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第16話:親と子【中】

えー、言い訳をさせて頂くとですね……今免許をとるために自動車学校に通ってて、試験だなんだと色々と重なってしまったため書けてませんでした。

本当にすみませんでした!

次回の投稿も不定です!!!!

でも近いうちに出します!出したいです!!

 何が来ても耐えられると油断している親父は俺が攻撃するまで動く気はないのだろう、白を崩壊させた巨大な闇剣を作り出してもこちらを見つめるだけで動こうとしない。


「いくら吸血鬼の始祖とは言え、親父だってこれをまともに喰らえば無事ではすまないんじゃないか?」

「かもしれんな。だが、私の体は真に無敵。たとえどのような攻撃であろうと一瞬で再生してしまう」

「無敵ねぇ……随分と大きく出たじゃねぇか。あまり油断してると足元すくわれるぞ?」

「残念だが私の辞書には『油断』という文字は無い」

「随分と親父に都合よく出来てる辞書だな。なら今日でその辞書に文字を増やしてやるよ」


 無駄話をしている間に俺は限界まで闇剣を束ね終わった。

 初めの一撃のように、頭上には触れただけで万物を消し飛ばす程の威力を秘めた特大級の闇剣が浮いている。

 俺はそれをなんの躊躇もなく親父の方へ飛ばした。


「おぉ!? これが今のお前の全力か!!」


 しかし、親父はその闇剣を声を上げるだけで受け止めたのだった。

 その非常識な光景に、俺は衝撃を隠せなかった。

 だっておかしいだろ? 一般的な吸血鬼なら体が消滅するほどの威力だったんだぞ!?

 それをまだまだ余力を残していそうな勢いで()()()()()んだぞ?

 無理やり逸らしたとかではなく受け止めた……それはつまりその威力の攻撃ですら親父にとってはそれだけ軽い攻撃だったってことだろう。


「バケモンかよ……」


 始祖の吸血鬼の非常識さを再確認したと共に、今の俺の実力じゃ勝てないことを理解した。

 だから俺が待つのはフェイだ。

 本当なら俺一人の力で親父をぶっ飛ばしたかったけど、それが難しい以上あとはフェイに頼るほかない。

 あいつなら……あいつとならどれだけ強い親父相手でも負けるビジョンは見えない。


 しかし壁の向こうから帰ってこないのを見るに、親父の言っていたように、誰かしら別のやつと戦闘になってる可能性もある。

 その相手がゲッセルなのか、それとも別の誰かなのか分からないけど、どちらにしろフェイが帰ってくるまでは俺一人でそれまで耐久しなければならない。

 親父が本気を出して来たら厳しいだろうけど、俺の力を試している今はまだ何とか耐えられそうだ。


「まだ隠している力があるだろう?」

「……そんなもんねぇんだけどな」

「吸血鬼と天使の両方の性質を兼ね備えてそれだけの力しか持っていないなどと言う事はないだろう? 奥の手などと出し渋っていると無駄な傷が増えるだけだぞ」


 親父は本気で俺がまだ力を隠していると思い込んでるっぽいけど、マジで限界で戦ってるんだけどなぁ……。

 まだまだ弱いのは事実だが、こうして直接言われると結構へこむ。

 やっぱりフェイに戦い方とか教わった方がいいんだろうか……?


「――ッ!」


 気が散っていたわけじゃなかった。

 いつ攻撃が来てもいいように親父から目をそらさずにいた。

 それでも考え事をしていたせいだろうか、ほんの一瞬の隙があった。

 気付けば瞬きをする間に親父は俺の懐に入り込み、その凶悪な爪でもって俺のことを切り裂こうとしていた。

 避けれたのは奇跡に近い。

 反射的に後ろに跳んだことで運よく範囲内から逃れることができただけで、そんな幸運が何度も続くことはないだろう。


 このままでフェイが来るまで持ちこたえることができるだろうか……。

 少しでも親父を弱体化させられるような方法があればいいんだが、生憎吸血鬼に弱点らしき弱点なんて存在しないからなぁ。


「ふッ!」


 下から救い上げるように迫る爪に闇剣を添わせ、受け流してから横腹に蹴りを入れて距離を取る。

 少しでも時間稼ぎができればそれでいいんだ。

 フェイが帰ってくるか、親父を倒す策を思いつくまでの間耐えられたらそれでいい。

 考えろ……なんでもいいんだ。

 人間たちの話していた中にもヒントがあるかもしれない。

 俺が村に住んでいた間に少し調べた感じだと、日光に弱いだとか、流水が苦手という話もあったし、心臓に木の杭で殺せるとも聞いた。


 まぁ確かに日光に弱いっていうのは嘘じゃないけど、それも夜行性だから朝とか日が出てるときに活動するのがつらいってだけで、日光を浴びたから弱体化するとか死ぬなんてことないし、流水も全然平気だしな。

