第二章 邪獣王の魂
〈グゴ……邪獣王様……最早我が力もここまで……魂は何時も貴方様の傍らに……!〉
悲嘆のグリフォンは意味深な言葉を吐いて俺達を攻撃して来る。
〈邪獣王様の魂がお側にあると言うのに……尽きる命の儚き事よ……〉
……邪獣王の魂だと……!?
グリフォンの謎の一言が気になり、俺は自分のアイテム欄を調べる。
「…………!」
違う。
これは俺が昨日拾ったヤツじゃない!
〈「邪獣王の魂・ボス強化メモリ内蔵」
ボスが付近にいる際、このアイテムの効果によりボスを強化します
現在の「邪獣王の妖力」……0個
自分と同等もしくはそれ以上のLvのボスを狩るごとに妖力が+1されます
100個集めると……!?〉
なんだこれは……。
昨日はこんな説明文無かったのに……!
「邪獣王の魂・ボス強化メモリ内蔵」
と書かれたアイテムのアイコンを良く見ると。
昨日見たあの気色の悪い紫色ではなく、
血の様に紅い色で塗りたくられていた。
……一体何がどうなっていやがる!!
俺がそんな事をしている内に、とうとうグリフォンは苦しげな呻き声と共に散った。
〈我が命、永久に尽きる事無し……!!〉
どこぞの輩が叫びそうな台詞とボスドロップをいくつか残し、グリフォンは消滅。
――――――――――
【PT】緋熊:お疲れ様!手強かったね~!
【PT】BEAR:おう、こんなに強いとはなぁ
【PT】AIR:お疲れぇ~(´ω`)
【PT】Katze:お疲れ様、ドロップはどうする?山分け出来るかな・・・
【PT】FAR:足りるでしょ、このゲームは人数分と職業分ドロップするからね♪
【PT】TIGER:じゃあ俺が回収しとく~
――――――――――
このゲームは随分とプレイヤーに優しい設定になってるんだな。
感心しながらも、カーソルをドロップ群に合わせ、次々と拾って行く。
……丁度俺達と同じ七個分、職業も各々にバッチリ合った装備だった。
――――――――――
【PT】TIGER:お、本当に人数分と職業分あるな。いい機能だ(・∀・)
【PT】FAR:そうだね~
【PT】BEAR:早く装備よこさんかいっ!
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少しばかりのチャットを交わした後、皆にドロップを配布する。
しかし、アイテム欄を見ると……これはまた喧嘩になりそうな物が……。
……そう、戦闘ペットだ。
〈「ラビ Lv1」 戦闘ペット
小さなウサギの召喚獣 余りにも小さく非力なため、戦闘ではあまり役に立たない〉
さて、こいつはどうした物か。
正直俺は必要無い。騎乗ペットの方が魅かれるしな。
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【PT】TIGER:あのさ、戦闘ペットのラビ出たんだけどどうする?
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俺としては、緋熊かカッツェに渡した方が良いかと。
グリフォンを倒したのは実質彼らだと思うから。