第7話:……ってコト!?
朝もベッドが僕を離してくれないんです……(´;ω;`)
「は……?」
何言ってんだこいつは。
本来なら敵同士なのに、何軽く「吸ってみる?」とか聞いてくれちゃってんの?
「人間と亜人が良くて天使がダメなんてことないでしょ。まぁ、正反対の存在だから何かしら副反応はあるかもしれないけどね」
「いやいや、確かに強くなれるかもしれないけどな? なんかこう、ダメだろ」
「僕が良いって言ってんだからよくない?」
「…………仲間を傷つけるようなことしたくねぇんだよ」
「え? なんだって?」
「絶対聞こえてただろお前! このくだり前にもやったから! もういいって!」
あー、はっずかしい!!!
なんであんなこと言っちゃったかなぁ!?
フェイなんてこっち見てニヤニヤしてるし、顔は熱いしさぁ!
なんかめちゃくちゃムカついてきたんだけど!
「そっか~。傷つけたくないくらい僕のこと大切なのかぁ」
「……別に」
「照れてる?」
「別に」
「今夜のご飯は豪華にしようか」
「…………」
当分このことでイジられるんだろうなぁ。
もうここまで恥かかされてんだったら思ってること言っちまったほうが楽になるかな……。
「……一緒にいた時間はそんなに長くないけど、それでも俺みたいなやつに親切にしてくれる奴は大切にしたいんだよ」
「なに? 急に恥ずかしい事言い出してどうしたの?」
「何言ってもお前にからかわれる気がしたからいっそのこと全部ぶちまけてしまおうかなって」
「ふーん。ま、僕もアベルといて気が楽だけどね」
「お前も恥ずかしい事言うんじゃねぇか」
「僕だけ言わないのは不公平かと思ってね」
「……他探すぞ!」
俺が気恥ずかしくなって急かすと、フェイは笑いながら狼人間の死体を持って歩き出した。
よくもまぁこんな細い腕であんなでけぇ死体持ち上げられるもんだと思いながらも、その後をついていく。
「アベルの意思を尊重するけど、吸いたくなったらいつでもいいからね」
「そんな時はこないほうがいいんだよ。平和な生活してたら血が必要なんてことあり得ないんだから」
「そうだね」
そう言って俺はどんな状況に陥ったらフェイの血を吸うのか考えるが、そんなこと考えても意味なんてないことに気付いて思考は夕飯のメニューのことにチェンジしていた。
……レバーとか食いてぇな。
「お騒がせの狼たちは片づけてきました。一応他にいないかも探してから帰ってきたので大丈夫だとは思いますが、各々でも気を付けていただけると安心です」
「おぉ! 神父様、ありがとうございました! これで安心して森に入ることができます……」
「いえいえ、後回しになってしまいましたが怪我をした人の回復をしましょうか。案内していただけますか?」
「わかりました」
フェイと村長が話している横で、俺はいまだに夕飯のことを考えていた。
普通に焼き肉とか食いてぇけど、天使って肉とか食っても大丈夫なんだろうか?
「アベル、ちょっと行ってくるから先に家に戻ってていいよ」
「んー。わかった」
フェイのお許しが出たので、俺は一足先に教会に戻ることにした。
つってもそんな早く戻ってもやることねぇから適当に本読んだりするくらいしかできないんだけど。
いや、正直人間の読み物ちょっと面白いんだよ。
本棚にあったやつ適当に読んでただけだからどういうジャンルかもわからず読み始めたんだけど結構ハマって何ならフェイに続き強請ったくらいだし。
確か今読んでたところは、主人公が死んだと思ってた親父と再会したと思ったら闇の組織に肉体改造された生物兵器でそれを止めるために近所で飼ってた犬のトムを探しに行ってるところだった。
設定が渋滞してる気がしなくもないけど、これからどうなるのか気にはなるからまぁいいだろう。
「ていうかなんだよ『近所で飼ってた犬のトム』って。そんな犬でどうやって親父止める気だよ……」
よくよく考えてみたら意味わからんな。
伏線なのかどうかもわからんし、ますます続きが気になってきた……。
「早く帰らねば……!」
「おい!!」
家に帰る足を速めた俺を呼び止める声が一つ。
なんだなんだと振り向いてみればそこには一人の少年が。
「……どうしたんだ?」
「お前! ちょっとかっこいいからってちょうしにのるなよ!」
はぁ?
