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生存確率10%

 目を覚ますと、ブイトールの残骸の中にいた。

 太陽が眩しかった。

「お目覚めですか」

どこからか、声が聞こえてくる。ちょっと、機械的な感情のこもらない女性の声だ。

「だ、だれですか」

「私は、この艦のAI イザナミ。お忘れですか? 」

 操縦席の方から、声が聞こえてくる。

 記憶が戻ってきた。白い兵士達に助けてもらったんだった。

「みなさんは、どちらへ?」

「……」

 沈黙のあと、イザナミが今までの出来事を語ってくれた。


 彼らは、秘密結社の一員で今回の出来事を予言していたそうだ。組織内では『グハンダ』と呼んででいたらしい。彼らは、第一次偵察隊だった。任務は、原因の究明及び対象の消滅。彼らは見事やってのけたらしい。黒い穴で漂流後、この世界への入り口を見つけ、突入した。

 突入の際、魔物逹を空間転移させた元凶を、撃破したらしい。同時に異空間への穴も閉じられ、帰還の手段を失った。それどころか、艦の回りには万を超す魔物の群れ。死を覚悟したキャプテンは全ての武装と二人の隊員と共に艦外に降りた。

 そして、イザナミに最後の命令を告げた。


「ただちにここを脱出し、全力で民間人を守れ。そして、任務をはたせ」


「了解しました」


ガハハハハハ!


と豪快に笑いながら魔物たちを蹂躙していったらしい。

 希望的計算を考慮して、生存確率1%にしたらしい。AIのくせに。

 というわけで、安全なこの森に不時着したはいいが、艦は大破してしまい現在にいたるらしい。


「と言うわけで、あなた様を3歳児まで再生いたしました」

「あ、ありがとう」

「異空間突入後、私も成長しまして、より人間的な言語を話せるようになりました。」

「ぼ、僕も成長してるの」

僕は期待した。異世界転移って言えば、チートやん。後は、魔法か。ゲームでも、魔法使いプレイ極めてたしな~。チートガン積みで最強マジシャンって感じか。やったね。

 思わず顔がほころぶ。

「何か、勘違いせれおられるようですが、あなた様は旧世界の単なる3歳児。魔獣が闊歩するこの世界において最弱であることを認識下さい。ただ、元気な3歳児なので、元のくたびれたあなた様より快適であるのは間違いありません。また、肉体の影響により精神的にも若返っているはずでございます」


「チートとか、魔法とか使えないの?」

「使用不可能です。確かにこの世界には、魔法と言うもののが存在していますが、適性がある方が修練をして使用出来るようになるものです。ですので、旧世界人のあなた様には、適正がございません。単なる3歳時児であり、この艦外において生存することは不可能に近いです」

「ま、マジっか?」

「マジでございます。」

「……」

「進化したスーパーAIのこのイザナミとそこのメスイヌを考慮いたしましても、生存確率10%です」


「ワン!」


 シロがモフモフの尻尾をパタパタさせている。

 僕を乗せて走り回れるくらい逞しくなってる。しなやかで、大人の女性を感じさせるようなセクシーな感じもするな。まっ、僕がちっちゃくなったんだけど。

 起き上がり回りを見渡すと森の中だった。

 そして、僕はスッポンポン。

「洋服ないの?」

「只今調整しましょう」

アームがニュッと出てきて、大人の僕が着ていたと思われるスボンを裁断した。そして、紐を一本つくった。ダブダブのズボンを紐で縛り、ロープのようなパーカーを羽織る。まっ、こんなもんか。寒くないし。

「ところで、何で3歳児なの?

こんな力があれば、筋肉粒々の脳筋ボディにした方が生存確率上がったんじゃないの?」


「……」


「ま、まさか。間違えた?」


 少しの沈黙後、イザナミが答えた。


「あ、アナタサマの可能性にかけたのです」


嘘つけ~



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