第二章 白熊の戦士と獅子の聖職者
しばらく進むと、俺のパソコンの両脇に設置されたスピーカーから、効果音が聞こえて来た。
そう、俺達以外の誰かが戦闘をしていると言うことだ。
その効果音は、俺の黒虎が放つようなスキルの効果音、
そして、ファーがよく使う、回復時の効果音。
……戦士と聖職者か。
こちら側には効果音のみが届いているのだが、何故だか効果音を発する主は、こちらに気が付いていた。
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【内緒→TIGER】緋熊:来てくれたんだね!僕らをPTに誘ってくれない?
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やはり、効果音の主は朱羽だった様だ。
内緒チャットが来ている事に気が付き、俺は慌てて返答をする。
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【緋熊←内緒】TIGER:わかった。ちょっと待ってて
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更に進むと、そこには白い熊の戦士、ノーマルカラーの獅子の聖職者がいた。
……朱羽と昭楽だ。
俺は素早く、まずは緋熊を右クリックして、PT勧誘を選択。
続いて隣で緋熊の回復を続けるKatzeを同じように誘った。
昭楽のキャラの名前は、どこぞの国で「ネコ」の意味を持つと後に朱羽から聞いた。
新たに加わった二人に、他の三人はためらいがちに挨拶を交わす。
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【PT】FAR:よろしく~!
【PT】BEAR:よろ(´・ω・)
【PT】AIR:二人共よろしくね
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しかし、そんな三人に構わず緋熊とカッツェは交戦中の傍ら、気安く挨拶をした。
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【PT】Katze:皆さんよろしくです。カッツェと言います^^
【PT】緋熊:ヒグマ、よろしく!早速ボス狩りしようよ!
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何故緋熊がボス狩りを急かすのかと言うと、未だ緋熊はボスに攻撃を受けていたからだ。
緋熊の後ろには、ダンジョンの最奥とだけあって、いかにも強そうなグリフォンが。
すかさずカーソルをあわせる。
〈Lv20 悲嘆のグリフォン〉
俺達が到達する以前に、緋熊とカッツェがこいつのHPを減らしていたはずだが……。
グリフォンのHPはいまだ90%以上も残っていたのだった。
これは相当強い相手だな。
俺は直感的に、そう思ったのである。
ファーよりもいくつかLvの高い武器を装備していたカッツェに、ワンランク上の補助魔法をもらい、俺達は緋熊の援護に回る。
俺、緋熊、ベア、アイルは、グリフォンを一斉攻撃し、なんとかHPを削ろうと励む。
戦士である俺と緋熊は、グリフォンの攻撃対象が他のPTメンバーに移らないように気を付けつつ、スキルを連発した。
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【PT】TIGER:堅いな、コイツ!
【PT】AIR:物理も魔法もあんまり利かないって何事さ……
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……そう、このグリフォンは異常に防御が高くて攻撃が利きにくかったのだ。
これならば、俺達が来た時に緋熊とカッツェが助けを求めて来たのも頷ける。
とにかく、攻撃が通用しないのだから。