第17話 夏の大金
銀座駅に到着し、駅から銀座に降り、俺と千早は高価な装備品やブランド装備品が並ぶ新銀座通りを歩いていた
「すごいわねー!店のショーケースに並んでるのどこも有名ブランド魔導武具ばっかりよ!」
千冬は物珍しいのかキョロキョロと首を動かしては色々な店を見ていた
千冬が驚くのも無理はないな
魔導武具も日々性能がいいものが新発売されている。そこに有名ファッションブランドやコスメなどがコラボ商品として販売や先行、限定販売などすることにより消費量を上げてるわけだ
まぁ、探求者は税金免除だから懐も広いものだ
かく言う俺も銀座で銃を買いに来ている
と言っても、好きなブランドがあるわけではない。
じゃ、なぜ銀座なのか…
それは、高いものに間違いはない!からだ!
まぁ、魔導武具を作れる立場からすれば高価な劣等品はすぐに判別はできるから言える言葉だがな
「さて…。千冬、あそこの店に入るぞ」
俺は銀座のキラキラしたザ・高級という店ではなく、色々な物が揃ってますよー的な雑貨店に入った
「いらっしゃいませ。今日はどのようなものをお探しですか??」
ほぅ。制服を着た俺達にもしっかりとした対応。それに完璧で清潔な服装…
悪くないな…
「今日は魔装銃が欲しいんですが、オススメや新入荷などありますか?」
「はい。かしこまりました。こちらが魔装銃のコーナーになります。どうぞ、ごゆっくりご拝見ください。」
素晴らしい!
用事を聞いた途端、邪魔をしないように丁寧に去る姿。さすが銀座だ!
いや、むしろこの店のいき渡った教育なのか??
ここは信用できそうだな。
あ、そういえば千冬は…
いろんな魔導武具をキョロキョロ見てるようだな。店員とも気さくに話してるし…
まぁ、ほっといて大丈夫だろ
俺は魔装銃のコーナーをじっくりと見た
ふむ。旧モデルもなかなか揃っているな
魔導武具は基本新しい方が使いやすい
だが、自身の演算能力に合った旧モデルをずっと使い続ける探求者も稀にいるものだ
俺は新商品派だがな。
この中なら3択まで絞れるが…
店員に聞くのが1番か
「すみません」
「はい。如何なさいましたか?」
「今出てる中で1番新しい銃なんですが。トミタの銃、ジョガーの銃、それと、鷹白の銃を出してもらえますか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員は真っ白な手袋を着用し、ショーケースから丁寧に一丁一丁取り出した
「お待たせいたしました。どうぞ、お手に取ってください。」
俺はそれを一丁ずつ物色した
まずは、トミタの銃だな
トミタは国内大手自動車メーカーが開発した魔導武具だ
手に取るとよく分かる、日本人ならではの細工までのこだわり。それに、日本人の平均的な手の大きさにフィットする様に作られたその仕上がり
だが、残念ながら日本人の悪いところが出ているな
安全性を重視しているため、機能以上のことはできない。それに魔導チップの許容量が少ないな。値段の割には付加価値が少なすぎる。
「この銃の魔導チップは魔法をいくつまで入れられますか?」
ちなみに、魔導チップとはチップ内にあらかじめ属性魔法を決めておき、それを魔装武具に装備して発動する代物だ
「はい。3つが限界となっています。」
「なるほど…」
まぁ、無難だな。安心安全にダンジョンを攻略する人向けってことだな。
よし、次!
ジョガーの銃か
ジョガーは外国産大手自動車メーカーが作った魔導武具だ
一応日本人向けに作っていることもありフィット感はなかなか。だが、細部までのこだわりは感じられないな。魔力回路や魔力電子盤はトミタの方がよかった。しかし、探求者の演算能力次第では火力は十二分に出せるな。悪くはないが、手入れと消耗が激しそうだな。値段も高いが、付加価値としては悪くない
「この銃の魔導チップは?」
「はい。4つですね。」
「ふむ。」
悪くはない。高ランクのダンジョンならば持っていても損はない。だが、長期でダンジョン攻略となると消耗が早すぎて向いていないな。
3日攻略するなら、さっきのトミタを選ぶな
次!
