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037 幼女と新たな変質者

 エロピエロに同情されて、私が目から汗を流していると、エロピエロが右手を顔に当てようとしていた。


「退散させてもらうよ」


 逃げられる!


 私は咄嗟に魔法を使う。

 エロピエロの右手を、私が魔法で作り出した砂鉄が覆う。


「何っ!?」


 砂鉄はエロピエロの右手に触れて、見えなくなるが、間違いなくそこにある。

 その証拠として、エロピエロは自分の顔を右手で触ったが、姿を消す事が出来なかった。


「つくづく、想定外の力を持った娘だな」 


「逃がさないんだから!」


 私はそう言って、洞穴の出入り口を、氷の壁で覆った。


「流石は幼女先輩なのです! そこに痺れるなのです!」


「くそっ」


 エロピエロが悪態をついて、懐から黒いハンカチを取り出して、額の汗を拭う。


「あーっ!」


 その様子を見て、突然リリィが指をさして叫ぶ。

 何事かと思い、エロピエロをマジマジと見ると、なるほど納得。

 黒いハンカチかと思われたそれは、ハンカチではなくブラジャーだった。


「それ、私のお気に入りのブラじゃないの! 返しなさっ……いいえ。もういらないわ。何て事してくれるのよ!」


 どうやら、リリィの私物だったみたいだ。


 今度はパンツじゃなくて、ブラ目的の犯人かぁ。

 どっちにしても変態だよ!

 やっぱり魔族って、変態しかいないんじゃないかな?

 それにしても、リリィってば、もうブラつけてるんだね。

 リリィは大人だなぁ。


 私がそんな事を考えていると、エロピエロがリリィのブラを地面に投げ捨てる。


「うげーっ。お前のかよ!」


「投げるなー!」


「うわっ。流石にそれは無いわーなのよ。エロピエロ様。最低なのよ」


 うんうん。と、私は頷く。


 女の子の身に着けていたブラで汗を拭いて、挙句の果てに地面に投げ捨てるとか、最低な屑ではないだろうか?

 本当に屑で失礼なエロピエロだ。


「でも、これで謎が解けたわね」


「え?」


 リリィが不敵に笑みを浮かべ、真剣な面持ちでエロピエロを再び指さした。


「エロピエロ! あなたがパンツを焚火に投げ捨てた理由。それは、あなたがおっぱいにしか興味無い変態だったからよ!」


 ええっ?

 それ、結構どうでも良い話のやつだよね?

 今はそんなのどうでも良くないかな?


「エロピエロ様は、おっぱい星人だったなのよ?」


 スミレちゃんも何でそんなに、驚愕の事実を知った!みたいな顔知ってるの?

 って言うか、おっぱい星人て。

 それ表現的に古くない?

 今時聞かないよ?


「さあ、観念なさい! エロピエロ!」


「さっきから、エロピエロエロピエロって、オイラを舐め腐りやがって!」


 って、あれ?

 エロピエロさん?

 おっぱいがどうののくだりは、スルーなの?

 あ。

 もしかして……。


「女の子を追い剥ぎして、服や下着を全部盗んでいくような奴は、エロピエロで十分よ!」


「こっちにも色々事情があるんだよ!オイラは、別に好きでやってたわけじゃない!」


「事情? 言ってみなさいよ」


「やだね!」


「言えないって事は、やっぱり自分の趣味じゃない!」


 リリィとエロピエロが言い合う中で、逃げ道や右手を塞がれたにも拘らず余裕を見せているエロピエロに、私は違和感を感じていた。

 そして、その違和感は、間もなく解消されてしまった。


「じゃあな! 小娘共」


 そう言った瞬間、エロピエロの立っていた場所に、大きな穴が開く。

 そして、エロピエロは穴に落ちていき、一瞬で姿が見えなくなってしまった。


「やられた!」


 リリィは急いで穴を覗き込んだが既に姿は無く、しかも目の届く所を既に土や石などで塞がれてしまっていて、どう逃げたのかわからなくなってしまっていた。


「エロピエロ様、流石逃げ足も速い方なのよ」


「私も油断したわ。せっかくジャスミンが追い詰めてくれたのに、ジャスミンごめんね」


「ううん。私も油断しちゃったもん」


 違和感を感じたのは良いけど、地面に穴を開けて逃げるなんて考えられなかった。

 それに、油断していたのも事実だ。

 出入り口を抑え、右手も使えなくして、私は何をされても大丈夫だと油断していたのだ。


「今回は逃げられてしまったけれど、次に会った時は、必ずジャスミンのパンツの仇を取ってみせるわ!」


「ええぇ。いいよ取らなくて」


「ふふ。心配しなくても大丈夫よ。ジャスミン。安心して任せて頂戴」


 どちらかと言うと、リリィの頭が心配だよ!

 安心できないよ!


 こうして、女の子ばかりを狙った追い剥ぎの事件は、幕を閉じるのであった。

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