第7話 夏と冬の夜
そして、その日の昼休み
俺はまた国枝に呼び出されたのだ
めんどくさがりながら校舎裏にいくとそこには国枝と6人ほど悪い奴らが集まっていた
一応中学はそこそこ偏差値高いところに行ったつもりだったんだが…
どの学校も不良ってやつはいるもんだな
「よぉー。朝はよくもやってくれたな?しっかりと借りは返しにきたぜ?ヘヘヘ。」
「いい加減にしてくれよ。俺と千冬は幼馴染だ!男女の関係にはない!」
「そんなことはどーでもいいんだよ!お前が生意気なのがムカつくんだよ!お前ら!やっちまうぞ!」
国枝とその他もろもろは一斉に俺に向かってきた
運動もろくにしてない不良のパンチなど俺のスキルの前では擦りもしない
だが、抵抗せずに避け続けるのは流石に至難の業だ
くっ。流石に厳しいな。
こいつら無駄に体力あるし
「オラオラ!やっちまえ!」
「避けてんじゃねーぞ!」
「しねー!!」
俺の集中が少し切れたとき、国枝のパンチが顎に当たった
「くっ!!」
顎が振動で脳が揺れ、スキルが乱れた
その一瞬だった…。俺は奴らにボコボコにされた。
「やっと当たるようになったぜ!」
「ほらほら、優等生君。そんなもんかよ!!」
奴らは俺1人相手に殴る蹴るの横暴
俺は地面にうつ伏せになってひたすらに受けるしかなかった
「ハァハァ。ったく、手こずらせやがって。おい!お前らこれ写真撮って一青さんに送りつけようぜ!いい気味だ!」
「ハハハハ!そうだな!おいみんな撮れ撮れ!」
その時だ、たしかに俺の中でプツッとなにかの切れる音が聞こえた
無我夢中で拳を国枝達に振るった
そして、気が付いた頃にはそいつらはそこら中から血を流して倒れていたんだ
そして、たまたま見かけた先生が国枝達を病院に運んで行った
その放課後、両親が学校に呼び出された
先生と俺と両親は会議室で話し合いが始まった
俺はどうしてこうなったのか、事細かに先生に話した
俺は学年でも上位に入るほどの優等生だ。先生は俺の言うことを信じてくれた。しかし、現状俺は軽症、国枝達は肋を折るなどの重傷となっていた。
両親は先生に必死で謝り、その帰り道国枝達の親の元へ行き、俺と両親は必死で頭を下げた
「夏。やってしまったことは仕方がない。お前が全て悪いとも言わない。だが、やりすぎてしまったことは自覚をもちなさい。」
父さんが俺に言った
「夏。私はあなたを信じるわ。だってあなたの母親だもの。でも、次同じようなことがあったら真っ先に相談してちょうだい。今日みたいに力で抵抗しちゃダメよ。お願いね。」
母さんは少し涙目で俺に言った
そして、この日俺は初めて千冬と一緒に帰らなかった…
次の日学校に行くと、俺はクラス中から視線を感じた
「お、おはよう。」
仲の良い友達に話しかけると、何も言わずに俺から去っていった
「あいつ…同級生の骨折ったんだってよ…」
「勉強のストレス発散が暴力って…」
「一青さんもあんな奴と幼馴染とか可哀想よね」
「もしかしたら、一青さんも裏では何してるかわかんないわよ…」
そんな陰口とともに、俺のせいで千冬も孤立していった
そしてそこから俺は千冬に合わせる顔がなく、避けるようにして千冬から距離を取った
そこから中3の冬休みまで俺はずっと孤立し、千冬とも一言も喋ってはいなかった
あの日は冬休みの課題を終わらせ、受験勉強の為に図書館で1人勉強をした帰りだった
外は雪が降っていて、積雪2センチといったところだろうか
夕方ごろ日も暮れ、暗いなか雪をギュッギュッと踏みながら俺は家に帰っていた
すると玄関の柵の前に千冬の姿があった
千冬は髪が長くなっていて、白いマフラーに赤のコートを着ていて、鼻と頬が寒さのせいか少し赤らめていた
久しぶりに千冬の顔を見たからなのか、赤らめているからなのかとても可愛く見えた
「な、なっちゃん…。話があるの…」
千冬はどのくらい俺のことを待っていたのだろう。少し震えた声で俺に言ってきた
だが、俺は止まることなく家に入っていった
「俺に関わらない方がいい…」
バタンッと玄関を閉めて部屋に戻った
俺はそのことを忘れようと無我夢中に自室で勉強を始めた
気づけばすでに21時を回っていたのだ
俺は3時間ほど勉強に没頭していたらしい
「んー。」
腕を大きく上げ、力を抜いた
「風呂でも入ろうかな。明日も図書館で勉強するか…。そういえばまだ雪降ってるのかな?積もったら図書館までの道のりは難儀だ。」
俺は雪を確認する為にカーテンを開け外を確認した
「あちゃー。まだ降ってるな。明日いけるかな?」
そう言いながら、ふと、玄関の方を見ると、赤いコートをきた千冬が玄関の前で座り込んでいた
まさか!?ずっとあそこに!?
俺は急いで玄関を開け千冬の元に駆け寄った
「千冬!!なにしてんだよ!!こんな寒さの中ここにいたら死んじゃうぞ!!」
千冬は俺の姿をみてニッコリと笑って言った
「ハハッ。やっときてくれた。遅いよ。夏。」
「とにかく!早く中に!俺の服貸してやるからすぐ風呂に入れ!」
俺は千冬を家の中に入れてすぐに風呂に入らせた
そして1時間後千冬が俺の服を着て風呂から出てきた
「服…ありがとう…」
風呂上がりで赤らめた顔、そしてまだ若干濡れている髪に幼馴染として見れていない俺がいた
「と、とにかく。それ貸すから。早く家に戻りなよ!」
俺は千冬から顔を背けて言った
すると千冬は勢いよく俺に抱きついてきたのだ
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