
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いやはや、これも全て緋熊とカッツェのお陰である。
彼らがいなければ、今頃俺達はまだ20レベル代をさまよっていただろうから。