表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/288

015 幼女は決意を表明する

「ところでジャスミンちゃん」


 一通り怖い笑みを終えると、ブーゲンビリアお姉さんが私の方を向いた。


「せっかくこうやって、ゆっくりお話出来る機会が出来たから、私のお願いを聞いてほしいのよ」


「お願い?」


「私の事は、お姉さんじゃなくて、ビリアお姉さまと呼んでほしいの」


「え?」


 やっぱりそっち系の人じゃんこの人!

 前世の私なら超ウェルカム展開だけど、今の私はアンウェルカムなんですけどー!?

 見るのは好きだけど、自分が当事者になるのは嫌だよ!


「えと、ブーゲンビリアお姉さんって言うのじゃ駄目?」


「私は親しい人からは、ビリアって呼んでもらってるのよ。だから、ジャスミンちゃんにもそうしてほしいな」


「じゃあビリアお姉さんで」


「お姉さまが良い!」


 ええーっ。

 なんか、めんどくさいよこのお姉さん!

 ブーゲンビリアお姉さんって、こんな人だったんだ。


 私はリリィに助け船をと目で訴えると、リリィはニコニコ笑顔で私に止めをさす。


「それ位なら良いじゃない。言ってあげなよジャスミン」


「うー……。ビリアお姉さま」


 私は観念して言われた通りの呼び名で、ブーゲンビリアお姉さんを呼んだ。


「きゃーっ!」


 ブーゲンビリアお姉さんは、よっぽど嬉しかったのか、黄色い声を上げて私に抱き付いた。

 そして、どさくさにまぎれて、一緒になって私に抱き付くリリィ。


 何だこれ?


 私は何だか、ドッと疲れが出た気がした。

 が、そこでリリィに違和感を感じた。


 私は違和感の真相を求めて、リリィの違和感の部分を掴む。


「リリィにおっぱいがある!?」


「きゃっ」


「もう。ジャスミンちゃん。当たり前じゃない。いきなりどうしたの?」


 当たり前!?

 そんな事ない!

 だって、リリィは私と同じ9歳なんだよ!

 9歳でおっぱいって、早すぎでしょ!?

 もしかして、私の認識がおかしいの!?


「うふふ。ジャスミンったら~。心配しなくても、ジャスミンだってその内大きくなるわよ」


「そうよジャスミンちゃん。早い子はジャスミンちゃん位の歳で、大きくなるってだけだから、焦らなくても大きくなるわよ」


「それは困る!」


「え?」


 おっぱいが大きくなるのは大問題だ!

 だってそうでしょう?

 たしかに、ロリ巨乳と言うジャンルはあるけども、私の前世はツルペタ派なのだ!

 これはマズい!一大事だ!

 今年は身長が5ミリも伸びていたし、同い年のリリィには、早くもおっぱいの成長が見受けられてしまった。

 それによくよく考えてみたら、私のママは身長もおっぱいも普通にある。

 遺伝の事を考えれば、私は単純に成長が他の子より遅かっただけで、このままだと近い将来、私はロリ体系じゃ無くなってしまうのでは!?


「何だか、ジャスミンちゃん少し変わったわね」


 私がうーんと唸っていると、ブーゲンビリアお姉さんは私に目線を合わせて、不思議そうな顔をした。


「成長期だものね」


 と、事情を知っているリリィがフォロー。

 ブーゲンビリアお姉さんは、そうよねーなんて言いながら納得してくれた。

 しかし、成長期……成長期かぁ。


「成長を止める方法ってないのかな?」


「成長を止める方法?」


「うん。成長を止めて、身長が伸びるのを止めたいの!」


 私はその場で立ち上がり、握り拳を作り頭上に掲げて、決意を表明した。


「「おー」」


 リリィとブーゲンビリアお姉さんは、そんな私を見て歓声を上げて拍手した。


「でもジャスミン。成長を止めたいって言っても、どうするの?」


「そうよね。成長は誰でもするものだし、ジャスミンちゃんは成長が遅いだけで、成長を全くしないわけではないものね」


 成長を止める方法……。

 正直全く思いつかない。

 前世の世界でもそんな物は無かったし、この世界でもそんなの聞いた事も無いんだよね。


「あっ。ジャスミン。この間のオークに聞いてみるのはどう?」


「オーク?」


「ほら。魔族には特殊能力があるみたいな事、言ってたじゃない」


「あー! 言ってた! うん! 言ってたよ!」


 すっかり忘れていたけど、あの時のパンツ泥棒のオークが、そんな事言ってたよね!


「もしかしたら、成長を止める特殊能力を持ってる魔族がいるかもしれないわ」


「さすがリリィ! きっとそうよ!」


 私は嬉しくなって、リリィにギュッと抱き付いた。


「でも、あの後あのオークは何処に行ったのかしら?」


「うーん。そこが問題かー」


 あの後オークは、このまま村に居座る事をせず、反省の旅に出ると言って何処かへ行ってしまったのだ。


「ね、ねえ。話の腰を折って悪いんだけど、オークって何?」


「あ。そっか。ビリアお姉さまは知らないもんね」


 そんなわけで、私とリリィは数日前のパンツ泥棒の真相を、ブーゲンビリアお姉さんに教える。


「そんな事があったのね」


「そうなのよ。ジャスミンのパンツを被るなんて最低だわ! 私だって被りたい!」


「全くだわ! 羨ましい奴!」


「え? そこ? って言うか、2人とも何言ってるの? 気持ち悪いよ?」


 どうやら、私の周りに変態がまた1人増えてしまったようだ。


 でも何だろう? この感じ。

 前世では、私もこの2人と同じ感じだった事を考えると、共感はもてる。

 だけど、今の私的には、本当に気持ち悪く感じるんだよね。

 なんか複雑な気分だなー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