第2話 夏とダンジョン生活
学校での1日が終わり、俺は下校の為昇降口にいた
「なっちゃんお待たせー!まった?」
「いや、そんなことないよ。帰ろうか。」
言葉ではそう言ってるが、内心ダンジョン早く行きたい為か忙しなくしていた
「そういえば聞いたよ!猫頭君100m6秒だったんでしょ?すごいわねー!」
「スキルの相性がよかったみたいだな。」
「なっちゃんもすごいんだから、スキル使えばよかったのに…」
「俺のスキルを使ったところでそこまで速くはいかないさ。それに、魔導武具が学校使用の物じゃ性能的に耐えられないだろ。」
「…たしかに。天才魔導技師様の作った物以外だと劣りますねぇー。」
千冬はニヤニヤしながら夏を見た
「はいはい。千冬はどうだったんだ?」
「私は8秒台よっ!一般組でなら1番でしたー!」
「流石だな!魔力操作も慣れて来たようだな。」
「まぁね。誰かさんが早くダンジョンに連れて行ってくれないから頑張ってるのよ!」
「まぁ、そのうちな…。」
そんな会話をしていると2人は自宅に到着した
2人は隣同士の家に住んでおり、都内でもなかなかの豪邸であった
「今日もダンジョンに行くの?」
「行くよ。そろそろ、魔導武具制作も詰めだから、現金稼ぎもしておきたいしな。」
「…そっか。1人で無茶しないでね。何かあったら呼んでね。」
「あぁ。わかってるよ。それじゃ、また明日な!」
家に帰るとすぐに自室に入り、ダンジョン用の服に着替えた
「さてと。そろそろダンジョンの階層も終盤だな。魔導武具のアップグレードの為とは言ったが、ダンジョンは俺の生きがいだからな。っよし、行くか。」
玄関から外に出ると、愛用のバイクに跨り
手をかざすと、電気が起動した
「地縁ダンジョンまで」
『了解しました。地縁ダンジョンまでのルートを検索………片道30分。最短ルートで案内します。』
アクセルを握り、家を出発した
地球にダンジョンが発生してから1年後にダンジョンが国から一般公開された
理由としては、ダンジョン内のアイテムの収集効率を上げる為、ダンジョン攻略が国の自衛隊のみだと追いつけない為である。
ダンジョンを攻略する為に新たに出来た職業【探求者】は、ダンジョン内のアイテムを持ち帰り、それを国が全国に運営する国役所にて換金することができる。
もちろん、アイテムを持ち帰り自身で使用することもできるが、アクセサリーや道具以外の物は専門知識がなければ豚に真珠である。
そして、探求者は年齢、性別を問わず役所で申請することによりなることができた。
もちろん申請時には、スキルの確認と試験がある。
試験に合格することにより、Dランク探求者としてスタート位置に立つことができた。
探求者は収入が不安定になりやすい職業なので、国からは税金免除の為これまた役得である
ダンジョンにもランクは存在し、D〜S、SS、SSSとなっている。
もちろん探求者のランクとダンジョンのランクは同じか、それ以下でないとダンジョンに入ることはできない。
『運転お疲れ様でした。地緑ダンジョンに到着しました』
「ふぅー。ついたな。」
夏はバイクから降り、ダンジョン入り口に向かって歩いて行った
「今日も来たのか少年!」
国に雇われている門番代わりの自衛隊員が俺に言った
「えぇ。まぁ…。」
「しかし、本当に遠目から見ると美少女だよな。髪が長ければ間違えられても仕方ないほどだ。」
たしかに、俺は華奢な体で、顔立ちは女っぽいが…
「それ、男でもセクハラになりますよ。まったく…。はい、カード。」
夏は言われ飽きてるのか、呆れながら探求カードを渡した
自衛隊員はカードを受け取った
「すまんすまん。悪気はないんだけどな…。…よし、オッケーだ。もお8階層突破したのか!ならあと2階層だけだな!がんばれよ!」
「どーも。」
心なしな返事をしてダンジョンに入って行った
まったく…。まぁ、切り替えて攻略と行きますか。
「昇降板に手を触れてっと」
入り口の壁に埋まっている電子板に手をかざし足元に魔法陣が現れた
「いつ見ても、魔法のエレベーターとは時代も発展したもんだな。」
魔法陣の中に入り、9階層へと転移した
「さて、はじめるとするか!」
探索の基本は常に右の壁に沿って進めと誰かが言っていた気がする
まぁ、地緑ダンジョンはすでに攻略済みのダンジョンの為、攻略マップが公開されてるから関係はないんだが
「しかし、夕方にかけてダンジョンは賑わいを見せるのに、このダンジョンは空いていて助かるな」
ダンジョン攻略は基本的に年中無休、四六時中行われている。
だが、週末や夕方になると、会社や学校終わりの人々で相当な人数が集まる時もあった
俺は基本的に目立ちたくないし、自分のスキルや魔導武具を見せたくはないのでなるだけ人が少ないダンジョンを選んで攻略しているのだ
その点、地緑ダンジョンはBランクとそこそこのランクがあり、出てくる魔物もBランクにしては少し強めである為、人口密度は低くなっていた
このダンジョンが自宅の近くにあって助かっているよ
まぁ、高ランクのデメリットとしてソロよりパーティーでの攻略が多くなるから、集団に会う確率も上がるんだけどな……
「…ん?くる。」
縦横4mはあるだろうダンジョンの迷宮からノソノソと現れたのはオークだった
「今更ながらオークか…。9階層だかな、一応気は抜かないほうがいい。」
さて、この階層の魔物はどれほどのものかね
オークは持っている棍棒で俺に襲いかかってきた
「まぁ、単調だよね。」
俺はオークの攻撃を軽々と避けた
オークの単調な攻撃とはいえ、1発1発はそれなりのパワーがあるな
空を切る音がうるさい
「だが、まぁ、相手じゃないねっ!!」
俺はオークの腹を思いっきり殴った
すると2m以上あったオークは飛ばされていった
「あ……」
アイテム回収…しないとな
俺は飛ばしてしまったオークの元に行くと、オークはすでに息絶えていた
「えっと、アイテムは…」
オークの死骸とその周りを薄暗いダンジョン内部で模索した
「棍棒がドロップアイテムか…。いらないな。魔石とあとはオーク肉は相当高額で換金できるからな…いただいていくか。えっ…と、オークの解体っと。」
俺は腕につけた携帯を押し、画面を目の前に出すと動画配信サイトでオークの解体方法を調べた
その手順通りにオークを解体して、オーク肉をゲットしたのだ
「…あとは初級氷魔法で瞬間冷凍して終わりだな。氷結!」
手から放たれた氷魔法によりオーク肉5kgは瞬間冷凍され、俺のショルダーバック行きとなった
「重いな。バックの大半を肉が占めてしまった。ここからは必要なものだけ集めるとしよう。」
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