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061 幼女のパンツは強い

 サキュバスのお姉さん達の能力は、精気を吸収する能力。

 リリィとアマンダさんが動けなくなったのは、それが原因だったようだ。

 あれから暫らく経って、アマンダさんが回復したようなので、フルーレティに関わる情報をスミレちゃんからしっかり確認する事になった。


「それでは、説明をさせて頂きますなのですよ」


「うん。お願いだよ。スミレちゃん」


「はい。お任せなのです。まずはニクスについてなのですが、あの子は魔族の反逆者フェニックスの関係者なのです」


「ええぇっ!?」


 私は思わず声を出して驚いた。

 だってそうでしょう?

 ニクスちゃんは、フェニックスの事を知らないと言っていたのだから。


「何で黙っていたのかしら?」


「そうだよね。何か理由があるのかな?」


 私がリリィに同意して疑問を言うと、アマンダさんが手に顎を乗せて答える。


「魔族の事情はわからないけど、そのフェニックスと言う魔族は反逆者なのよね?それなら、情報が漏洩ろうえいしない様に、隠しているのではないかしら」


「まあ、そう考えるのが妥当かもね」


 そっかぁ。

 でもたしかに、単純にそういう事だよね。


「話を戻して良いなのですか?」


「あ。ごめんね。スミレちゃん。続けて」


「いえいえ。では戻しますなのです」


 スミレちゃんはそう言うと、一度「こほん」と咳払いして、話を続けた。


「そう言うわけなので、ニクスが攫われた理由は、フェニックスの所在を確認する為だと思われるなのです。でも、これは偶然の出来事に過ぎないなのですよ」


「じゃあ、本来の目的は別にあるの?」


 スミレちゃんの言葉に私がそう疑問を投げかけると、スミレちゃんは私に真剣な眼差しを向けて、こくりと頷いた。


「あくまで、フルーレティ様がニクスを見つけたのは偶然、フルーレティ様の本当の目的。それは、この町に住む鳥人の」


 緊張が張り詰めて、場がしんと静まりかえる。


「少女のスカートの中を覗く事なのです!」


 うん。

 知ってた。

 と言うか、それ、あたってたんだね。

 あたっていてほしくなかったよ。


「スカートの中身を覗く事?」


 あ。

 アマンダさんが、もの凄い驚いてる。

 驚きすぎて口が開けちゃってるよ。

 うんうん。

 そうだよね。

 そうなっちゃうよね。

 良かったー。

 やっぱり、アマンダさんは普通の人なんだなぁ。


「そうなのよ。この風抜けの町の風を止めている理由は、鳥人の女の子達に飛んでもらって、下からスカートの中身を覗く為なのよ!」


「馬鹿なの!?」


 うん。

 私もそう思うよ。アマンダさん。


「これには、悲しい事情があるなのよ」


「悲しい事情?」


「はいなのです。フルーレティ様は受けたダメージを癒しに変えると言う強力な能力を持ってしまったが為に、その副作用を同時に受けてしまったなのです」


 副作用?

 能力にも副作用とかあるんだね。

 でも、その副作用って、どんなのだろう?

 風を止めてスカート覗かなきゃいけなくるとか、本当に関係あるのかな?


「フルーレティ様が受けてしまった副作用。それは、少女のパンツを触ると、ダメージを食らうというものなのよ!」


 ど、どうでもいいよ!

 何その別に対して困らない、どうでもいい副作用!

 問題なさ過ぎて、逆に驚きだよ!


「そんな……っ! 可哀想すぎるじゃない!」


 ええぇっ!?

 リリィが凄い号泣してる!


「そうなのよ! だから、だからせめて少女のスカートの中を覗きたくて、風を止めたなのよ!」


「そんな事って……っ! そんなの知ってしまったら、アイツを殺すなんて私には出来ない!」


「リリィ……。リリィは優しすぎるなのよ。どんなに可哀想な境遇でも、幼女先輩の手にキスした罪は消えないなのよ!」


「でも、あんまりじゃないっ!」


 あのー。

 もしもーし。

 リリィ?

 スミレちゃんと一緒に涙を流して、同情している所に悪いのだけど、もの凄ぉく阿保臭いよ?

 多分、ニクスちゃんの件が無かったら、私は間違いなく無視してお家帰っちゃうレベルだよ?

 ほら見てよ?

