お怒りでいらっしゃる
「.........」
「.........」
「.........」
「......あの、」
「なに」
「すいませんでした」
「何についての謝罪かしら」
「きのうの昼休み、海道と一緒に食べたことについてです」
「は?」
「いやっ...怒りのオーラを発していらっしゃったので...」
「私が怒っているのはそこじゃないわ」
「えっ?」
「あなたが誰と食べようと、私には関係ないでしょう」
「それは...そうかもしれんが」
「私が何に怒っているのか、分からない?」
「......俺が海道の詮索を上手くいなせなかったことか?」
「なんの話?私それ知らないわよ」
「『お前どこで飯食ってんだ』って聞かれて」
「この場所を教えたの?」
「一緒に食ってるやつがいるから教えられないと答えた」
「......はぁ」
「すまん」
「別にいいわよ。海道君なら言いふらしたり、ややこしくしたりしないだろうし」
「場所は教えてもいいのか?」
「もう一度聞かれたら答えてもいいわよ」
「おっけ」
「で、私が怒っている理由の話だけど」
「さっぱり検討もつきません」
「まあいいわ。あなた昨日、何の連絡もしなかったわよね」
「あ、...............はい」
「あなたが来ないってわかっていたら、本を持ってきておいたり、友達と食べることにしたり、何かしら対応ができたのよ」
「......おっしゃる通りで」
「報連相は若い頃から意識しておくべきよ。親しき仲にも礼儀は必要でしょ?」
「申し訳ありません」
「直接話しかけられると色々とややこしくなるけど、LINEとかメールとか色々方法はあるでしょ?
「...それは思いついたんだが、これだけ顔を合わせてるのに黙って友達追加するのが妙に恥ずかしくてさ。メアドも知らないし、まあいいかと思ってしまった」
「私達、LINEは繋げていなかったかしら」
「ああ、繋がってないぞ?」
「なら仕方ないわね」
「仕方ないのか?友達追加すれば連絡取れたんだぞ?」
「あなたから急に申請が来たら思わず通報してしまうわ」
「怖っ、申請しなくてよかった...」
「今なら追加できるでしょう。やってしまいましょうよ」
「おう」
「はい。私のQRコードよ」
「......よし。申請送っといたぞ」
「......」
「黙って通報しようとするんじゃない」
「...許可したわ」
「OK、これから他の人と食うことになったら連絡入れるようにするな」
「ええ、よろしく」
「逆にお前が誰かと食べる時は1報入れろよ」
「私はあなたと違って常識人だから、心配はいらないわ」
「なら良かった」