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018 幼女と変態達の集まり

 ラークを庇ったリリィを炎が包み、私はそれを見て地面に膝をつく。


「そんな……。嘘でしょ? リリィ! リリィ!」


 私は泣きながら、未だに炎に包まれ燃え続けるリリィの許へと走る。


「嫌だ! 嫌だよ! 死んじゃ嫌だよリリィ!」


「もう。心配しすぎよジャスミン」


 私が泣きながらリリィの許へ行くと、未だ燃え続けているリリィが喋った。


「え?」


 そして、リリィはそのまま立ち上がり、その瞬間炎がパッと消える。


「ええええええええーっ!?」


 私は驚愕きょうがくした。


「何で火傷の跡すらも残ってないの!?」


「私も火属性の魔力持ちだもの。多少の耐性位あるわよ」


 言われてみればそうだった。

 リリィは火の属性が使えるから、同じ火の属性の魔法には、それなりの耐性があるのだ。


「あはは……。そうだったね」


 私は安堵して一気に力が抜けて、ぺたりとその場に座り込んだ。

 それから、取り乱してしまった事で恥ずかしくなった。

 私は恥ずかしさを隠す為に、顔を両手で隠す。


「うふふ。心配してくれてありがとう。ジャスミン」


 リリィはそう言って、優しく私に微笑んだ。


「うん」


 でも良かった。

 本当に、もう駄目かと思ったんだもん。


「ねえ? そろそろいい?」


 そこで、美人魔族が口を開いた。


「今のは挨拶変わり。私の事がばれた以上、アンタ達は生かして帰らせてあげられないの」


 そう言葉にした美人魔族の目は鋭く、その場にいた私達6人は、蛇に睨まれた蛙の様に動けなくなった。


「悪いけど、みーんなここで死んでね?」


 美人魔族の殺気が周囲を包み込み、あの馬鹿なラークさえ震えていた。


「でもまあ、言う事を聞けば、生かしてあげない事も無いわ」


「魔族のわりには、中々寛大なのね? それで、何をお望みなのかしら?」


 ビリアお姉さまが私とリリィの前に立ち尋ねると、美人魔族は見下すような目でこちらを見て口を開いた。


「パンツをここで脱いで寄越しなさい」


「!?」


 え?

 今なんて言ったこの人。


「そんな! そんな事をしたら、恥ずかしくて村に戻れないじゃない!」


「そんな事知ったこっちゃないわよ。さっさと寄越しなさい。あ。男のパンツはいらないわよ?」


 よく見ると、ラークとリリオペがズボンを下ろして、パンツを脱ごうとしていた。


 え?

 何これ?

 何この状況!?

 何でブーゲンビリアお姉さんもリリィも真剣な顔したままなの?

 何でルピナスちゃんまで恐怖で震えているの?

 あっれー?

 私がおかしいのかな?

 まあいいか。

 とにかく、私はお姉さんなんだから、ルピナスちゃんを安心させてあげないと!


 私はルピナスちゃんを安心させる為に、ルピナスちゃんの許へと走った。


「おしっこしたくなっちゃった。どうしよう? ジャスミンお姉ちゃん」


「ええっ!? おしっこー!?」


 違った! 

 恐怖で震えてるんじゃなくて、尿意をもよおしてるだけだった!


「お嬢ちゃん。トイレ行きたいの?」


「!?」


 ルピナスちゃんの目の前に、美人魔族が恐ろしい程の速度で近づいて来た。


「私がトイレになるわ」


 えええーっ!? 

 何言ってるのこの人?

 え?

 何?

 上級者なの?

 と言うか、オークといいこの残念美人魔族といい、魔族ってこんなのばっかなの?


「何て奴なの!」


 そこでリリィが叫ぶ。


「私がトイレになるですって!? その発想は無かったわ!」


 うん。

 そうだよね。

 普通なら、そんな変態の上級者的な発想でないよね。

 って、違う!そうじゃない!

 他に言う事あるんじゃないの!?


「ふふん。魔族である私と、たかが下等な種族の人間とじゃ、その位の差が出て当然なのよ」


 残念ながら、この世界と違う世界の人間には、その発想する人結構いますよ?


 ルピナスちゃんが私の腕をギュッと掴んで、お目目をうるうるさせている。


 うう。可愛い。

 って、私までこの状況で、変態達と同類になってどうする!

 しっかりしないと!

 でもどうすれば!?


 今ここにいるのは、変態と馬鹿しかいない。

 近くの茂みでルピナスちゃんにおしっこをとも考えたけど、そんな事をさせたら無事で済むはずがない。

 絶対に変態共が、我先にと覗こうと必死になるに違いないのだ。


「ジャスミンお姉ちゃん」


 私の腕を掴むルピナスちゃんの手に力がギュッとこもる。


「トイレなら秘密基地の中に作ってあるよ」


「え?」


 私は言われて振り向くと、リリオペが苦笑しながら近づいて来た。


 まともな人いたー!


「教えてくれてありがとう! リリオペ」


「ははは。うん。まあ、ちょっと皆の反応に引くよね」


 ですよねー。

 うん。

 私もそう思う。

 前世では、私もあっち側だっけど。

 あれ?

 でも、リリオペさっき……


「さっき、一緒になってパンツ脱いでなかった?」


「殺されたくないからね。結局男は意味ないようだけど」


「そっか」


 たしかに、殺されるかもしれないんだから、パンツ脱ぐだけで助かるならパンツくらい脱ぐよね。

 動揺してて、そこまで考えてなかった。

 よくよく考えたら、男の子なら結構普通の行動だったのかもしれない。

 って、それどころじゃないか。


 私はルピナスちゃんを連れて、秘密基地へと急いだ。

 しかし、残念美人魔族が私達の前へと現れた。


「お嬢ちゃん達、行かせるとでも思ってるの?」


 こんなのに構っていられない!


「これがほしいんでしょ!」


 私はその場でパンツを脱いで、上へ放り投げた。

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