第16話 夏と電車内
俺は千冬と朝日さんと共に電車に乗り、目的地まで電車に揺られていた
「六条くんは探求者歴は長いのかしら?」
「いや、高校の合格発表後からなったから、そんな日はながくないぞ」
まぁ、あの頃は学校もなかった為ダンジョンが楽しくてほぼ毎日探求に明け暮れてたからな
「それなのに、あの頭の回転の速さ…。驚かされるわね。千冬さんも探求者なのよね?」
「そうよ!」
「ランクは?」
「これでもAランクなの!」
「す、すごいわね。てことは、六条くんもそのくらい?」
「あぁ、俺もそんなもんだ。」
ほんとはSだが…
これ以上驚きを与えて、教室で噂になっても仕方ないからな
「朝日さんも探求者なの?」
「そうよ。私はまだBランクだけどね。それと私のことは穂子と呼んでいいわ。苗字呼びは嫌いなの。」
「わかった!なら私も千冬でいいわよ!Bランクも十分すごいじゃない!」
「まだ、中の下にすぎないわ。早くランクを上げたいわよ。」
「魔導武具は何を?」
「これよ」
朝日さんは腰に下げた細長い板のような魔導武具を俺に見せてきた
そこには十字のデザインが施されている
「少し、借りても?」
「いいわよ」
それを受け取ると、俺はまじまじと観察した
ふむ。十士道の剣は俺の力作をよく再現しているな。
父さんもなかなかやるもんだな。
「ありがとう」
俺は朝日さんにそれを返した
「いいえ。まじまじと見てどうしたのよ?」
「いや、高校生で十士道シリーズを使うなんて珍しいと思っただけだ」
「まぁ、十士道シリーズは性能が良すぎる反面とても高価だからね。父が高校合格の祝い品としてくれたのよ。これを使ったら他の魔導武具は劣化品にしか見えないわね。」
「それを作った人に言ったら、最高に喜ぶだろうな」
「まるでその人を知っているような口ぶりね。あ、私次の駅だわ。」
電車が駅で停車した
「じゃ、また来週ね!来週末の校外学習もよろしくね。さよなら、千冬、六条くん。」
「あぁ。」
「じゃーね!穂子!」
プシュー
電車のドアが閉まると、再び俺達を乗せた電車は銀座に向けて走り出した
「なんで言わなかったのよ!?」
「なにがだ?」
「十士道のこと!!」
「別に言うほどのことじゃないだろ。変に言って信じてもらえず、ホラ吹きにされても困るしな。沈黙は金ってな。」
「もー。なっちゃんはすごいのにな…」
十士道シリーズを作った天才科学者である【白瑛十士童】は俺のことだ
イラストでもあり、シンボルの十字のデザインは化学と魔法が重なった特異点を現している
元々は俺がダンジョン攻略で集めたアイテムで勝手に魔導武具を作り上げてできた代物だが
それを親に見せると国の公式な魔導武具として販売を開始した
他の魔導武具とは性能が頭一つ抜けているが、魔力回路など精密すぎて量産ができない為、値段は相当跳ね上がっているらしいがな
まぁ、利益の数%は俺の懐に入ってくるから親には感謝だ
それにしても、その高額な代物を買える朝日さんの親って…
「なぁ、千冬。もしかして朝日さんの親って?」
「あー。財務大臣らしいわよ。相当なお嬢様って聞いたことあるわね」
うちの学校は金持ちしかいないのか……
そんなことを思いながら俺は電車に揺られ、目的地に向かった
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