表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/288

034 幼女も思わずニッコリ笑顔

「あいつなのよ」


「凄い。本当に匂いだけで見つけちゃった」


 リリィの作戦でスミレちゃんの後をついて行くと、集落の外れで小さな洞穴ほらあなを見つけた。

 そして、その中には焚火をして暖をとった人物がいて、その人物の周りには女の子達の服があった。

 もちろん、リリィがさっきまで着ていた服も混ざっている。

 間違いなく、追い剥ぎの犯人を見つける事に成功した。


 犯人は服を一つ一つ広げて確認して、綺麗に折りたたんでを繰り返しているようだった。

 洞穴の奥の方に大きな鞄があったから、おそらく後で服をしまうかもしれない。


 そして、私は犯人の服装に驚いた。

 何故なら、よく見てみると、犯人はピエロの格好をしていたからだ。


 ピエロ?

 この世界にも、ピエロっているんだ。

 じゃあ、何処かに行けば、サーカスとか見れるのかな?

 もしそうだったら、魔法のあるこの世界のサーカスなんだから、とっても素敵なんだろうなぁ。

 見てみたいなぁ。

 今度、パパとママや色んな人に聞いてみよう。

 こんな時にアレだけど、何だかワクワクしてきちゃった。


 私がそんな事を考えている横で、急にスミレちゃんが震えだす。


「どうしたの?」


 スミレちゃんが震えだした事に気がついた私が小声でそう聞くと、スミレちゃんは顔を真っ青にしながら答える。


「あわわわわわ。何であの方がここにいるなのよ。幼女先輩、あの方はやばいなのですよ。今すぐ逃げるなのです」


「え? どういう事? スミレちゃんは、あのピエロの格好をした人を知っているの?」


「はいなのです。あの方は、サルガタナス様なのです。私が仕えていたフルーレティ様と同格の方なのですよ!」


 私はスミレちゃんの言葉で、一気に血の気が引いて寒気を感じた。

 そしてよく見ると、私のもう片方の横に立っていたリリィも、若干青ざめている気がする。

 例の、魔力を感じるとかいうののせいだろうか?

 スミレちゃんと初めて会った時も、こんな顔をしているのを私は覚えている。

 これは、思いのほかとても危険な相手なのではと、魔力を感じる事の出来ない私でもわかる。


 しかし、それもほんの束の間の出来事だった。

 急にリリィの青ざめていた顔が一瞬で豹変し、怒気を帯び始めたのだ。


「あの変態盗人野郎。いい度胸してるわね」


「え? どうしたのリリィ?」


 もはや恐怖のきょの字も見えなくなったリリィに、私はたじろいだ。

 いったいどうしたと言うのだろうか?

 青ざめていた顔は、今や頭に血が上って真っ赤っかである。


「たしかに、いくらサルガタナス様と言えど、許せないなのよ」


「え? スミレちゃんまでどうしたの?」


 私はそう言って振り返り驚いた。

 何故なら、スミレちゃんまで怒気を帯びて、ピエロを睨みつけていたからだ。

 スミレちゃんも、逃げると言っていたのが嘘の様に、血が上って顔を赤くしている。


 スミレちゃんまで!?

 いったい、何が2人をそこまで怒らせたの?


「「殺す」なのよ」 


 こわっ!

 殺すとか、ハモって言うの止めて?

 怖いよ2人とも!


 私は2人の豹変ぶりに驚き、再びピエロを見て気がついた。


「あ。私のパンツが……」


 はい。私のパンツは、焚火の中に放り出されていました。

 雨の中で水分を吸収したせいで燃えづらくなっていて、未だに原形を留めている様だけど。


 あ。そう言う事なのね。

 うん。

 納得したよ。

 ふふふ。そうだよね。

 うんうん。

 知ってた。


 私も2人の豹変の謎が解けて、思わずニッコリ。

 そして、ニッコリ笑顔のまま、ため息を一つ。


 取り戻した所で、もう穿きたいなんて思わないし構わないけど、なんだかなぁって気分になって気持ちが重くなる。

 出来れば処分される所を見たくなかった気持ちと、少し安心した気持ちが、私の心で入り混じる。

 だけど、頭に被られたり匂いを嗅がれたり、そう言うのが無いから良しとしようと、私は結論付ける事にした。


 そっかぁ。

 今回の変態魔族は、パンツには興味が無いみたい。

 良かった良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