第6話 夏の過去
「なっちゃんお待たせー!」
「遅いぞ!早く行かないと遅刻だ!」
「女の子なんだから時間もかかるのよ。あ、お母さんからお弁当!はいっ!」
「あぁ。助かるな。ありがとう。」
「おかあさーん!いってきまーーーす!」
玄関で手を振る千冬の母に手を振っていた
俺は弁当のお礼にと少し頭を下げた
すると、千冬の母が親指を立てて『いいね』と言わんばかりに笑顔で俺に向けた
???
どうゆうことだ?
「ほら!なっちゃん急ぐよ!ほんとに遅刻になっちゃう!」
俺と千冬は駆け足で学校へと向かっていった
チャイムギリギリで俺たちは教室にゴールインしたのだ
「ハァハァ。セーフ。」
千冬が息を切らして言った
「おはよー千冬!」
「今日は遅かったわね!どおしたの?」
「おはよー!実はね…」
千冬は仲のいい女子たちの元へと行ってしまった
千冬は誰にでも明るく、優しい性格だからか、小学校の時から千冬の周りには男女問わず沢山の友達が集まっていた
まぁ、性格もそうだが、モデルみたいに長い足と良いスタイル、そして綺麗な顔立ちも相まってクラスだけではなく学校中で噂になってるくらい目立っているのもあるけどな。
対して俺は入学して2週間が経っているのに誰一人として友達はいない。
クラスに入れば窓際の1番後列の端に座って、読書や風景を眺めている。
いわゆるボッチってやつだろう。
まぁ、1人主義の俺からしてみれば良いことに越したことはないんだけどな。
「夏君!おはよう!ギリギリだねー!」
うぅ!猫頭!
まさか、一緒に100mを走った程度で話しかけるまで発展させるとは!!
こいつ!陽キャか!
「あぁ、おはよう。猫頭。」
「それにしても、いつも一青さんと登校してるけど、付き合ってるの?」
「…いや、それはないな。ただの幼馴染だ。」
「なんだ!そうだったのか!美男美女でお似合いな感じだけどね。夏君は可愛い顔してるけど、角度によっては超イケメンだからさ。」
「あ、ど、どうも。」
「ほらー!お前らー席につけ!HR始めるぞ!」
いいところで先生が来たな
俺はそそくさと席についた
猫頭が言った言葉は小学校の頃から沢山の人に言われてきた
「一青さんと付き合ってるの?」
「本当に仲がいいよね!」
「お似合いだよね!」
そんな言葉とは裏腹にそれをよく思わない人もいたのだ
あれは中2の終わり頃
その頃の俺はまだ人と関わりをもって接していた
今とは違いどちらかと言えば明るく、友達もそこそこいたと思う
「おーい!夏!なんか隣のクラスの国枝って奴がお前のこと呼んでるぞ?」
「国枝?知らないな」
「夏、国枝に呼び出されたのか?そりゃめんどくさいな…」
「どうゆうやつなんだ?」
「いやー。悪いやつではないんだけどな。女絡みになると面倒なやつだってのは噂でな…」
「なんだ。なら問題ないだろ。俺は彼女もいないしな。」
「まぁ、そうなんだが…」
「ちょっといってくるな!」
.
.
.
「お前が六条か?」
「あぁ。そうだけど、なんか用か?」
「用どころの話じゃねー!お前、一青さんと付き合ってねーんだよな?」
「また、それかよ。付き合ってないよ。千冬はただの幼馴染だ。」
「じゃ、なんでいつも登下校一緒なんだよ?な?一青さんはいろんな奴に告白されても、好きな人がいるからと断ってるじゃねーか!てめぇー隠れて付き合ってんじゃねーのか?あ?」
「だから!付き合ってねーよ!告白を断るのも千冬の勝手だろ?なんでそれで俺が呼び出されなくちゃいけないんだよ」
「あ!?。てめぇ、何口ごたえしてんだぁ?」
国枝は俺の胸ぐらを掴んできた
完全にとばっちりだ…
しかも手を挙げてる時点でこいつはただのストレス発散が目的なんだろ
「くっ。なにすんだよ!」
「うるせー!お前これから一青さんと距離置け!いいな!?」
めんどくさい。
こうゆう頭が脳筋な奴とは会話が成り立たないのを初めて知った
「…あぁわかったよ。千冬には近づかないようにする。それでいいな?」
「わかりゃぁいいんだよ。ったく。」
国枝はそのまま去っていった
その日の下校時
俺はさっさと準備を整えて外履きに履き替え自宅に帰ろうとした
だが、珍しくその日は千冬が先に俺のことを待っていたのだ。
「やっときた!帰りのHR早く終わったから、先に待っててあげたよ!驚いた?」
「ち、千冬。あぁ。お、驚いたな。」
「もー何固まってるのよ!さ!早く帰ろ!」
千冬は俺の背中を押して一緒に帰ったのだ
次の日朝から俺は国枝に呼び出された
「おい。お前日本語通じねーのか?」
それはこっちのセリフだ。
お前はストーカーか。いつどこで見てたんだ
「いや、わるいな。あの時はしょうがなく…」
「言い訳してんじゃねーよ!」
国枝は俺の右頬にパンチを入れてきた
だが、俺はスキルを持っている為軽く避けた
避ける行為がさらに国枝の頭に血を登らせたのだ
「ってめーー!!何避けてんだよ!!オラっ!オラ!オラっ!!」
国枝のパンチやキックは全て俺に掠ることは無かった
「ハァハァ。ハァハァ。てめー。おぼえとけよ。」
そして国枝は当てることができないと確信したのか去っていった
面倒ごとに巻き込まれたな。
こっちからは手を出してないから大丈夫そうだけど…
おぼえとけよって言ってたしなー…
はぁー。めんどくさい。
ご愛読ありがとうございます
ブクマ、評価、感想お願いしますm(_ _)m