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第二章 2年4組

俺達のこの姿についての噂は、一時間目が始まる前から広がっていたそうだ。

中には突拍子も無い噂まで。



「ネコと合体して身体にネコを飼ってる」 

「異世界の獣人に魔法を掛けられた」

「実験のサンプル」




どう解釈されようと痛くも痒くもないのだが、白い目で見られる様な噂はやめて欲しい。

同級生の中から探すとは……鼻が大層良い訳でもない俺からすると、難儀なもの。



「聞き込み調査か。探偵でもあるまいし」



まずは仲の良い奴から聞いてみようか。

自分のクラスである2‐2へ向かい、暖かな陽気の差し込む窓際にたむろする連中の中に、割り込んだ。



「斉藤」



髪をほのかに茶色く染めた、それでも硬派そうな見掛けの奴に声を掛ける。



斉藤霧津【さいとうむつ】

小学校から高校までの、いくら切っても切れぬ腐れ縁。



「……ん?どうした、ニャンコ」



立ったまま昼寝でもしていたのか、気怠げに片目を開ける、霧津。



「お前までニャンコなんて言うなっ。

……それより、二年で俺らみたいな尻尾生えてる奴とか知ってるか?」



ニャンコと言われて可愛がられるのは御免だが、情報は聞き出さなければならない。



「あぁ?お前みたいな奴か?この学年にいたかよ、真名斗」



霧津は隣りで椅子に座る、

田嶋真名斗【たじままなと】に話題を振った。



「そう言えば2‐4にライオンと熊が出たって聞いたような。三年にも虎が一人、な」



なるほど。田嶋は意外にも情報通な様だ。そうと決まれば。



「悪いな、ちょっくら行って来る」



俺は残り少ない昼休みを無駄にしない様に、直ぐさま2‐4に向かった。

情報通りにライオンと熊がいたら、話を聞いてみるだけの価値はあると思う。

 

 

 



     ☆ ☆ ☆ ☆



 

 

2‐4、俺の知り合いはほとんどいない。

教室の外からクラスの内部を覗いてみた。 

クラスの中心部、並んだ二つの席について仲良く談笑しているのは。

 

 

……あぁ、あれが例のライオンか。だが、どうみてもあの後ろ姿は女子だろう。

何故ならあのロングヘアー。いかにもって感じだ。

その隣りには、活発そうな顔をした、頭から熊耳を覗かせる少年がいた。

 

 

女子とはあまり話はしたくはないのだが、ここは同類と言う事で、仕方無く話を聞きに行く事に。

他クラスに入り込むのは忍びないが、取り敢えず話だけでもと思い、二人に近付いて行く。

教室の後ろから入って来た俺に気付く様子も無く、耳と尾を揺らして談笑している。 

 


「……うんうん。ねぇ朱羽君、今度戦闘ペット狙いに行かない?」

 

 

「昭楽が言うなら仕方ないなぁ。ラビだろ?じゃあ今日な」

 

 

どうやらゲームの話をしている様だ。それにしても、仲が良いな。

 

 

「……あの、ちょっと良いか?」

 

 

二人に近付いた俺は男子の方の肩を軽く叩き、声を掛けた。

 

 

「ん?だ……れ……」

 

 

肩を叩いた俺の頭と尾を凝視する。自分達にも生えていると言うのに。

 

 

「どーも。二組の中村虎獅っす」

 

 

「あ、ごめんごめん。僕は柿沼朱羽【かきぬましゅう】

よろしく?」

 

 

男子の方、朱羽は熊耳をピンと立てながら軽く挨拶を返す。女子の方に目をやると。 

 


「私は朝日昭楽【あさひあきら】

あなたも、あのゲームをやったの?」

 

 

……早速本題に突入か。

 

   

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