第一章 ダンジョン
各自事前にキャラの装備を新調し、回復薬も露店で沢山買って来た。
MMORPG……いや、RPGと言う物において、ボス狩りは醍醐味とも言えよう。
ボスのいないドラ○エ。
……どこに面白みがあるんだよ!
と思わず勝手に突っ込んでしまえそうなくらいボスの位置とは重要である。
嘆きの洞穴は紅兎平原の南に位置し、周囲には他のプレイヤーは見当たらない。
因みに獣王街は紅兎、黄鼠の北にあり、俺達は南下してきたって事だ。
――――――――――
【PT】FAR:じゃ、先陣切って行ってくれ、壁役のたいがー君
【PT】AIR:頑張ってね、たいがー(・ω・)
【PT】BEAR:盗賊は防御低いからお前に任せるわ(´Д`)
――――――――――
っと。ここで俺の出番が来た訳か。
――――――――――
【PT】TIGER:任せとけ、行こう
【PT】BEAR:キャータイガー君カッコイイー
――――――――――
……勿論奴は無視する。
熊野郎の特技は相手を茶化す事だ。
全くもって迷惑極まりない。
☆ ☆ ☆ ☆
――嘆きの洞穴第一層
進入した途端、画面中央にデカデカとマップ名が表示される。
俺は肉球カーソルを右上のミニマップに合わせ、次の層に行く道を確認。
意外と広かったダンジョン内だが、そのルートは一本道をちょっと曲げた感じの物だった。
詰まり迷う事は無い。
――――――――――
【PT】TIGER:面倒だから雑魚無視で
【PT】FAR:ほいよっ
――――――――――
そう返答があり、ファーはまず自分に補助魔法を掛けた。
長く白いローブを着た可愛い顔の狼の頭上に、スキル名が吹き出しで表示される。
〈ブレッシング!!〉
狼の足元に神々しい魔方陣が出現、「防御UP↑」の文字と共に狼は光に包まれた。
ファーはそれを俺達の人数分繰り返す。
前衛(物理職)の俺と熊野郎には、物理攻撃力UP魔法も掛けてくれた。
……いや、俺さっき雑魚無視って言ったよ……な。「攻撃↑」は要らないんじゃないのか。
一人ごちる。
まぁそんな事は置いといて。
俺は周りのアクティブモンスター(こちらが攻撃しなくても自動で攻撃してくる敵)を自分に寄せ、第二層入り口まで突っ走る。
せめてアクティブモンスターだけでも警戒しないと、いつ防御力の低い魔法職二人がやられるか分からないから。
そのための壁役である。
PTメンバーがやられそうなら、代わりになって戦闘に割り込むし、
俺はそのためなら死ぬ事になっても構わない。
だってそれが戦士ってもんだから。
第一層を無事に駆け抜け、俺達は第二層へと突入。
やっぱりWIKIの記述通り、普通のフィールドより人が少ない。
と言うより全くいない。
第二層まで走ってきたが、その間見掛けたプレイヤーは0だ。
――――――――――
【PT】TIGER:人が全く居ないな
【PT】BEAR:まぁダンジョンだからだろ。普通のマップより敵も強いからな
――――――――――
ベアとそんな短いやり取りを交わし、俺達は目的の第三層を目指す。