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初めてのオーク戦

9話差し込みました

「このままでは、生存確率はゼロに等しいですが、49%に上昇させる手段がございますが、お試しになりますか? 」

 相変わらず選択肢はないのね。

「で、どんな作戦」

「さすがヒトノコ。判断がはやいですね」

 

 作戦は、犬神を呼びにいくもの1人とおとり役1人を残して隣の集落に避難する事たった。

 呼びにいくのは、一番足の速い兎人族の少女に決まった。

 そして、おとり役は当然僕。

「この役は、ヒトノコしか出来ませんから」

 久しぶりに頼られたので、悪い気はしなかった。

「生存確率は一番低い役回りですけど」

 まっ、そうだろうとおもったけど。

 

 というわけで、崖下のオークどもを見下ろしている。背中には、魔導師の棍棒。両手で担いだ麻袋には、ソフトボールぐらいの爆弾が10個。

 そう、爆弾の製作に成功したのだ。

 いつか独り立ちするときの武器として、イザナミ先生が教えてくれたのだ。

 イザナミ先生の知識と魔導師の残した物、里から採れた物で完成した。着弾した衝撃で爆発するすぐれものだ。

 ただ、殺傷能力はほとんどなく爆発音でびっくりさせる程度なのは心もとない限りだ。

 暗闇に紛れ込んで、オーク達の後ろへ回り、爆弾を投げ込み里から気をそらすのが僕の役目。

 そして、到着した犬神に一掃してもらう。

 という、今にも逃げ出したくなる作戦だ。


「では、これから3日間よろしくお願いしますね」


 まずは、ここから一発投げ込んでオーク達を動揺させる。

 バーン!

 案の定オーク達は、足を止めた。

 僕は、その隙に獣道を下りオーク達の後ろへ回る。

 

 そして、もう一発。

 バーン!

 多少怪我してるのを見届けて、一目散に逃げる。

 林に隠れて様子を見る。

 オークの数は約100匹程度。一回り大きなやつがギヤアギャア大声で怒鳴っている。

 あいつがボスなのだろう。

 やつめがけてもう一発。

 バーン!

 ギャギャギャギャ

 命中したけど、ただ怒らせただけだった。

「想定内てす。さあ、これからが本番ですよ」

 僕はオーク達に自分の姿をさらすと、すかさず2発投げ込む。

 ババーン!

 ひるむオーク達。

 しかし、僕を見つけてこっちへ向かってくる。

 オーク達の引き付けに成功した。


 僕と100匹のオークのおいかけっこが始まった。


 ノロマなオーク達だからなんとか出来る作戦だけどね。


 

 オーク達が睡眠をとってくれたことには感謝した。

 みはりを、イザナミに任せて僕も仮眠をとれたからだ。

 オークの大将が起きた頃、おいかけっこを再開する。

 追い付かれたら殺される。ひやひやしながら、僕は走り続けた。

 はっきりいって、もう限界越えてる。

 こんなに走ったの、初めてだったし。

 でも、僕には最終兵器がある。

 そして、やっとたどり着いた。


 最終兵器『イザナミ本体』に。



「さあ、ここからは私にお任せください」

 操縦席にイザナミをセットする。

「最後の挑発を」


 僕は残りの爆弾を大将に投げ、操縦席に乗り込みシートベルトをかける。


 怒り狂ったオークの群がやってくる。

  

 ウィーン

 ジュバッ!


 アームから発するレーザーがオークを攻撃する。

  

 回転しながら襲いかかるオーク達に火傷させ怯ませている。

 それでも、近づいてくる奴は棍棒でぶちのめす。

 オーク達の火傷と血の匂い、僕の汗の匂いでくらくらしてくる。

 

 ぶちのめしながら、3日前のイザナミとの会話を思い出す。


「ヒトノコは、もとの世界に帰りたいですか? 」 


「元の世界はあんなだし、この世界でやり直したいって気持ちかな」


「それを聞いて安心いたしました。この作戦を実行しますと、現時点での帰還確率ゼロになりますので」


「イザナミはいいの」


「私の現在の優先事項は、ヒトノコを生存させることですから」

 


 バキャ!

 アームがオークにへし折られた。

「頃合いでございますね。準備も出来ました」

 イザナミを取りだし首にかけ、赤いボタンを押す。


 バシュー!

 操縦席が天に打ち出された。オーク達の群れが小さく見えた頃イザナミが唾やいた。

 

「さようなら、私の身体」


 ズゴゴゴゴーー!


 イザナミ本体が大爆発した。

 近くにいたオーク達は全滅した。

「残った者達は、九尾が処理するでしょう」

 やっと、一段落したな。


「ヒトノコお別れです。先程のアーム操作に、私の生体維持エネルギーを使用いしましたので」


「う、うそでしょ」

「はい、冗談です」

「……」

「ひっかかりましたね。 しかしながら、このまま維持することは不可能ですので、しばらく機能を停止いたします。動かないからって変なことしてはいけませんよ」

「するか」

「では、機能停止いたします」

 ディスプレイの電源が切れ真っ暗になった。

 イザナミらしいな。

  

 操縦席の上昇が止まった。

 ふわり。と下降を始める。


「マジっすか~~」


「想定内です」

 一瞬イザナミが復活し、そう言った。


 僕は大きな河に着水し、気を失った。


 

 

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