第4話 夏と侵入者
俺はパンパンのショルダーバックと片手に大きなミノタウロスの角、もう片方に分厚い牛革を持って地上にもどった
「おお!少年戻ったか!それは…ミノタウロスのアイテムか?てことはダンジョンクリアか!おめでとう!」
「はぁー…どうも。」
俺はダンジョンクリアと大量のアイテム獲得でテンションは舞い上がっていたが
人と話すのは苦手な為塩気ない返事しかすることができなかった
「ソロにしては随分と早いな!まぁ、なんだ、またなんかあったらいつでも来いよな!」
うぅ…。熱い眼差しを感じる…
俺が苦手な三代要素、熱血、大声、距離感。
全てをコンプリートしたこの男とは早めに会話を切り上げて帰りたいところだ…
「じゃ、また…」
「おう!気をつけて帰るんだぞ!またどこかでな!」
悪い人ではないんだろうだが、すでに23時を回っていて疲れも出てきていることもあり、俺はそそくさと去った
バイクのサイドバックに持っていたアイテムを入れ
すぐに自宅へとバイクを走らせた
自宅に着くと、俺の部屋だけ明かりがついていることに気づいた
「ん?消して行ったよな?…あ!まさか!!」
バイクからアイテムを急いで取り出し、玄関を開けドタドタと階段を上がって部屋に入ると
そこにうつ伏せで雑誌を読みながら足をクネクネさせている千冬がいた
「千冬!!またか!」
「あ、おかえりー。もー遅いよー」
「おかえりじゃない!これで何度目…いや、何十回目だよ!勝手に人の家に入る女がいるか!」
「まぁーまぁー。慌てなさんな。どーせ親もいないんだしいいじゃないの。ちゃんとお母さんに言ってきたから大丈夫よ!ただ何回来てもエッチな雑誌はないようね。」
キリッとした顔で言った
「はぁーー。まぁ、いい。とりあえず風呂入ってくるからその間には帰れよ!」
俺は寝巻きを取り部屋を出ようとした
「あ、台所にサラダうどん作って置いといたから食べてね!どーせダンジョンに夢中で食べてないか、大雑把な肉丸焼きとかで食べてるんでしょ?ちゃんと栄養とらないとダメよ。」
うぅ!!鋭い…
千冬は昔から俺のことはなんでもお見通しかのように振る舞ってくる。
完敗だ…
「あぁ。ありがとう。」
俺は別に悪いことをしたわけじゃないはず…
だが、千冬に圧倒された…
台所に行きオークの肉を冷蔵庫にしまうと、すぐさま風呂に入りに行った
30分後…
「ふぅー。疲れた後の風呂はたまらないなー」
「やっと出た!もー男のくせに長いわよ!」
「な、千冬!?なんでまだいるんだよ!」
俺はすぐさまバスタオルを巻いていた下半身を隠した
「…何隠してんのよ。幼馴染なんだから気にすることないじゃない。ご飯準備しとくから髪の毛とか乾かしといてね!」
ダメだ…これじゃ、どっちが男か女かわからなくなる…
千冬には勝てない…
髪の毛を乾かし、台所に用意された食事を食べると、すぐに自宅の研究室にアイテムをもって入った
当たり前のことだが、千冬もテクテクとついてきた
もぉ、何も言わない…
「もしかして、これからやるの??」
「あぁ。やり残したままだと眠れないからな。」
「とっくに0時回ってるわよ?…昔からほんとに完璧主義者よねー。つかれそっ!」
じゃ、家に帰れよ
と言いたいところだが、どうせ論破されて終わりだろうから何も言わない
俺は今日使った十士道魔装銃をテーブルの上に置き、分解をした
魔導武具の分解など手慣れたもんだ
そこから、魔力電子盤、魔力回路、魔導チップなど必要な部品を取り外した
そして、今日手に入れた魔核の半分と緑の粘着物を原子隔離機器、残りの魔核とデルタサーペントの皮をそれぞれ同じ機械に入れた
「あとは、数時間待つだけだな。その間に父さんに連絡入れとくか」
腕につけた携帯で父さんに連絡をいれ、出てきた画面を指でスクロールし研究室の大画面へと同期させた
プププププ
「…もしもし?夏か!どおした、こんな遅くに?」
「こんばんわ父さん。実は今、十士道魔装銃のアップデートをしてるんだけど、一応父さんに助力をもらおうと思ってね。」
「お父さんこんばんわー!」
「千冬ちゃんもいたのかい?こんばんわ!…そーか、アップデートねぇ…。僕よりも夏の方がその辺は詳しいだろ?なんで僕に助力なんか」
「父さんの方が安全性や危険性の予想ができるだろ?最先端化学魔法の研究室長なんだから。今時間大丈夫だったら少し付き合ってくれないか?」
「まぁ、そうだけど…。今は、まぁ、大丈夫かな。それで、アップデートとは何をするつもりなんだい?」
「今の状態よりも、魔力転送速度、魔術式展開速度、魔力濃縮速度をあげようと思ってね。それと魔法のレパートリーも少し増やして、完成かな。」
「ほぉー。こりゃまた大胆なことで。今の十士道魔装銃の時点で、世界最高の魔法銃なのにその上をいくのか…。」
「それでなんだが、魔力回路の並列を増やそうと思うだがどうだ?」
「んー。たしかに、それなら術式展開と濃縮は上がるけど、転送速度は並列分岐のせいで落ちないかい?」
「あぁ、俺もそう思ったんだが、魔力回路の出力を上げることですべて底上げできないかな。今の出力量の1.5倍にしようと思ってるんだけど」
「い、い、い、い、1.5???そんなことしたら魔力回路がオーバーヒートするだろ?」
「だから並列分岐を今の3乗増やすんだよ。」
「!!!。たしかに。それなら使う時には最大火力。使用後すぐに冷めるな…。だが、ただでさえ難しい魔力回路の分岐をそんなに増やしたら演算能力が追いつかないんじゃないか?」
「だから残念ながら俺にしか使用できない」
「…なるほどな。夏の演算能力は飛び級だ。それなら問題はないだろうな。たが、リミッターはつけるんだろ?」
「そのつもりだ。演算能力といっても脳に支障が出るほどの回路は危険だからな。緑の粘着物と魔核を2:8で配合した魔力回路で覆うことでリミッターにしようと思う。しかも絶縁体の役割もあるから魔力出力速度も更に底上げだ!」
「ハハハハ。天才だよ夏。早くうちの研究施設に欲しいものだな。」
「気が早いよ。とりあえずこれでやってみようと思うんだが、大丈夫そうか?」
「対魔物なら問題ないだろうね。ただその銃は化け物だ、一応魔法濃縮度調整をつけておきなさい。」
「そうだな。わかった。」
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