008 幼女はパンツを穿きたい
「あれ? 鍵がかかってる?」
オークにパンツを盗まれた私は、一度家に帰ろうと思い帰って来たのだけど、何故か家には鍵がかかっていた。
うーん。どうしよう?
今日何処かに行くなんて聞いてなかったから、すぐに帰って来るかもしれないけど、早く行かないとリリィを待たせちゃうよね。
でも、このままノーパンで動き回るのにも抵抗があるし……。
前世では、アニメや漫画に出てくるノーパンの女の子とかを、大興奮して見ていたおっさんだった私。
だけど、こうしていざ自分がなってみると、かなり恥ずかしいし興奮するとか馬鹿なんじゃないの? って思う。
って、そんな事はどうでも良いから、どうにかしないとなあ……。
どうにか入れないかと、家の周りをぐるぐると回る。
ドアは勿論、窓も全部確認を取って見る。
だけども、やっぱり全部鍵がかかっていて、ばっちり戸締り完璧だった。
こうなったら、ドアを力尽くでこじ開けて……。
駄目だ駄目だ。
大きく首を振って項垂れる。
そんな事したら、パパとママが私が悪い子になっちゃったって思って泣いちゃうよ。
それは嫌だもん。
うーん。どうしよう……。
これ以上はリリィを待たせちゃうよね。
「おや? ジャスミンちゃんかい?」
「あ。こんにちは」
どうしようかと悩んでいると、近所に住むおじいさんが私に声をかけてきた。
いつも畑でとれたお野菜を分けてくれる、とても優しいおじいさんだ。
また、お野菜を持って来てくれたのかな?
と、おじいさんを見たけど、そう言うわけではないようで、とくに何かを持っている様子はない。
「お母さんとお父さんなら出かけたよ。ジャスミンちゃんがお家に帰ってきたら、少しの間だけ家で預かってほしいと頼まれてのう」
ぐぬぬ。
そう言う事かー。
でも今は、それじゃあお言葉に甘えてと言うわけにもいかないし、仕方がない。
リリィと待ち合わせしてる所に向かおう。
リリィからパンツを借りた方が良さそうだしね!
と、言うわけで、私はおじいさんに用事があるからと断りを入れて、その場を後にした。
それにしても、私を預かってほしいって頼んでいたみたいだし、帰りが遅くなるって事なんだと思うけど、何処まで出かけたんだろう?
今朝はそんな事言ってなかったから、きっと急用だったんだろうなぁ。
うーん……。
まあ、いいか。
それより、今は早くリリィと集合しなきゃだよね!?
お股スースーするし!
◇
リリィとの待ち合わせ場所に到着すると、先に来ていたリリィが落ち込んだ顔をして待っていた。
「どうしたんだろう?」
リリィと合流して理由を聞くと、何も聞き出せず落ち込んでいたいみたい。
何人かパンツを盗まれた子に会いに行ったけど、皆出かけていたそうだ。
もしかしたら、ルピナスちゃんみたいに、皆パパやママと一緒にお出かけしたのかも。
そんなわけで、私はルピナスちゃんのお家で聞いた事と、さっきオークにパンツを盗まれた事を話した。
「え? ジャスミン、それ本当なの!? ねえ!? 本当なの!?」
「あ、あの。リリィ? 落ち着いて? なんか怖いよ?」
リリィに両肩を掴まれて、グラグラと揺らされる。
それに、リリィの細長の目が若干見開いていて怖い。
本当に落ち着いてほしい。
「落ち着けるわけないでしょ!? ジャスミンの脱ぎたてパンツを取り戻さないと!」
「まっ、待ってリリィ。それもそうなんだけど、そういう事だからパンツを貸してほしいの」
「え? パンツを?」
「うんうん。実は家に一度戻ったんだけど、パパもママも出かけていて家に入れなくて、今パンツ穿いてないの」
「なんですって!?」
リリィの目線が、私の下半身へ向けられる。
私はリリィの視線に恥ずかしくなり、ついつい手で隠す。
「それで、パンツは……?」
「もちろん貸してあげるわよ。洗わずに返してくれれば良いからね?」
「そんな悪いよ。ちゃんと洗って返すからね」
「うふふ。ジャスミンったら、遠慮しなくて良いのに」
私とリリィは、そんな奇妙な会話を交わしながら、リリィのお家へと向かった。
と言うか、リリィ怖いよ?
昨日までのリリィはどこへ行ってしまったの?