 アマンダさんが話についていけなくて、と言うか2人に若干引いちゃってるよ。


 その時、アマンダさんと目が合った。

 私はニコッと微笑んで、こくりと頷く。

 すると、アマンダさんは納得したようで、顔を少しだけひきつらせてこくりと頷いた。


 とりあえず、スミレちゃんとリリィの漫才を止めて、話を戻さないとだよね。


「ところでスミレちゃん。どうやって風を止めたのかは知っているの?」


「風を止めた方法なのですか?」


「うん」


 正直、風の止め方がわからないんだよね。

 魔族の特殊能力だと最初は思っていたけど、そう言う能力でもなさそうだし。

 それとも、他に仲間がいて、その仲間に止めさせてるのかな?


「この町に風を運んでいた風の精霊達を、捕まえて閉じ込めているからなのです」


 風の精霊!?

 何その絶対可愛い存在!

 捕まえて閉じ込めたとか可哀想だよ!


「風の精霊……。この町には、風の精霊がいたのね。しかし、精霊は人に姿を普段見せない存在のはず。どうやって捕まえたのかしら?」


 へぇ。

 そうなんだ?

 だから今まで、聞いた事なかったんだね。


 私はこそこそとリリィに話しかける。


「リリィは知ってた?」


「私は知らなかったわ」


「だよね。村の近くにもいればいいのにね」


 私とリリィのこそこそ話が終わると、話し終わるのを待っていてくれたのか、スミレちゃんがアマンダさんの問いにようやく答える。


「精霊を見つけた方法。それは、私の元同僚のプルソンの能力なのよ。プルソンの能力は、隠れた者の居場所を見つける事が出来る能力なのよ」


 フルーレティといい、ここにきて魔族の能力がまともになっていってるなぁ。

 オークの馬鹿な能力とは、全然違うんだもん。

 やっぱり魔族は怖い存在なのかな?

 でも、フルーレティの副作用は、馬鹿そのものだったけどね。

 まあ、それはともかくとしてだよ。


「ねえ皆。風の精霊さんも助けてあげようよ」


 私は真剣な顔で皆に提案した。


 だって、捕まえられちゃってるなんて、風の精霊さんが可哀想なんだもん。

 ニクスちゃんと一緒に、助けてあげたい!


 リリィが私に柔らかく微笑んで、頭を撫でてきた。


「ジャスミンなら、そう言うと思ったわ。風の精霊も一緒に助けましょう」


 スミレちゃんも私の頭を撫で始める。


「幼女先輩について行きますなのですよ!」


 アマンダさんが、頭を撫でられ続ける私と目線を合わせて苦笑する。


「私も同行するわ。一緒に助けましょう」


「うん!」


 私は元気よく返事をすると、テンションが上がって、握り拳を掲げる。


「よーし――」


 頑張ろー!と、続けるはずだったのだけど、私からその言葉が出る事は無かった。

 何故なら、私はスルッとパンツをリリィに脱がされたからだ。


「きゃぁーっ!?」


「行くわよ! ジャスミン!」


 行くわよじゃないよ!

 え? 何?

 何でパンツを脱がすのーっ!?


「な、何をやっているの?」


 ほら!

 アマンダさんも引いちゃってるよ!


「少女のパンツが弱点なんでしょう?だったら、ジャスミンのパンツを使うしかないじゃない?」


「な、なるほど?」


 いやいやいや。

 納得しないでアマンダさん!

 あ。でも、疑問形だから納得してない?

 って、待って?リリィ。

 それよりも、さっきまで号泣して可哀想とか言ってたよね!?

 ねえリリィ?

 あの涙は何処に消えたの?

 と言うか前々から思ってたんだけど、手にキスはダメでパンツはオッケーって、色々と基準が全く分からないよ!


「まったく~。何やってるなのよ。リリィ」


 珍しくスミレちゃんがリリィを止めようとしてる?


「今から脱がしてちゃ、大ダメージを脱ぎたてで狙えないなのよ」


 うん。

 何だか安心したよ。

 いつも通りのスミレちゃんで。

 馬鹿なんじゃないかな?


「それもそうね。私ったら、功を焦ってしまったわ」


 うんうん。

 わかったから、早く私のパンツ返して?

 凄くスースーするの。


「そ、そう言うものなの?」


 アマンダさんが困惑しているので、私はアマンダさんの腕をちょんちょんとつつく。

 私に腕をつつかれたアマンダさんが振り向いたので、私はニッコリと微笑む。


「アマンダさん。このお馬鹿2人の話は、真に受けなくて良いからね」


「わかったわ」


 お願いだからアマンダさんは、このまま普通でいてほしいなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ジャスミンは普段から替えのパンツを10枚くらい持ち歩くようにしないと……。
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