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257 幼女の知らぬ間に親睦は深まる

 スミレちゃんはソイさんに笑顔を向けると、何かを思い出したかのような表情をして、またもや胸元から何かを取り出した。


「そう言えば、特別に良いものを見せてあげるなのよ」


 良いもの?


「姉御、これ以上の良いものなんてあるのか?」


 そう言えば、いつの間にか姉御って呼んでるよね。

 ババアって失礼な呼び方だったし、それは良かったかも。


「これなのよ」


 スミレちゃんが胸元から取り出して、ソイさんに見せたのは写真だった。

 そして、私はそれを見て、再び恥ずかしさで頭に血が上っていくのを感じた。


「こ、これは!? 聖母ジャスたんと天使リリちゃんが裸で抱き合ってる姿だと!?」


 そう。

 写真には、ドワーフ城のお風呂に入った時に、おバカな変態魔族達に撮られた私とリリィの姿が写っていたのだ。

 丁度リリィに抱擁されて、私の顔がリリィの胸に包まれた直後位だろうか?

 と言うか、何故それをって感じである。


「うおおおおっっ! 何なんだ!? この胸の奥から湧き出る鼓動は!? 俺は、俺は今まで、何故こんなにも素晴らしい事に気がつかなかったんだ!?」


 ソイさんが目を見開いて叫びスミレちゃんに問うと、スミレちゃんが全てを悟ったような眼差しでソイさんを見て告げる。


「幼女の百合は、何よりも尊いものなのよ」


 おバカなの?


「幼女の……百合? そうか……。それだったんだ! 俺が求めていたのは、それだったんだ!」


 ソイさんはそう叫ぶと突然号泣して、拳を作って床を叩く。


「ありがとう姉御! 俺、やっと気付けたよ! 俺の孤独を埋めてくれるのは、幼女が幼女と絡み合う尊い姿だったんだ!」


 え、ええぇぇ……。

 嘘でしょう?

 私が背中から抱きしめたり、頭を撫でて相談に乗るって言ったのを、全部スミレちゃんの妄言に持ってかれちゃったよ?


「そうなのよ。豚、今のお前に問うなのよ。本当にお前はリリィと結婚したいなの?」


 そこ等辺の事よくわかって無いんだけど、何がどうなってそうなったんだろう?


「天使リリちゃんとの結婚? そんな事より、俺は聖母ジャスたんと天使リリちゃんの絡みが見たい!」


「私も同じ気持ちなのよ」


 え? 何?

 スミレちゃんってそうだったの?

 なんか嫌な事聞いちゃったよ。

 って言うかだよ。

 何これって感じだよ。

 結局いつものおバカな展開なんだもん。

 こんな変態チックな展開じゃなくて、ソイさんの悩みを親身になって聞いてあげて、それを皆で優しく解決してあげる展開じゃなかったの?

 はあ……まあ良いや。

 それよりだよ。


 と、考えながら、私はスタスタとスミレちゃんに近づいて話しかける。


「スミレちゃん、その写真燃やすから頂戴?」


「幼女先輩の頼みでも、それは出来ないなのですよ! これは、私の命より大事な写真なのです!」


 そんな価値無いと思うなぁ。

 って言うかだよ。


「犯罪だから! 児ポルだよスミレちゃん!」


「そんなもの、この世界には無いなのですよ! だから犯罪にはならないなのです!」


「無くったって犯罪だよ!」


 私はスミレちゃんから写真を奪おうと手を伸ばす。

 だけど、スミレちゃんは写真を自分の谷間の間に素早く入れてしまった。


 ぐぬぬぬぬ……。


 と、スミレちゃんの胸の谷間に手をつっこむ勇気の無い私は悔しがる。

 その時、私の視界に目を疑うような光景が映りこんでしまった。


「でね。ジャスミンが私に言ったの。リリィちゃん、プエゼントだよ。おたんじょーびおめでとーって」


「めんこいのぅ。流石ジャスミン様じゃ」


 な、仲良くお話してる!?

 って言うか、またそのお話してるの!?


 いつの間にか、リリィとドリちゃんは仲良くお喋りをしていた。

 しかも、何処から持って来たのか謎だけど、床の上に畳を敷いて、その上に2人は座って談笑している。

 更には、いつの間にかトンちゃんとプリュちゃんとラヴちゃん、そしてルピナスちゃんとブーゲンビリアお姉さんとマルメロちゃんまでもが、その輪の中に入っている。

 挙句の果てには、売店の出入口で様子を見ていた女の子達の何人かが、リリィ達にお茶やお茶菓子を配っていた。


「あら? このお菓子とっても美味しいわ」


「栗ようかんッスか? 確かご主人の前世にも、こんなのあったッスね」


「アタシはこれが好きな味なんだぞ」


「私もそれ好きー。干し柿美味しいね」


「プリュとけもっ娘は干し柿ッスか? ボクは和菓子より、やっぱりご主人の焼いたパンケーキが一番ッスね」


「がお」


「ジャスちゃんって、お料理がとてもお上手ですよね。わたしの憧れです」


 え? 何あの平和な空間。

 こっちとは偉い違いだよ?

 ほら見てよ。

 スミレちゃんとソイさん、幼女の百合について熱く語りだしちゃってるんだよ?

 と言うか、いつの間に皆そんなに仲良くなってたの?


 私が困惑しながらリリィ達を見ていると、私の頭の上でずっとお昼寝をしていたラテちゃんが、目を覚まして呟いた。


「ふぁ~。よく寝たです。あれ? ジャス何かあったです? ちょっと臭いです」


「あ、あはは……」


 うん……お風呂入って来よ。


 こうして、エルフの里で起きている事件の一つ神隠しは、変態達の活躍で幕を閉じるのであった。

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