表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/288

221 幼女は御神木が気になる

 私が驚いて声を上げると、リリィが顔を顰めてドリアードさんを睨み、スミレちゃんは顔を青ざめさせた。

 ドリアードさんの事を知っていたらしいトンちゃんとラテちゃん、それにプリュちゃんとラヴちゃんはギュッと私を掴む。


「ふむ。わらわの事を知らなんだと申すか。まあ良い。それならば、この里に滞在しておる間は、覚えておく事だな。妾は寛大じゃ。其方等の無礼を許そうではないか」


「う、うん」


 私が困惑しながらも返事をすると、ドリアードさんが眉根を上げた。


「うん、じゃと? 些か、礼儀を知らぬ様じゃな。言葉使いに気をつけよ」


 ドリアードさんの言葉に、リリィが眉根を上げて前に出る。


「はあ!? 礼儀を知らないのはどっちよ? アンタこそ、何を上から目線で話しているわけ?」


「何?」


 ドリアードさんがリリィを睨みつけ、殺気を放つ。


「は、ハニー! やめるッスよ! 今すぐ謝るッス!」


「謝る必要なんてないわよ! 上等じゃない! 木の大精霊だかなんだか知らないけど、上から目線なのが気に入らないわ!」


 これって、結構やばいかも?

 と言うか、エルフの里に着いて早々に事件なんか起こしたら、ドワーフの鉱山街の二の舞だよ!


 私は慌ててリリィを後ろから羽交い絞めする。


「リリィ待って!? 落ち着いて!」


「ジャスミン?」


「ドリアードさんごめんなさい。今すぐここから離れますので、許して下さい!」


「ふん。まあ良い。以後気をつけるのじゃぞ」


 私の必死が伝わったのか、ドリアードさんは不機嫌そうな表情ではあったものの、私を一度睨んでから大木の中へと消えていった。

 私はドリアードさんが消えると、安堵のため息を零して、リリィから離れた。


「アイツ、ジャスミンのおかげで命拾いしたわね」


 リリィ、ちょっとは反省して?

 でも、多分だけど、実際に戦ったらリリィが勝っちゃうんだろうなぁ。

 そうなったら、最悪な事になりそうだけど。

 エルフが襲って来ちゃいそうな気がするし……。


「リリさん。あんまり無茶したら、駄目なんだぞ」


「そうなのよ。相手は大精霊なのよ。手を出したら駄目な相手なのよ」


「がおがお」


「もう。わかったわよ」


 プリュちゃんとラヴちゃんとスミレちゃんのに宥められると、リリィはフンッと鼻息を荒く吐き出して、そっぽを向いた。


「とにかく、ここから離れようよ。ドリアードさんにも、私がそう言っちゃんだし」


「仕方がないわね」


 私達は一度この場を離れるべく、宿屋へ向かう事にした。





 宿屋に到着して、スミレちゃんの鼻を頼りにサガーチャちゃんとブーゲンビリアお姉さんがいる部屋までやって来て、私は木の大精霊ドリアードさんに会った事を話した。

 すると、ブーゲンビリアお姉さんが目を見開いて驚いた。


「ど、ドリアード様に会ったの? ドリアード様は滅多な事では、こっちに来ないはず……。御神木は湖に囲まれているのに、どうやって行ったの?」


「私はリリィにお姫様抱っこしてもらってかな」


「私はジャスミンをお姫様抱っこしながら、湖の上を歩いただけよ」


「私はジャンプして湖の上を渡ったなのよ」


 私達の返答に、ブーゲンビリアお姉さんは絶句して言葉を失い、サガーチャちゃんは楽しそうに笑いだす。


「君達は本当に凄いね」


「ジャスミンちゃん、ごめんね。まさか湖を渡るとは思っていなくて、ドリアード様の事を話さなかったのよ。少し説明させてね」


「うん」


 私が頷くと、ブーゲンビリアお姉さんは柔らかく微笑んで話を続ける。


「木の大精霊ドリアード様は、ここエルフの里にある御神木に昔から住んでいる大精霊様なの。大精霊様については、知っているわよね?」


「私が知っているのは四大精霊ね。木の大精霊なんて初めて聞いたわ」


「そう。それなら、リリィちゃんの為にも説明すると、大精霊様は四大精霊様以外にも、何人かいらっしゃるの。その何人かの一人が、木の大精霊様であるドリアード様よ」


「ふーん」


 リリィは興味無さげに頷く。


「エルフの里でのドリアード様は、そうね……。私達が暮らすトランスファで言う所の、ラテールちゃんと同じ立場の方よ」


 たしかラテちゃんって、私達の村で自然を守る為にいてくれたんだよね?

 じゃあ、ドリアードさんもエルフの里と言うか、精霊の森を守ってるって事だよね。


「ドリアード様は気難しい方で、普段は人前には出て来ない方なのよ。だけど、人前に出て来ないからこそなのかもしれないわね。エルフ達からの信仰が厚いのよ。だから、この里でドリアード様を敵に回す事は、エルフ達全員を敵に回すと考えた方が良いわ」


 やっぱり私の思った通りなんだ。

 ドリアードさんには手を出さない方が良いんだよ。


「そんなんだから、アイツはあんなに偉そうな態度を取っていたのね」


 偉そうって……リリィ。

 うん。まあそうだけども……。


「リリィ、偉そうなんじゃなくて、偉いですよ。ドリアード様は大精霊様達の中でも、植物系の魔法に特化した凄い人です。ラテも初めて会ったけど、見ただけで凄さがわかったですよ」


「そう言うわけだから、ドリアード様には手を出さないように気をつけてね」


「うん。わかったよ」


 触らぬ神に祟りなしって言うし、出来るだけ関わらないようにしよう。

 でも、なんでだろう?

 ドリアードさんと言うか、あの大きな御神木は凄く重要なきがするんだよね……。

 今夜あたりに、見つからないように、こっそり調べてみようかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