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058 幼女は全力で謝ります

「ごめんなさい!」


 私は腰を90度曲げて、メイドのお姉さんに謝罪する。


「スミレ。アンタも謝りなさい」


 そう言って、リリィがスミレちゃんの頭を掴んで、無理矢理頭を下げさせる。


「頭を上げて? 私が勘違いしたのが悪いのだから」


「ううん。全面的にスミレちゃんが悪いもん!」


「そうよ。スミレが悪い」


「私はただ――」


「スミレちゃん! 言い訳しないの!」


「うぅ……。はいなのですよ。申し訳なかったなのよ」


 スミレちゃんは渋々といった顔をして、メイドのお姉さんに謝罪した。


「イエスロリータノータッチ! はいスミレ。繰り返して!」


「イエスロリータノータッチなのよ!」


 ちょっとリリィ?

 何処で覚えて来たのその言葉?

 って、今はそんな事どうでも良いよね。


 さて、何故私がメイドのお姉さんに謝っているのかと言うと、こんな事があったからだ……。





 メイドのお姉さんに事情を聞かれた私は、詰所の兵隊さん達が来るからと、一度皆と一緒に場所を移す事になった。 

 そして、人気のない場所まで移動して、私とスミレちゃんの関係を説明した。


「まさか、魔族を仲間にするなんて、貴女凄いわね」


「仲間じゃなくて友達だよ」


 私がそう返すと、メイドのお姉さんが一瞬驚いた顔をして、柔らく微笑んだ。


「ふふ。そうね」


「だから言ったなのよ。私は人を襲わないなのって」


「すまなかったわ」


 メイドのお姉さんがスミレちゃんに頭を下げる。


 とにかく、勘違いが解けて良かったよね。

 でも、勘違いされても仕方がなかったかもだよね。

 スミレちゃんの見た目って、もの凄く魔族魔族してるし。


「それにしても、あなた凄いわね。その歳で、あんな高度な魔法を使うなんて」


「えへへ。そうかなぁ」


 褒められて、私は上機嫌になる。


「ジャスミンの魔法は、まだまだあんなものじゃないわよ」


 ちょっとリリィ、やめてよぉ。

 恥ずかしいよぉ。


 と、思いつつも顔がにやける私。


「ジャスミンと言う名前なのね?良い名前ね」


「うん。ジャスミン=イベリスだよ。よろしくね。お姉さん」


 私が名乗ると、メイドのお姉さんがスカートの裾をつまみ、スカートを広げてお辞儀をした。


「私はアマンダ=M=シーよ。よろしくね」


 カーテシーの挨拶だ!

 生で見たの初めてだよ!

 きゃー!

 可愛い!


 メイドのお姉さん改め、アマンダさんの挨拶を見て私は大興奮だ。

 そして、私がキャーキャーとなってる横で、リリィとニクスちゃんも自己紹介をする。


「リリィ=アイビーよ。よろしくね」


「ウチは、ニクス=スワロー言います」


 ニクスちゃんが名前を言い終ると、リリィが「それで」と話をきりだした。


「なんでアマンダはスミレを襲ったの? 魔族だから?」


「それもそうなのだけど……そうね。順を追って説明するわ」


 順を追って?

 どういう事だろう?


「あれはそう、ジャスミンに財布を拾って貰った後の事だわ。詰所を出た時に、魔族の魔力を感じ取ったのよ」


 アマンダさんは、魔力を感知できるタイプの人なんだ。

 凄いなぁ。


「それで、その魔力を追って行った所に、スミレがいたの」


 うんうん。と私は頷く。


「スミレは女の子に何か話けていたと思ったら、急にしゃがみこんで女の子のスカートをめくり出したわ」


 うんうん?

 あれれ?

 なんだか雲行きが怪しくなってまいりましたよ?


「女の子が震えながら怯えてその場を立ち去ろうとした時に、スミレが女の子のスカートを引っ張って、その拍子にスカートが脱げたの」


 犯罪だーっ!

 おまわりさーん!

 事案だよ!

 最低で最悪だよ!

 何やってるのスミレちゃん!

 擁護ようご出来る要素が微塵もないよ!

 もうそれ、魔族だとか関係ない、ただの犯罪者だよ!


「アンタが悪いんじゃないのよ!」


 リリィが、スミレちゃんの頬を、グーパンでバチコーンと激しく殴る。

 リリィは人の事言えないよね?とも思ったが、それは今は置いておく。

 ニクスちゃんはドン引きして、ゴミを見るような目でスミレちゃんを見る。


「ま、待ってなのよ! それには理由があるなのよ!」


「スミレちゃん……。一応聞いてあげるね」


「さすが幼女先輩なのですよ!」


 私は、どうせろくでもない理由なんだろうなと思いながらも、一応言い訳を聞いてあげる事にした。


「幼女先輩と別れて聞き込みをしていた時に、私は良い事を思いついたなのです」


「良い事?」


「はいなのです。女の子の匂いを嗅いで、本当の事を喋っているのか、嘘を喋っているのかを見破るという作戦なのです」


「うん。……うん?」


「それで、丁度あの時もそうだったなのです。私好みの可愛い女の子がいたから、聞き込みをした時に嘘かどうか調べる為に、スカートの中の匂いを嗅ごうと」


「結局アンタが悪いんじゃないのよ!」


 バチコーンと、またもやリリィがスミレちゃんを殴る。


 うん。

 そうだね。

 リリィも人の事言えないけど、おおむね同意だよ。

 って言うか、私好みのって、完全に私欲しかないよ。

 もうそれ、絶対聞き込みとかどうでもよくなってるやつだよね?


「で、でも、嫌よ嫌よも好きのうちって言葉があるなのよ」


「そんな言葉、聞いた事も無いわよ!」


 リリィに怒られて、スミレちゃんがしゅんとなる。


 うん。

 まあ、そうだよね。

 前世の世界には、そう言った言葉もあったけど、こっちの世界では聞いた事ないもんね。

 と言うか、あったとしても言い訳にもならないけどね。

 それにしても、今の話を聞く限りだと、スミレちゃんが完全に犯罪者だよ。

 本当にろくでもない理由なんだもん。

 なにされても、もんくなんて言えないよ。


 私は、ため息を一つしてからスミレちゃんを見る。

 凄く凹んでいるようで、元気がなくなってしまっている。


 うーん。

 仕方がないなぁ。


 そんなわけで、私はアマンダさんの前に立つと、腰を90度曲げてごめんなさいをしたのだった。

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