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193 幼女はお風呂で戯れる

「おしっこ」


 お風呂の脱衣所で、アモーレちゃんが尿意を催したらしく呟いた。


「ジャスミンちゃん達は先にお風呂に入っていてちょうだい。アモーレをトイレに連れて行くわ」


 アモーレちゃんのママのベッラさんがそう言って、アモーレちゃんの手を取る。

 すると、アマンダさんがアモーレちゃんの目の前にしゃがんで、ベッラさんを見上げて話しかける。


「丁度私も用を足したかったので、アモーレ姫様は私がおトイレへ連れて行きます」


「あら? それなら、お言葉に甘えて、頼んじゃおうかしら」


「はい。お任せ下さい」


 アマンダさんはそう言うと、アモーレちゃんに視線を向けて微笑む。


「アモーレ姫様、私もご一緒させて頂いてよろしいですか?」


「うん。アマダいっしょにいこ」


 アモーレちゃんがアマンダさんの手を取って、ニッコリと笑顔を向ける。


「うふふ。ええ。喜んで」


 はーん。

 可愛いなぁ。


 私が2人の微笑ましいやり取りを見ながらお洋服を脱ぎ始めると、パシャッと、何故かこの場には相応しくないシャッター音が聞こえてきた。


 え? 何?

 今のシャッター音だよね?


 私は音の出所を探るべく、音の聞こえてきた方に顔を向けて絶句する。


「リリィ。後で私にも一枚恵んでほしいなのよ」


「もちろん良いわよ。私とスミレの仲だもの」


 そこには、全裸で鼻にティッシュを詰めた姿をしたリリィと、下着姿のスミレちゃんがいた。

 しかも、リリィは私に向かってカメラを構えているという最悪の構図だった。


「よくなーいっ!」


 私の水の魔法が宙を飛ぶ。

 そして、私の放った水の魔法は、カメラを貫き破壊する。


「きゃー! ジャスミン、何て事を!?」


「幼女先輩! 酷いなのですよ!」


「それはこっちのセリフだよ! なんで写真なんて撮ってるの!?」


「なんでって、そんなのジャスミンのあられもないエッチな姿を撮る為に、決まっているじゃない!」


「そうなのですよ! リリィの言う通りなのですよ!」


「そんなの撮らなくていいよ!」


 もう!

 2人とも、油断も隙もあったもんじゃないよ!


「なんか、やっぱご主人がいると落ち着くッスね~。変な安心感があるッス」


「がお?」


「あはははは。君達、面白いね~」


「若いって良いわね~」


「お后様も十分若いんだぞ?」


「確かに、わたくし達精霊から見れば、ベッラもまだまだ若いですわね」


 うぅ。

 なんか本当に疲れたよ。

 早くお洋服脱いじゃって、お風呂入ろう。

 なんか、凄くゆっくり入りたい気分。

 早速だけど、アレを使っちゃおう……。


 私は精神的な疲労を感じて、お風呂場へと急ぐ。

 そして、お風呂場に入って、その広さに驚愕した。


「広ぉーい!」


 凄い!

 思ってたより、全然広いんだけど!?


 お風呂場は、処刑が行われていた闘技場の舞台よりも広く、まるで広大な湖を見ているようだった。

 私があまりにも大きなお風呂に驚いていると、リリィが私の手を握って歩き出す。


「ジャスミン、洗いっこしましょう?」


「うん」


 私は返事をして、リリィと仲良く洗い場まで行き、体を洗いっこする。


「ご主人、たまにはボクもお背中流すッスよ」


「アタシもお背中流すんだぞ」


「がおー」


「3人共、ありがとー」


「ジャスミンったら、モテモテね」


「えへへ」


 そうして皆で体を洗い終わると、サガーチャちゃんが湯船に浸かりながら、私に声をかけてきた。


「ジャスミンくん。こっちにおいで」


「うん」


 私は返事をして、サガーチャちゃんの所へ向かう。

 すると、サガーチャちゃんの近くにはスミレちゃんとベッラさんとフェルちゃんがいて、3人は何やら真剣な顔をして私を見つめていた。


 え? 何?

 なんだか、ちょっと怖いんだけど?


