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第1話 最初の一歩

 西暦5029年。人間は古来から存在を確認できなかった地球外での生命体との接触を果たした。彼らの名はウボリアン。世界を大きく揺るがせた大ニュースは瞬く間に人々の間で広まった。


 事はその数年後の5035年。突如としてウボリアンたちは侵略を始めた。彼らの兵器には到底、人間の力ではかなわなかった。彼らは身体能力に加え、頭脳面でも優れており、追い詰められた人類には抗う術がないと思われたその時、ある希望が与えられた。

 それはある発明。ウボリアンと人間の間にある大きな種族的な差を埋めるため、新兵器として身体能力をカバーするためのパワードスーツが作られた。その兵器を使用し、人類の存亡のため戦う国際特殊軍事部隊AUSFが創立された。それからというもの、人類は長きにわたりまさに自然の理とも思えるその運命に立ち向かっていた。


 時はさかのぼり、今は5075年。

 多数ある保護都市の中で規模が大きいこの日本プラントの街で一人の少年が自室で身なりを整えていた。彼の名は(さかき)光司(こうじ)、20歳。今日努力してやっとたどり着いた夢のAUSFへの入隊式。


「こうちゃん!急がないと遅刻するわよ!」


 母の急かす声で急いで階段を降りると光司は机の上にあったサンドイッチを手に取りドアへ向かう。


「いってきまーす!」

「気を付けてね。」

「オッケー!」


 立てかけてある自転車に乗ると全速力でこいでいく。すこし時間が遅いので人が道にいるが入隊試験をクリアした者には避けることは造作もない。

 しばらくすると大きなビルに着いた。他の建造物と比べても一番高さがあり、一面黒光りしたガラスが張られている。中へ入ると受付という看板と共に机が一つ。他には何もなく、忙しそうに一人の女性がコンピューターと向き合っていた。


「あのー、すみません。入隊式は何階ですか?」


 その人は目を上げるとしばらくまたコンピューターに何かを打ち出したと思えばすぐにまた口を開いた。


「確認しました、第19部隊に配属された榊光司さんですね。ご案内します。」


 そのままエレベーターへ一緒に乗った。すると先ほどの女性が開くボタンを長押しすると地下へのボタンがないのにも関わらず、下へ降り始めた。


(なんでこんなこそこそした細工をする必要があるんだ?)


 そんな疑問を感じながらも光司は少し緊張をおぼえたのだった。

 随分と長い間下りたところで目の前のドアが開いた。そこは広間になっており、先に着いたと思われる新入隊員が数十人いた。


「それでは、始まるまであと5分ほどなのでしばらくお待ちください。」


 そう言うと受付の女性は上がっていった。ドアが閉まるとこちらに集まっていた視線もなくなっていく。とりあえず部屋の隅へ行くと持ってきたサンドイッチをほおばり、光司は一息ついた。これからは今までとは違う世界に足を踏み入れていくことに興奮と緊張が沸き上がってきた。

 丁度サンドイッチを食べ終わったころエレベーターから反対側に違う扉が開いた。その奥からは一人の中年男と少し年下のもう一人の男性。後ろからはケースを乗せたカートが押されてきた。


「諸君、私は国際特殊軍事部隊AUSF日本支部部長の浅井(あさい)武志(たけし)。私の隣にいるのが第1部隊隊長の西条(さいじょう)大介(だいすけ)だ。ここまで来れたことを大変称賛する。君たちは数々のテストをクリアした、いわば選ばれた者たちだ。今、皆が知っている通り―」


 それからはしばらくの演説が続いた。誰もが寝てしまうであろう長い話が終わると、今度はケースが前へ持ち出された。ふたを開けると中には注射器が入れらていた。


「今から君たちにはこの注射を受けてもらう。だがこれは決して薬品ではなく、中には目に見えない大きさのデバイスが一つ入っている。うなじの辺りに打つと脊髄に接続し、これから先のサポーターとしての機能を果たす。さぁ、みんな並んでくれ。すぐに済む。」


 言われたとおりにすると、ついてきていた看護師のような人がうなじに注射を打った。もちろん、光司にも。打たれてから数十秒後、頭の中で声がした。


「脊髄トノ接続ヲ確認。身分ノ確認完了。国際特殊軍事部隊AUSF日本支部第19部隊所属、榊光司。汎用型サポートプロトコルAI起動。視覚野ヘノ接続完了。インターフェイス起動。全機能テスト開始。」


 するとそこにいる人間がスキャンされた。名前から職業、犯罪歴の有無なども映された。


「今、君たちの視界には先ほど言ったデバイスが試運転をしているところだろう。そのデバイスがこれからのAUSF隊員としての証明だ。少し違和感を感じるだろうがすぐになれるだろう。」


 今度は右に門がまた開いた。するとそこには駅のホームにもみえる物があり、ちゃんと列車もある。


(おぉ、なんかカッコイイ。)


 思わず光司は思った。

 すると今度は西条といった部隊長が説明を始めた。


「これは我々AUSF専用の地下鉄のようなものだ。ここから訓練場兼宿舎につながっているほか、迅速にどこからでも出動できるようにこの日本プラント各所へもつながっている。では、宿舎に行くのに早速乗り込んでくれ。」


 全員が乗ると列車は自動的に動き出した。その中で、光司は最前列で目を光らせていた。子供のころからテクノロジーに目がない彼は、ここへ来てから何もかもがとてもロマンをくすぐるのだった。

 すると背後から優しい声が聞こえた。


「こんにちは!」


 そちらを向くと一人の女性がこちらを向いていた。同年代くらいだろうか?


「あっ、ども。」

「あたし、あなたと同じ第19部隊に入る西連寺(さいれんじ)春香(はるか)です。」

「あれ、僕の配属先教えましたっけ?」

「いえ、あの、先ほどの機能テストでスキャンをした時に見えちゃったんです....」

「あ、そうだったんですか。じゃあ名前も筒抜けですね。」

「そうかもですね、榊さん。」


 こうして列車に揺られながらこの二人を含む新入隊員は少しずつ、新しい一歩を歩みだしたのであった。

今回はじめてこのような場で小説を投稿してみました。頻度はどうなるか分かりませんが決まった周期を設けたいと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!また次のも楽しみにしていてください!

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