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240 幼女に出された斜め上な条件

「疲れたー」


 ボフンッと、私はベッドに突っ伏して横になる。


「ジャス、お疲れです」


 ベッドで横になると、ラテちゃんが私の顔の近くまで来て、ちょこんと座った。


 今日は結局、一日中花嫁修業をやらされる事になってしまった。

 料理対決が終わった後に、マンゴスチンさんが怒って何処かへ行ってしまったのだけど、私の方が料理が上手だからと臨時講師をさせられた。

 おかげで、教えるのと作るのは別物なので、とても大変だった。


 午後からは、教室に戻って普通にお勉強をして、授業が終わると掃除した。

 掃除は楽しかったのだけど、問題はその後だ。

 掃除を終えると、私が掃除を終えるのを待っていた女の子達に囲まれてしまったのだ。

 私は女の子達からの質問攻めを受けて、その対応が凄く大変だった。


 マルメロちゃんに助けを求めたかったのだけど、マルメロちゃんは掃除の時にドリアードさんに呼び出されてしまっていて、それは叶わぬ願いだった。

 更に、ラテちゃんもオぺ子ちゃんと一緒に何処かへ行ってしまったし、私は1人取り残されてどうしようもなかったのだ。


 暫らくしてラテちゃんだけが1人で戻って来たのだけど、その頃には私も自力で逃げ出していた後だった。

 と言うか、逃げ出せたのは、もの凄く怒って現れたソイのおかげだった。

 何があったのか知らないけれど、ソイは突然現れたかと思うと、ドリアードさんの名前を呼びながら住居スペースの階段を上っていたのだ。

 そして、皆が驚いてソイに目を奪われている隙に、私は逃げ出したというわけである。


 そんなわけで、私は今とても疲れている。


「ラテちゃん、オぺ子ちゃんと何処に行ってたの?」


 私はラテちゃんに顔を向けて聞いてみた。

 すると、ラテちゃんがよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりのドヤ顔になる。


「マルメロの後を、オぺ子と一緒にこっそりついて行ったです」


「え? そうだったの?」


「ジャスの所に皆が集まってくれてるおかげで、かなり動きやすかったです」


 ……うーん。

 それなら、凄く大変だったけど、結果的に良かったって事なのかなぁ?


「ジャス、今からラテが話す事を、よく聞くですよ」


「え?」


「ラテとオぺ子は、マルメロの後をつけてドリアード様と会ったです。そして、話をしたです」


「え? お話出来たんだ?」


「です。そして、ドリアード様にここから出してほしいと頼んだら、二つの条件を出されたです」


「二つの条件?」


「条件の一つは、オぺ子がやる事になったです。その為、今オぺ子は御神木の外で、ジャスをここから出す為に動いているです」


「オぺ子ちゃんは外に出して貰えたんだ? それなら、とりあえずは良かったよ」


 と、私が安堵すると、ラテちゃんが私のおでこをぺちんと叩く。


「全然良くないです。オぺ子に出された条件は、最近この里に来たネコネコ編集部の連中と里で起きてるもう一つの事件の関係性を調べ上げて、解決する事です」


「え? どういう事?」


「ドリアード様の話では、この二つは魔族が関わっていて、必ず関係しているそうです。実際にネコネコ編集部にはオークを始めとした魔族が関わっているですし、オぺ子の話ではフェニックスがいるはずで、間違ってはいないとラテも思うです。ただ、ドリアード様ご自身は今は御神木を離れられなくて調べる事が出来ないので、手をこまねいたいたらしいです」


「ちょ、ちょっと待って? ラテちゃん、ドリアードさんの立場が見えてこないんだけど、味方って考えて良いの?」


「よくわからないです。でも、敵では無いと思って良いと思うです」


「そっかぁ……」


 神隠しの犯人がドリアードさんで、ベルゼビュートさんと手を組んでいるマンゴスチンさんと関わっているみたいだから、ベルゼビュートさんとも繋がっていると思っていたけど違うのかな?

 それとも、他に何かあるのかなぁ……。

 それにしても、もう一つの事件かぁ。

 たしか、朝起きたらワンちゃんのうんちが枕元にあるんだよね?

 何とも言えない嫌な事件だよね。

 って、あれ?


「もう一つの条件ってなぁに?」


「もう一つの条件は、ジャスが解決しなければならないです」


「私が……」


 私は緊張して、ごくりと唾を飲み込む。


「もう一つの条件は、この御神木内部の何処かで密かに作られている、ビーエル漫画とか言う物を阻止する事です! 書いている犯人を捕まえて、ドリアード様に差し出すまでが条件です!」


 え、えぇ……。


 私は思いもよらぬ斜め上な条件を聞いて落胆していると、ラテちゃんが真剣な面持ちで私のおでこをぺちんと叩く。


「しっかりするです! これを見事に成功させた暁には、ジャスの焼いたパンケーキにとっても合う、とっても甘いハチミツをくれるですよ!」


 なるほどだよ。

 ラテちゃんが、こんなおバカな事に真剣になってたのは、そのハチミツに釣られたんだね。

 それにしても、ビーエル漫画って……。

 なんておバカな条件なんだろう。

 オぺ子ちゃんが与えられた条件と比べて、かなり難易度低くないかな?

 それに、そんなのがここで作られてたの? って感じだよ。

 と言うかだよ。


「ねえ、ラテちゃん。私に与えられた条件って、そんなので良いの?」


「ドリアード様は子供達が腐っていく姿に、耐えられないと言っていたです」


 あ、はい。

 どうしよう?

 凄くどうでも良いし、ほっといてあげたらいいのに。

 趣味は人それぞれだと思うよ?


「とにかく、明日からは事件解決に向けて、早速行動開始するです!」


「今日は良いの? まだ時間ありそうだけど?」


「ジャスはわかってないです」


「え?」


「ラテは今日はもう疲れたです。眠たいので動きたくないです」


「あはは……」


 私も疲れてるし、ゆっくり休もう。


 そんなわけで、今日の活動はここまでと言う事になり、この日はゆっくりと一日が終わっていきました。

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