099 幼女に求めるエロかわには個人差がある
正体を現したアスモデちゃんが妖美に微笑み、私はごくりと唾を飲み込み、周囲を確認した。
リリィもスミレちゃんも、完全に戦意を喪失してるし、結構ヤバいなぁ。
って、あれ?
ルピナスちゃんはどこ?
そう思ったその時だった。
「にゃー!?」
アスモデちゃんが叫び、私は驚く。
「ルピナスちゃん!?」
なんとルピナスちゃんがいつの間にか、アスモデちゃんの背後に回り、アスモデちゃんの尻尾を掴んでいたのだ。
「ジャスミンお姉ちゃん。この子、猫ちゃんなのに猫ちゃんの尻尾じゃないよ? ほらー」
ルピナスちゃんがはなまる笑顔で、私にアスモデちゃんの尻尾を見せる。
「本当だねぇ」
私もルピナスちゃんのはなまる笑顔で、思わずニッコリ微笑む。
もぅ。
ルピナスちゃんったら。
天使可愛いんだからぁ。
「ちょ、ちょっと離しなさいよ!? ひぅ。あ。そんなにぃ強く尻尾を掴まな……っいで。あん。ダメだって……ばっぁ」
え、エロい……。
ごくり。
最早エロかわじゃなくて、ただのエロだよ!
って、しっかりしろ私!
私は首を横に振って、正気をとり戻す。
弱点は尻尾?
よくあるやつだよね。
って言うか、ルピナスちゃんってば、可愛くて強いなんて最強だよ。
個人的には、エロかわのアスモデちゃんより、けもっ子可愛いルピナスちゃんの方が好き。
ルピナスちゃんのおかげで、アスモデちゃんのエロかわな魅力を、私は完全断ち切った。
「観念しなさい! アスモデちゃん」
「ちょ。お願……い。離して。ひぅ。ぁ。ダメ。そんなに強く尻尾触っちゃ」
……うん。
よし。
とりあえず、私が最初にする事はこれで決まりだよ!
私はアスモデちゃんとルピナスちゃんに近づくと、アスモデちゃんをルピナスちゃんから解放してあげた。
「観念しなさい! アスモデちゃん」
「観念するのは、アナタの方よ!」
私と、涙目のアスモデちゃんが睨み合う。
そんな中、呆れた顔してトンちゃんが私の目の前にくるりと飛んできた。
「なんスか? この茶番」
むぅ。トンちゃん。
たしかにそうかもだけど、失礼しちゃうなぁ。
って、それより。
「ちょっと、トンちゃん。前が見えないよ!」
「ご主人には悪いッスけど、あんなちびっ子相手じゃ、ボクは盛り上がれないッス」
そう言って、トンちゃんは私の肩の上に座った。
「さっさと片付けるッスよ。ご主人」
「ドゥーウィンの言う通りよジャスミン」
「リ、リリィ?」
「あ。ハニー」
リリィが私の背後から現れて横に並ぶと、私と目を合わせる。
「私、どうかしていたわ。それに、気がついたのよ」
「気がついた?」
私が聞き返すと、リリィが私に優しく微笑む。
「お色気はジャスミン担当だもの。あんな子に譲ってあげられないわ」
うふふ。
リリィってば……。
「お色気担当になった覚えはないよ?」
「たしかに、ご主人からお色気を取ったら、前世がおっさんだった事しか残らないッスね」
え、えぇえー。
そんな事ないと思うよ?
うぅ。
でも、なんだか不安になってきたよ。
「ドゥーウィン。違うわよ。ジャスミンからお色気を取ったら、それはもう、ただの可愛い女の子だわ」
え?
それなら、何も問題ないし、お色気取り除こうよ。
「それに私、もう一つ気がついたのよ」
リリィが、再び私に優しく微笑む。
そして――
「きゃぁ!」
リリィが、私の穿いていたスカートを勢いよく捲り上げた。
そして、捲り上げられたスカートによって、私の下半身が見事にこんにちはする。
な? な?
なぁあーっ!?
私は血が頭にもの凄い勢いで上っていくのを感じながら、慌ててスカートを抑えた。
そして、恥ずかしさのあまり半泣きになる。
「私の顔を見て? ジャスミン」
え?
リリィの顔を見ると、リリィは爽やかな笑顔をして、鼻血を出していた。
「り、リリィ?」
その爽やかな笑顔を見て、私の頭に上った血は一気に引いていく。
むしろ、引きすぎて、青くなってるんじゃないかとさえ思えてくる。
凄ぉく良い顔してるね?
「私が鼻血を出す相手は、ジャスミンだけだわ!」
「どうでもいいよぉーっ!」
私はあまりにもどうでも良い真実を聞かされて、思わず感情を声に出した。
て言うか、ねえ?
リリィ?
忘れてるの?
「私、今リリィにパンツ貸してるから、ノーパンなんだよ?」
「うふふ。やだわジャスミンったら。そんな事知っているわよ。当然じゃない」
殴りたい!
この笑顔!
私は爽やかに微笑むリリィを見て、がっかりして項垂れる。
そして、スカートのポケットからティッシュを取り出して、リリィの鼻の穴に突っ込んだ。
実はラークの家に向かう前に、ルピナスちゃんのママにティッシュは無いかと尋ねたら、丁度持っていたので貰ったのだ。
「ありがとう。ジャスミン」
「いいえ。どういたしまして」
私はふくれっ面でそう返す。
すると、それを見ていたトンちゃんが、呆れた顔をした。
「慣れたもんッスね~」
そりゃあ、いつも鼻血出すんだもん。
もう慣れっこだよ。
すると、今までの一連の流れを見ていたアスモデちゃんが、私を睨んで指をさした。
「私を無視して、いちゃつくんじゃないわよ!」
わ、忘れてた。
そうだよ。
今は、こんな事やってる場合じゃないよね!?
その時、スミレちゃんが不敵に笑いながら私の前に出た。
「お前の負けなのよ。アスモデちゃん! お前がどれだけエロ可愛くても、幼女先輩の天然には勝てないなのよ!」
何言ってるの? スミレちゃん。
私、別に天然じゃないよ?
だいたいが、リリィとスミレちゃんとかのせいだよ?
と言うか、そもそも、そこはどうでも良い所だよ?
「きぃーっ。悔しい! 覚えてなさい!」
「あ!」
アスモデちゃんは捨て台詞を吐くと、黒猫ちゃんの姿に戻って、窓から外に飛び出した。
「逃げられちゃう! 追いかけなきゃ!」
ラークの家にベルゼビュートがいなかったし、逃げられたら不味いよ!
「トンちゃん!」
「任せるッス」
私がトンちゃんを呼ぶと、トンちゃんはすぐに風の加護を私に向けた。
風の加護が流れてくる感覚を感じると、私はすぐにそれを魔力に変換する。
「ごめん! 先に行くね!」
そう言って、私は魔法で飛ぶと、急いで窓から外へ飛び出した。
「ジャスミン! 気をつけてね!」
「うん!」
「幼女先輩! 頑張って下さいなのですよ!」
よーし!
アスモデちゃん。
今度は逃がさないんだからね!
って、ええぇーっ!
「きゃっ」
私は驚きのあまりに、ラークの庭の木にぶつかって、地面に落っこちる。
「ジャスミン!? 大丈夫!?」
「ジャスミンお姉ちゃん!」
「幼女先輩!」
3人が、木にぶつかって地面に落ちた私に近づいた。
私はゆっくりと起き上がり、そして私が驚いた原因を見る。
そして、その原因、全裸の人物を見て言いました。
「なんで元の姿に戻ってるの? スミレちゃん」
と。