 心臓に木の杭を打てば死ぬってのも大体の生き物心臓さされたら死ぬだろっていう突っ込みをしたほうがいいのかってくらいの常識だし……まぁ吸血鬼なんて存在が非常識の塊みたいなもんだから心臓がどうこうなったくらいじゃ普通に再生するけど。


 どうにかこうにか親父の攻撃を捌きながら頭をフル回転させる。

 当たっても死なないとはいえ痛いもんは痛いし、服だってただじゃねぇんだから切り刻まれたりしたら面倒くさい。

 後は銀で出来た鏃で刺すとか首を斬るなんてものもあったりしたがそれも言うまでもなく効かない。

 あれ? こうして見ると吸血鬼ってほんとに無敵じゃねぇか。

 基本何しても死なない上に力も強いと。

 唯一天使の力だけが万が一あるくらいで、その天使ですら生命力の差で負けることはほぼないに等しい。

 よく人間たち滅びなかったなって、尊敬の念すら湧いてくるレベルには絶望的なんだが……。


「いつまでこうしているつもりだ?」

「何度も言うけど、現状さっきのが最大火力の攻撃だったんだよ」

「……やはりお前は出来損ないだったのか?」

「そうだな、最初は俺一人でも親父相手にいい勝負できるんじゃないかって思ってたんだけどな。予想以上に強くて参った」

「私を相手するのにその程度の力で渡り合えると思っていたとは片腹痛い」

「俺もそう思う。けどまぁそんな親父相手にここまで大したダメージを受けることもなく戦えてたんだからまだマシだろ」

「それももう終いだがな」


 あぁ、終わりだよ。

 親父が俺の方に踏み込んだ瞬間、背後の城が大爆発を起こした。

 瓦礫と一緒に一人の吸血鬼がボロ雑巾のような姿で吹き飛んでくると、その後から戦場に似つかわしくない陽気な声が聞こえてきた。


「あれ? もしかしてアベル結構ピンチだったりする?」

「あぁ、毎回遅いんだよ……お前は」


 フェイは純白の羽をはばたかせ、俺の横に下り立つと親父の方を見つめて光剣を作りだした。

 それと同時に親父が移動したかと思えば、全くの見当違いな場所に爪を振り下ろしていた。

 フェイは一切動いていなかった。

 なのに親父はフェイとは無関係の場所を切りつけていた。

 一瞬にして目の前で起こった異常な光景にただただ圧倒されることしかできない自分が情けなかった。


「こんなのも見抜けないくらいの実力なんだ?」

「天使、今何をした」

「わざわざ教えてあげる義理なんてないけど特別だよ? 今のはねぇ、ただ単に光の屈折を利用して別の場所に意図的に残像を作っただけ。よく見れば違和感を抱いただろうけど、今のを気付けないのはちょっと恥ずかしいね」

「え……」


 俺も分かんなかったんだけど、もしかして恥ずかしい?

 ていうかフェイの力使えるはずなのに全く知らない技が出てくるの何なの?

 なんだよ光の屈折って! 光の剣を生み出して操る能力じゃないのかよ。


「アベルに話したことなかったっけ? 僕の力って光を自在に操るものだからさ。だから相手の視覚とか結構いろいろできたりするんだよね」

「初耳なんだが……」

「あ、この前戦った時、光の剣だけで他の使い方しなかったのってもしかして他の使い方知らなかったから使えなかっただけ?」

「そうだよ! お前の力は剣作って飛ばしたりできるだけかと思ってたんだからな!?」

「だからほら、こんなこともできるよ」


 そう言いながらフェイはそれぞれ違う色の光剣を作りだした。

 一本は今まで見てきたスタンダードな白っぽい色の剣、そこから順に赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七本を作って宙に浮かべた。


 嘘だろ!? ここにきてまさかの新事実発覚だと!?

 光を自在に操れるってなんかすごい天使っぽい力だな……。

 俺の場合なんか光が勝手に黒くなってんだけどフェイみたいに光の屈折がなんだかんだってできるんだろうか?


「ほいっ」


 フェイはその八つの剣を親父の方に放つとそれぞれ両手両足と腹、胸、頭に突き刺さって壁に貼り付けにした。

 いやいや、そんな軽い声でやることえげつないな……。

 いくら死なないとは言えさすがの俺でもドン引きなんだが。


「お前……」

「ん? どうかした?」


 良い笑顔でそんなことを聞いてくるフェイを見て、悪魔みたいなやつだなと思ったことは墓までもっていこうと思う。


どこかで『会話文の多い小説は下手』っていう評価されてるのを見て、そういえば僕の小説は会話文が多かった気が……と思い立ったため今回は地の文を多めに書いてみました。

どっちの方が読みやすいなどあれば感想など頂けると幸いです。

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