結局、美味いものはみんな好き
ガラガラ…
「おう、来たか」
「あら、あなたのほうが先にいるのは結構珍しいわね」
「俺はいつも通りに来たぞ?お前が遅かったんじゃないか」
「お手洗いに行っていたのよ。余計なことを聞かないで」
「別に聞いてねぇだろ」
「まぁいいわ。お腹が空いているのよ。早く食べたい」
「存分に食え食え。誰もお前の食事を邪魔したりしないから」
「助かるわ」
_________________________________
「昼休みになって教室を出ようとしたときに海道と目が合ったんだけどさ」
「ああ、例の話?海道君にばれたとかなんとか」
「めちゃくちゃウィンクしてきてすげぇ鬱陶しかった」
「まあ、言いふらしはしないと思っていたけれど、そういうことはしてくるわよね」
「んで、そのウィンクがマジで下手だった」
「頑張ってウィンクしようとしてる姿が容易に想像できるわ」
「あの様子だとしばらく続きそう」
「仕方のないことよ、耐えなさい」
「そうだなぁ」
「そういえば、お前ってどんな食べ物が好きなの?」
「いきなり何?話を変えるときはきちんと前置きをしてちょうだい」
「しただろ?“そういえば”って」
「“そういえば”はそこまで万能な言葉じゃないわよ。ある程度関連してる話題から連想できるときに使うの」
「じゃあ話変わるけど、好きな食べもの何?」
「だから、なぜ急にそんなことを聞くの?」
「いや、鉄板の質問だろ?」
「鉄板は鉄板でも初対面の鉄板じゃない。今更そんなこと聞いてどうするのよ」
「ほら、俺達って飯食うために集まってるわけじゃん?それなのに好きな食べ物も知らないのってどうなんだって話」
「なるほど、確かにそうね」
「あと、鉄板の質問をスルーし続けるてると考えたらすげーモヤモヤしてきた」
「わかったわ、その質問に答えてあげる。ただし、あなたが先に言いなさい」
「なんでだよ」
「人に名前を聞くときは、まず自分からって言うでしょ?それと同じよ」
「どういう理屈だよ……」
「ほら早く」
「あー、好きな食べ物か…」
「自分も決めてないのに聞いてきたの?」
「いやー、好きな食べ物は沢山あるんだが、いざ尋ねられると困るというか」
「気持ちは分かるわ。一つに絞らなくていいから言ってみなさい」
「それなら、ハンバーグ、オムライス、エビフライ、ラーメン、カツ丼、焼き肉、寿司、ステーキ、パスタ、ピザ、」
「ストップストップ止まりなさい」
「すき焼き、グラタン、カレー……どうした?」
「多いわ」
「一つに絞らなくていいって言ったから」
「さすがにここまで大量に出てくるとは思わなかったわ」
「好きなんだからしょうがないだろ」
「それにあなたが今言ったもの、誰でも好きな食べ物ばかりじゃない」
「誰でも好きなら、俺が好きでも問題ないだろ」
「そういうものはわざわざ言わなくてもいいのよ。言わなくても大体分かるのだから」
「じゃあ自己紹介の時に“好きな食べ物はオムライスです”って堂々と言うような奴らはどうなるんだよ」
「単純に、人一倍オムライスが好きな人として認定されるだけ」
「俺はただ好きなものを好きと言いたいだけなのに…」
「結局のところ、あなたは何が好きなの?一つに絞って」
「うーん……」
「もうお子様ランチでいいんじゃないかしら。あなたが言ってたものが色々はいってるわよ?」
「間接的に俺の好きなものがガキっぽいってイジってるのか?」
「そうね」
「よっしゃ喧嘩だ。お前にお子様ランチの素晴らしさを教えてやる」
「名前と年齢制限を省けばただのスペシャルセットじゃない。恥ずかしがることはないわ」
「はぁ……結局のところ、俺は美味いものなら何でもいいのかもしれない」
「何もまとまってないけれど、そういうことでいいんじゃないかしら」
「さあ、俺の好きなものは言ったぞ。次はお前の番だ」
「私は美味しいものと甘いものが好き」
「そういえばこの前も、プリンに目がないって言ってたな」
「プリンに限らず甘いものは好きよ」
「お前も人のこと言えないな」
「あなたにだけは言われたくないわね」
「………」
「………」
「…もうこの話はやめよう。不毛すぎる」
「好きな食べ物だと話にならないから、嫌いな食べ物の話をしましょう」
「俺、嫌いな食べ物は特にないぞ」
「あー、………私もないわね」
「まあ、いいんじゃないか?二人とも好き嫌いしない健康児ってことで」
「本当になんだったのよ、この時間………」
本当に本当に本当にまったりと更新をしていくので、よろしければブックマークをしてお待ち願います。




