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ファミリークリスマス

作者: 三田 元
掲載日:2018/12/27

待ち合わせは新宿のスターバックスカフェ。

南口を渡った先の目立たないデザインのあれ。


腕時計を見ると約束の17;30前。

「早く来すぎたかな、、、、」

腕時計と店外を交互に見渡す。


グランデサイズのカフェモカを飲もうとするが、

そこに溜まった雫が唇に触れるだけだった。


店外を見渡すと、

小走りでこちらに向かう一人の人影が見えた。

急いでコーヒーをカウンター脇のゴミ箱へ捨てて、

店外へ向かう。


「お待たせ。」

「久しぶり。」

「半年ぶりくらいかな。」

「会うのはそうだね。」

「、、、とりあえず行こっか。」

「うん。」


久々にあったからかうまく会話が続かない。

さっきコーヒーを飲んだばっかなのに喉が乾く気がする。


「待った?」

「いや、さっき来たとこ!」

「結構大きめの頼んでたみたいだけど?」

「いやいや!」

「そう。」

「、、、」


ひとまず歩き始める。

、、、気まずい沈黙。


「て、転勤先の上司が結構厳しい人でさ、この半年大変だったよ。」

「へ〜、大変だったんだね。」

「う、うん。」

いかん、これじゃあ仕事の愚痴だ。

「、、、」

「、、、」


「今日はどこに行くの?」

「場所はもう決まってる!」

「お、すごい。」

今日のために結構前から予約してて、、、

とは流石に言わなかった。


「あ、歩いて近くのところでさ、

結構良さそうなんだよね」

「ふ〜ん、どんなとこ?」

「そ、それはまあ着いてからのお楽しみで!」


そんな会話とも言えない会話をしながらなんとかクルーズクルーズに到着する。

駅徒歩五分のおしゃれなレストランだ。


「おー。高いビル。」

「け、結構景色とかも良さそうだから、ちょっと楽しみなんだよね!」

「上がってみようか。」


嫌にエレベーターが広い。


「広いエレベーターだね」

「そ、そうだね、、」

「誰も入ってこないね」

「僕たちの貸切状態だね。ははは。」


、、さらに気まずい。


26階に着くと目の前にクルーズクルーズと書かれた看板が目に入る。

「装飾が綺麗だね。」

「ね、綺麗だね。」


店員さんに声をかける。

「すみません、予約した〇〇ですが」

「〇〇様ですね。」

少々お待ちください、

というと店員さんはフロント脇の名簿をみた。


「楽しみだね。」

「ね。」


「、、、申し訳ございませんが、明日26日の予約でしたら

18:00から〇〇様のお名前があるのですが〜、、、」


「え。」

今日じゃないんですか。


「はい。26日となっております、、、」



「もう一回探してもらってもいいですか。」

「はい。」


真剣な表情で名簿を見つめる店員さんに、

申し訳ない気分になった。


「やはり、本日ではなく明日の予約となっております。」


やっちまった。

「あ、あの、キャンセルの方とかっていないですかね。」

「あいにく毎年満席でして、、。」


「そ、そうですか。わ、わかりました!」

「お持ち帰りなどでしたら、ご用意できますが、、!」

「い、いえ!全然大丈夫なんで!」

い、行こうか。


「26日」と「26階」を間違えたのか、、、?


そんなことを反省しながらさっき乗って来たエレベーターに向かう。

「残念だったね。」

「う、うん。」

ごめん。


同じエレベーターがさらに広く感じる。



「駅前のクリスマスツリー見ていこうか!」

まだ点灯してるかも!


「、、そうだね!」


そういって新宿駅前に向かうが、

ツリーはあいにくの点検消灯中。


「まじか。」

、、気まずい沈黙。


流石の彼女も、

「早めに家戻ろうか?」

という次第。


「そ、そうだね」

そう言って小田急線に乗る。


話す言葉が出てこない。

電車のなかではずっと座ったまま、

彼女の存在をただただ感じてるだけだった。


「到着!」

「はは、戻ってきたね。」

ショックでまだうまく笑えない。


「家に戻って乾杯しようよ」

彼女が明るくいう。

「う、うん。」


彼女の家に着くと僕は

そのまま招かれるまま部屋に入った。


「ちょっと待ってて!」

「え、どこ行くの、、、」

不思議がる僕を置いたまま彼女は外へ出て行った。


「、、、なんだろう。」



時計を見るがまだ彼女は帰ってこない。

「遅いな、、、」


しばらくして誰かが階段を上がる音が聴こえてきた。

きっと彼女だ。


部屋の扉を開ける音とともに、

クラッカーの音が部屋に響く。


「うわ!」


「メリークリスマス!」


彼女を見ると小さいクリスマスツリーを持っていた。

もう一つの方の手に持っているのは、、、


「ファミマでチキン買ってきた!」


「え、ファミマ、、?」

「そう!こういうのもたまにはいいかなって!」

いつも高いとこばっか誘ってもらってるし!


「で、でもそんなんでいいの、、、」

「今日はいいの!」


そういうと、彼女は

ファミリーマートと書いてあるコンビニ袋から、

2人分のカフェラテと、

小粒のチキンをいくつかお皿に取り出した。


「て、手伝うよ!」

「ん、ありがと〜。」


クリスマスツリーを机の上に飾り、

ファミマのチキンを食べる。


「美味しいね。」

「、、うん。本当に美味しい。」


ほんとに泣きそうだった。



なぜか今日のチキンは今まで一緒に食べた

高級料理店のチキンより料理より、

人生で1番美味しかった。



その理由はわからないけど、でも

僕は彼女に「普遍的な幸せ」を教えてもらった、

そんな気がする。


だから、今度は僕が彼女を幸せにしたい。


そしていつか、

「ぼく」と「彼女」じゃなくて、

「私たち」になっていければ、

それ以上求めるものはないのではないだろうか。



いつの日かのぼくたちの「家族」に向けての

メッセージ。



そんなことを思いながら、

彼女が買ってきたカフェラテを飲む。

容器いっぱいに入ったカフェラテからは、

湯気が出ていた。


「あったかいな。」

「ね。」





以上!

ファミリーマートで幸せになれたって言う話。



げんき。

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