第11話 夏の勘違い
俺達は御茶ノ水に着くとバイクをパーキングに止めた
「運転ありがとう。いやー爽快だね!」
まったく。運転してるだけでこんなに疲れるとはね。
「いや、こちらこそだな。千冬達の姿が見れなかったから先に国役所に行ってるのかもな。」
「そうだね。とりあえず俺たちも向かうとしようか!」
俺はバイクから大量のアイテムを取り出して国役所に向かった
「す、すごい荷物だね。それ全部ダンジョンで?」
「あ、あぁ。まぁな。」
半分以上は自分で使ったと言ったら驚くだろうから言わないでいいだろう…
「一応、一青さんに連絡してみようか!」
猫頭は腕の携帯から千冬の番号に電話をした
プププププププ
「あ、もしもし?猫頭くん?」
「そうだよー。一青さん達今どこにいるのかな?俺達は今国役所に向かっているんだけど」
「あーごめんねー。一恵に国役所を案内しようと思って先にきちゃったの!入り口で待ってるね!」
「そうか!わかったよ。すぐにいくから、またあとでね」
プツッ
「ギルドに先にいるってさ!」
「そうか、たすかった。待たせると面倒だ、少し急ごう。」
俺達は少し急足で向かった
国役所の入り口には千冬と梵さんが立っていたが、見知らぬ男達に絡まれていた
ん?なんだあいつら…
千冬が困った顔してるじゃないか!
「おい、悪いがこいつは俺のツレなんだが?なんか用か?」
俺は千冬とその男達の間を割って入った
「ん?あぁ、すまねーな!探求者ランク聞いたらAだって言うからパーティーに誘ってたんだ。無理強いするつもりはなかったんだが、彼氏に勘違いさせちまったな…じゃ、またどっかダンジョンであったらよろしくな!」
男達に2人はそのまま去っていった
勧誘…?
もしかして俺はとてつもない勘違いをしたのか…?
「プッ。あ、あの…ププッ。ありがとね…な、なっちゃん…」
千冬は必死に笑いを堪えながら俺に言った
「ハハハハッ。梵さんもいるのに一青さんだけを俺のツレだなんて、本当に幼馴染なのかい?」
猫頭が指を刺して笑いながら言った
「な、なんというか…その。ごめんね梵さん。」
「い、いえ。と、とりえず行きましょうか…」
梵さんは笑いを堪えながら言った
人生最大の勘違いをした…
まさか勧誘とは思わないだろ…
それに相手の男も丁寧だったしな、これではまるで俺が心の狭い奴みたいじゃないか…
「そ、そうだな。行こうか」
俺は少し顔を赤らめて下を向きながら中に入っていった
話は変わるが国役所は区や市の役所を簡易的に建てた作りとなっている
受付から換金窓口、それに情報窓口の3つに分かれている。
そして、異世界での定番、クエスト情報の提示なんかは無いが、攻略マップの提示と出現モンスターの記載なんかもしてあるものだ
全ての国役所で探求者試験が受けられるわけではなく、その都道府県によって試験ができる国役所の数はまちまちである。
ちなみにだが、東京は25ヶ所で1番多い。
俺は猫頭と梵さんに試験の受付場所を教え、2人は試験会場に向かった
さて、俺は換金窓口に並ぶとするかな。
また、千冬をほっておいて勧誘なんかきても面倒だしな…
「千冬、俺は換金窓口に並ぶからついてきてくれるか?」
「ふーん、そんなに一緒がいいのー??」
「ち、ちがうぞ!荷物が多いから半分持ってほしくてだ!」
「はいはい。いいですよーだ。」
そして換金窓口に並び、俺たちの順番がきた
「探求カードの提示と換金アイテムをお願いします。」
俺は言われるがまま指示に従った
ドサッ
ソロプレイヤーにしてはなかなかの量のアイテムだろう
なぜか、他の探求者からの視線を感じる…
いや、もしや千冬と2人なのも目立っているのか?
なんにしても、早めに済ませたいものだな
「アイテムはこれで全部です」
「かしこまりました。今鑑定しますのでお待ちください。」
.
.
.
「えーっと。魔核×13、牛革15m、デルタサーペントの皮3m、ミノタウロのツノ、オーク肉5kgですね。…全部で17万円2500円になります。」
17万か…
ま、Bランクのダンジョンにしては高い方だろう。
「それでお願いします。」
「かしこまりました。……カードにチャージしておきましたのでお確かめください。」
俺はカードを受け取ると、確かに17万2500円がチャージされていた
「どうも。」
「またのお越しを。」
受付嬢が丁寧にお辞儀をして、次の客の接客をはじめた
「なーつーくーん。」
!?。この猫撫で声と上目遣いで迫ってくる感じ…
「ち、千冬?」
「私ー夏君のこと毎朝起こしにいってるんだよなーー。」
こ、こいつ。なんて現金なやつなんだ。
それに毎朝無理矢理起こしに来てるの間違いだろ…
だが、しかたない。世話になってないと言ったら嘘だからな。
「はいはい。今度帰り道にでもなんか奢りますよ。お嬢様。」
「いぇーい!さすがなっちゃん!太っ腹!」
次から換金には1人で行くと心に誓った
「それよりも猫頭達の試験の様子を見に行こうぜ。あいつら緊張してないといいんだけどな」
「流石に大丈夫でしょ。今の小学生だってDランク探求者になれるのよ?」
「ま、一応な。行こう。」
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