鷹白の銃か
このメーカーは日本の産業が産んだ完全オリジナルの代物だな
フィット感はいいな。硬くもなく柔らかくもなく。
それにコンパクトかつ探究されたこのデザイン。中央に描かれた鷹のマークが高級感を漂わせている。
そして問題は内部だが、魔力回路は他2つと比べると少し太めだな。オリジナルのだけあって随分と大胆な作りだな。制御装置を搭載してるとはいえ演算能力を間違えたら焼き切れる。だが、俺なら扱える。
「魔導チップのほうは?」
「はい。3つですね。」
「ほほぅ。」
なるほど。少し心許ないが、俺からしてみれば魔法など3つで十分。むしろ普通の魔弾が強ければそれでいい。
この銃はいわば上級者向けだ。慣れれば最大出力も出せるし、不慣れなら火力は弱いままと操銃者によって大幅にかわるな
よし、決めた
「この鷹白をいただけますか?」
「かしこまりました。今、お見繕いをします。席についてお待ちしますか?ご一緒に飲み物もお持ちしますが…」
「そうですね。テーブルに置いておいてもらってもよろしいですか?少し他も見て回りたいので」
「かしこまりました。」
店員は裏に周り、銃を梱包しに行った
「なっちゃん、決まった?」
「あぁ。決まったぞ。」
「なになに!どんなの?」
「まぁ、それはあとでな。千冬は何を見てたんだ?」
「いろいろ!十士道も売ってたわよ!3500万円からだけどねー」
「ハハハ。そんなもんだろうな。」
「よく、そんなに笑っていられるわよね。高級車1台分よ?少しは安くしなさいよね!」
「それは俺の親に言ってくれ…。それに十士道1つあればダンジョン内なら高級車よりも安全だと思えば付加価値は十分じゃないか?」
「すーぐ、屁理屈!」
「まぁ、その話は置いておいて。店員が飲み物を用意してくれたから、そこに座ろう。」
「はーい」
俺と千冬は席につき、用意されていた飲み物を飲んだ
千冬は少し緊張しているのか直ぐに全部飲んでしまった
そして、俺が飲み終わる頃、店員が絶妙な間で来た
「大変お待たせいたしました。こちらが鷹白の銃になります。」
店員が俺に箱を開けて見せてきた
流石だな。客が飲み終わるのを見計らっての接客。そして、この梱包の丁寧さ。悪くない…
「はい。ありがとうございます。」
「はい。それではお会計に移らせていただきます。税込3160万円になります。」
「さ、さ、さ、さ、3160??なっちゃん??どんな買い物してるのよ!!」
「ち、千冬!!ここは店内だぞ!大声をだすな!」
「あ、…。そうじゃなくて、なんでこんな高いもの買ったのよ!」
「逆に命を預けるのにこんなもので済むなら安いだろ」
「はぁー…あきれた。財布がすっからかんになっても知らないからね!」
「あのー。お会計よろしいでしょうか?」
「あ、すいません。じゃ、カードで」
俺はギルドカードを渡した
ギルドカードは全キャッシング機能と全電子決済機能がついているのだ
「はい、お受け取りいたします。少々お待ちください。」
店員はカードを持ってレジに向かった
「ちゃんと私に何か奢ってよね?ビンボー男子高校生でも容赦しないからね!!」
「いやいや、この間例の魔導武具の臨時収入入ったからそんなにビンボーってわけじゃ、ないぞ?」
「あ、そう!いくら入ったかは知らないけど、そんなにポンポンお金が手に入るもんですか!!」
店員がレシートとカードを持って戻ってきた
「こちらがレシートと領収書になります。またのお越しお待ちしております。」
「ありがとうございます」
俺と千冬は店を出た
そして、俺は千冬にカードを渡して見せた
「ほら、まだ大丈夫だろ?」
カードを見た千冬は驚きの顔が隠せていなかった
「なっちゃん…なに…この…数字…」
「何ってお前所持金だろ。」
「よ、よ、4500万??嘘でしょ?」
「ほんとだ。言っただろ?臨時収入があったって」
「私…。なっちゃんのお嫁さんになる!!」
千冬はそう言うと俺の腕にしがみついてきた
「おい、千冬…目が¥になってるぞ…」
「……。さぁ、渋谷にいくわよー!!」
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