「本当ね。ジャスミンちゃんって、男の子みたいな座り方と立ち方なのね」


 なるほど。

 私が内股じゃないって話かぁ。


「そうなのよ。おかげで、一緒にいると、ハラハラドキドキじゅるりなのよ」


 最後のじゅるりって何?


「ジャスミンって、もっと女の子らしい子だと思っていましたわ。改めて見ますと、結構ガサツですのね」


 うぅ。

 フェルちゃんから見ても、私ってそんな感じなんだね。

 前世が男だった時の名残が、あらわになっていってるよ。


「狙ってるわけでもなくて、あくまでも自然体で恥じらいが無いから、逆にそれが可愛いわね。外の世界には、こういう可愛さもあるのね」


 え?

 ベッラさんから見ると、可愛いんだ?

 ちょっと照れるかも。


「ちなみに幼女先輩は、よく胡坐あぐらをかいているなのよ」


「まあ」


 うっ。

 流石に驚いてる。

 はしたなくてごめんなさい。


「あはははは。ジャスミンくん、百面相しているよ? 君は本当に面白いなぁ」


「あら? 貴女、わかってるじゃない」


「主様可愛いんだぞ」


「がお」


「ブサイクの間違いじゃないッスか?」


 ぐぬぬ……。


 私はなんだか恥ずかしくなってきたので、早歩きでお風呂に入って、湯船に口まで浸かってブクブクと泡を出す。


「それにしても、これだけお風呂が広いと、なんだか泳ぎたくなってくるなのよ」


 スミレちゃん、小学生じゃないんだから……。


「いいわね。そう言う事なら、私と勝負しましょう?」


 え? ベッラさん?


 スミレちゃんとベッラさんが目を合わせて、こくりと頷く。

 そして、2人は同時に構えて泳ぎ出した。


 ほ、本当に勝負が始まっちゃったよ。

 ベッラさんって、パッと見が中学生くらいだけど、結構見た目以上にに子供っぽいんだなぁ。

 と言うか、私よりよっぽど男の子してない?


 などと、私がいつの間にか仲良しになっているスミレちゃんとベッラさんの2人を見ていると、私の横で湯船に浸かっているリリィがトンちゃん達に話しかける。


「あら? ドゥーウィン達は浸からないの?」


 リリィの言葉を聞いて振り向く。

 トンちゃんとプリュちゃんとラヴちゃんは足だけお風呂に入れていて、私は足風呂を連想した。


「ボク達精霊には人間用に作られたお風呂は深いから、これで十分ッス」


「おふろブクブク」


「アタシは入れるけど、ドゥーウィンとラーヴに合わせてるだけだぞ」


「なんだかもったいないわね」


「仕方ないッスよ」


 そうなんだよね。

 だから今までも、私もトンちゃん達と一緒にお風呂に入った事が、実はそんなにないんだよね。

 やっぱり、トンちゃん達には大きいもんね。

 人のは入るお風呂って……。


「それなら、精霊用に設計されたお風呂が向こうにありますわよ」


「え? 本当ッスか? フェール」


「ええ。もちろんですの」


「そういう事なら、そっちに入って来る――ッス?」 


 そう言って、トンちゃんは首を傾げて、自分の足を見つめた。

 すると、同じように、プリュちゃんとラヴちゃんも自分の足を見つめだす。


「出られないッス」


「足が、足がお風呂から出せないんだぞ!?」


「がお~」


 え?

 お風呂から足が出せれない?


「きゃーっ!」


 突然背後から、ベッラさんの悲鳴がお風呂場全体に響きわたる。

 私も皆も、一斉にベッラさんの悲鳴が聞こえた方に視線を向ける。


「エリゴス!? なんでこんな所にいるなのよ!?」


 え、エリゴスさん!?


 なんとスミレちゃん達が泳いでいった先には、腰にタオル一枚のエリゴスさんが気持ちの悪い笑みを浮かべて立っていた。

 ベッラさんはスミレちゃんの後ろに隠れて、スミレちゃんはベッラさんを隠すように立ちエリゴスさんを睨む。


「オレッチはこの時を待ってーいたんだあ! 幼女や少女がお風呂でキャッキャウフフとたわむれるぅっ、夢の様な空間が生まれるこの時をーよおっ!」

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