064 幼女は裸を見られても気にしない
リリィとスミレちゃんに体の隅々まで洗われてしまった私は、目をまわして倒れる。
そして、私は目を覚まして起き上がり驚く。
何故なら私が目を回している間に、この浴場にいるサキュバスのお姉さん達を、2人が身動きが出来ないように縛り上げていたからだ。
「す、すごい……」
「ざっとこんなもんよ」
「幼女先輩。大丈夫なのですか?」
「うん」
って、心配してくれてるけど、誰のせいだと思ってるのよ!
私は、顔を近づけて私の匂いを嗅いでいるスミレちゃんの頭をチョップする。
すると、そんな私とスミレちゃんのやり取りを見ていたリリィが、真剣な眼差しで私を見た。
「ジャスミン。あまりスミレばかりに、ご褒美を与えないで? 私だって……」
え、えぇ……。
ねえ。リリィ?
何でもじもじしてるの?
それに、ご褒美だなんて、本当に何処で覚えて来るの?
って言うか、そうかぁ。
ご褒美になっちゃうのかぁ。
私はスミレちゃんの顔を見る。
うん。
凄く良い顔してるね。
私は再びリリィと目を合わす。
期待の眼差しで見てる……。
そして私は考えた。
このままでは、やばいのでは?
と。
スミレちゃんは、出会った時から変態だったから、もうどうしようもなかった。
だけど、リリィは違う。
私が前世の記憶を思い出すまでは、ごく普通の心優しい美少女だったのだ。
それが今ではどうだろう?
今だって、あえて見て見ぬふりをしていたけど、鼻にティッシュを詰め込んで鼻血を押さえている間抜け面。
そして、その顔で自分もチョップしてほしいと言いたげに、期待した目で私を見ている。
リリィは見た目が綺麗な美少女なのに、そのせいで全てが台無しである。
あの日のリリィのカミングアウトから、リリィの変態度が増していると言うか、表に出すぎていると言うかって感じだ。
この先が不安になってきた私が、うーうーと唸っていると、スミレちゃんが「幼女先輩」とニコニコと微笑んで話しかけてきた。
「サキュバス達から話を聞きましたなのです」
「え? あ。うん」
流石スミレちゃん。
いつの間にかに、サキュバスのお姉さん達から聞き込みをしたんだね。
私は、縛られて拘束されているサキュバスのお姉さん達を見る。
な、何が!?
私はサキュバスのお姉さん達を見て驚いた。
何故なら、サキュバスのお姉さん達が、物凄くエッチな感じに乱れた姿で倒れていたからだ。
凄く昇天した顔で、もう無理とか言ってるよ?
ねえ。
これ子供が見ちゃ駄目な顔だよ?
完全にアウトだよ?
私が驚いた顔のままスミレちゃんを見たが、スミレちゃんはニコニコと微笑んで話を続ける。
かと思いきや、話す直前で顔を青くした。
「風の精霊は、男湯で捕らわれているなのです」
「男湯?」
どうしてまたそんな所に?
うーん。と、私は考え込む。
すると、それを聞いたリリィが「オトコユ?」と片言で喋った。
私がその言葉でリリィを見ると、私の目に映ったのは、顔を真っ青にして顔をひきつらせたリリィの姿だった。
「リリィ?」
どうしちゃったんだろう?
「しかし、困りましたなのです。流石に私は男湯に入るのには、抵抗がありますなのです」
ああ。
そっか。
「もしかして、リリィもスミレちゃんと一緒の事考えてる?」
私がそう問うと、リリィは顔を青くさせたまま私に振り返り、顔をひきつらせたまま無言でこくりと頷いた。
やっぱりそうなんだ。
リリィも、男の人達の目を気にするお年頃になったんだね。
こればっかりは仕方がないよね。
いくらおバカで変態なリリィでも、異性に裸を見られたりするのは抵抗があるよね。
だって、女の子なんだもん。
よーし!
そう言う事なら、私が一肌脱ぎましょう!
私は無い胸を張って、握り拳を掲げた。
「私に任せて!」
「ジャスミン!?」
「幼女先輩!?」
私は驚く2人の顔を交互に見て、腰に手を当てて小さく前ならえの先頭のポーズをする。
「こんな時こそ、子供の特権を持った前世男だった私が役に立つ時だよ」
私がそう言うと、より一層に顔を青くしたリリィとスミレちゃんが、私の肩を掴む。
「やめてジャスミン!? 男は皆、狼なのよ!」
「そうなのですよ! 男湯なんかに幼女先輩が行ったら、薄い本が厚くなる展開待ったなしなのですよ!」
「2人とも大袈裟だなぁ。狼だったとしても、普通は子供相手に手を出す事なんてないし、スミレちゃんは毒されてるだけだよぉ」
それに、あえて言葉にはしないけど、2人の方がよっぽど狼さんだよ。
「ジャスミンは無防備すぎるのよ! 現に今だって、パンツ脱がされてキャーキャーいつも言ってるのに、タオルで体を隠す事すらしてないじゃない!」
あ。
言われてみればそうかも。
でも、お風呂でタオルを体に巻くのは、マナー的に好きじゃないんだよね。
それに前世で男だったから、こういう大浴場とかでタオルをまかない事に抵抗が無いもんなぁ。
って、あれ?
私がパンツ脱がされて、キャーキャー言ってるのわかってて、リリィはパンツを脱がしにきてたの!?
最低だよ!
「幼女先輩を1人で男湯に行かせるくらいなら、私も覚悟を決めるなのですよ!」
「わ、私だって!」
「こらこら。流石にそれはダメだよ。リリィとスミレちゃんが男湯入っちゃったら、大騒ぎになっちゃうよ?」
「で、でも……」
「幼女先輩~」
リリィとスミレちゃんが泣き顔で私を見る。
私は、よしよしとリリィとスミレちゃんの頭を撫でてあげる。
リリィがもう少し成長が遅くて、おっぱいだとかくびれとかが全く無かったら、まだ良かったんだけどね。
リリィったら、もう体が立派なレディなんだもん。
そして、スミレちゃんの場合は間違いなく確実にアウト。
まあ。とにかくだよ。
何で男湯で捕らわれているのかはわからないけれど、善は急げだよね。
早速行動開始だよ!
リリィとスミレちゃんの分まで頑張るぞー!