いきなり現れてなんだこのクソガキは。
かっこいいからって調子に乗るな?
別に乗ってねぇだろ。何なら俺よりフェイの方がイケメンじゃねーか。
「別に調子に乗ってねぇけど、そもそもの話君はどこのどちらさん?」
「お前みたいなやつに名乗る名前はない!」
「へぇ、それじゃ、そう言う事で」
なんかどや顔で言い放ってきたからいい加減面倒になってもう帰ることにした。
後ろでぶちぶち言ってるけど、全速力で逃げれば俺の方が速いし……。
「あ、おい! 逃げるな! 卑怯者!!」
うるせぇバーカ!!
いきなり現れて名も名乗らずに言いたい放題言ってくる奴に卑怯だなんだって言われたくねぇよ!
ちらっと振り向いてみて、姿が見えないのを確認してから走るのをやめた。
変な奴に絡まれたせいで、せっかくウキウキしてた気持ちが萎えたわ。
どこの誰君なのかは後でフェイにでも聞けばわかるだろ。
身元が分かったら親にチクってやろうかな……。
「こっちが下手に出てればいい気になりやがって」
「そんなイライラしてどしたの」
「おわっ!?」
どうやって泣かせてやろうか考えていると、空からフェイが降ってきて俺の顔を見るなりそう言ってきた。
「随分早かったな……」
「これでも一応は天使だからね、回復は得意なんだよ。アベルがお腹空かせて待ってるかと思って空飛んで急いで帰ろうかと思ってたらまだこんなところにいるんだもん」
「あー……。途中で変な奴に絡まれてな、意味わからなさ過ぎて苛立ってた」
「そりゃ災難だったね」
「それでちょっと聞きたいんだけど、十歳くらいの茶色の短髪男って誰かわかるか?」
「うーん、村内だと何人かいるけど、ここら辺に住んでるのはケイン君とかかな……もしかして絡まれたのってその男の子なの?」
「あぁ、いきなり呼び止められて『調子に乗るな』って言われた」
「あらー」
数分前の出来事だけど、いまだ怒りが収まらないんだが?
これって俺の心が狭いってコト!?
喧嘩は同じレベル帯でしか起こらないって聞くしな……。
ここは俺が大人になってあのクソガキをしばき倒すしかないか。
「あ、思い出した。多分その男の子はケイン君で会ってると思うよ」
「なんかあったのか?」
「いやね、僕も世間話程度の情報なんだけど、アベルって村の人たちの手伝いとかしてたじゃん? その途中で、アクセサリー無くして泣いてる女の子を助けてあげたんだって?」
「んー? そんなこともあったような、なかったような……」
「その女の子がその一件でアベルのこと好きになっちゃったみたいでさぁ。仲のいい男の子に『かっこいいよね』っていう話をしてたらしくて」
「まて、わかった。その男の子ってのがケインとかいうやつなんだな?」
「うん」
「完全に俺関係なくね? 何なら善行を積んでるのに」
「まだ子供だからね、仲のいい女の子がいきなりどこの誰ともわからないやつのこと好きって言ってたから嫉妬しちゃったんじゃない?」
「はた迷惑な話だな」
子どもに好かれるのは悪い気はしないけど、それが原因で敵意も向けられることになるとは……。
まぁ、こんなんでも俺だってとんでもなく長く生きてるしな、信じられんくらい広い心で許してやるか。
「あ、今夜は焼き肉食いたい」
「お肉あったかなぁ……? レバーはあった気がするから出してあげる」
「さんきゅ」
肉はあまりなかったから森に言って鹿を狩ってきて死ぬほど食った。
後日ケインの家に行って母親にチクってやった。
めちゃくちゃ叱られてるのを見て、気分良く家に戻ったらフェイに「大人げない」と怒られた。
解せぬ。
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